Q.今年の5月に、私の母に相続が発生したのですが、母の相続税の納税に際して現金による納付が難しかったので、母から相続で取得した土地の物納を申請しました。後に物納を許可する旨の通知が届きましたが、物納財産の価額が相続税の納税額を上回っていたことから、その超過部分について金銭による還付を受けました。こうした場合における税務上の取り扱いを教えてください。
A.超過物納の場合、物納の許可限度額を上回って物納が許可された財産の部分に関しては、通常の
資産の譲渡の場合と同じく、譲渡所得税の課税対象になります。
1.概要
税金は金銭で納付するのが原則ですが、相続税については、金銭納付が難しい場合等、一定の条件に該当すれば物納が可能です。ただし、原則として、納付すべき相続税額を上回る価額の財産で物納することは認められていませんので、土地等の分割できる財産なら分割した上で物納する必要が
あります。
しかし、物納に用いる財産の性質・形状等から分割が難しいといったやむを得ない事情が存在すると認められれば、超過物納を行うことができます。この場合、物納による財産の収納価額と納付すべき相続税の差額は、過誤納金として金銭により還付されることになります。
2.譲渡所得税の課税関係
相続財産を物納の許可を得て物納すれば、その財産の譲渡はなかったものとみなされて、譲渡所得税は課されません。ただし、物納の許可は、その許可を得た相続税額に相当する部分に限定されます。
それゆえ、超過物納の場合において過誤納金として還付される金銭については、物納による譲渡所得の非課税の特例は適用されません。つまり、超過物納によって生じる金銭は、通常の資産の譲渡の場合と同じく、譲渡所得税の課税対象になります。
3.譲渡所得の計算方法
(1)譲渡収入金額の収入すべき時期
物納財産の引渡しを行い、所有権移転の登記等で第三者に対抗できる要件に合致したとき。
(2)譲渡収入金額(超過物納部分)の計算
物納財産の価額-物納財産の価額× 物納の許可限度額/物納財産の価額
(3)物納財産が長期保有資産と短期保有資産から成る場合における収入金額の区分
譲渡収入金額× 長期(短期)譲渡となる物納財産の相続税評価額/物納財産の相続税評価額の合計額
(4)取得費の計算
ア.物納財産の現実の取得費が分かっている場合
長期(短期)譲渡となる物納財産の取得費の合計額× 物納財産の譲渡収入金額/長期(短期)譲渡となる物納財産の相続税評価額の合計額
イ.物納財産の現実の取得費が分からない場合
譲渡収入金額×5%
現実の取得費が譲渡収入金額×5%以下ならば、上記イにより計算した金額が取得費となります。
(5)譲渡費用の計算
物納財産の譲渡費用の合計額× 物納財産の譲渡収入金額/物納財産の相続税評価額の合計額
4.他の特例の適用
物納財産が土地である超過物納は、国等に対する土地の譲渡に該当します。ゆえに、土地の超過物
納で還付される金銭に対する譲渡所得税の課税に関しては、以下の特例の適用を受けることができま
す。
・優良住宅地等のための譲渡の軽減税率の特例
・短期譲渡所得の軽減税率の特例
・相続税額の取得費加算の特例(相続税の申告期限から3年以内の物納の場合に限られます)