静かな午後だった。
陽当たりの良い縁側にゴロリと横になりながら、何思うわけでもなく、只 ぼーっと いつものように死んだような目で、雲が流れて行く様を見ていた。
「あぁ、息するのもめんどくさいな」などと言いなから、天高く上げていた目線を下ろした時だった。にっこりと微笑みながら、私の目先5メートル程に、
彼女は立っていた。白いワンピースの裾が、春の優しい風にゆらいでいる。彼女は何も言わない。いつものように、微笑むだけだ。横になってた体をゆっくり起こすと、手招きをしてみた、そう、目の先にいる彼女に。
返すように、小さく手を振る彼女の瞳が、他愛もない私を しっかりと見つめている。
心地好い春風が、連れてきたのだろうか。
雨が降る心の浅い白日夢。
つづく