一目でスッキリ!不動産譲渡 -2ページ目

一目でスッキリ!不動産譲渡

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Q.20年前に駐車場を2,000万円で購入し、現在の時価は4,000万円に上ります。一方、弟も私の自宅の近隣で駐車場を経営していて、弟はこの土地を10年前に2,000万円で購入し、現在の時価は5,000万円です。利便性から交換しようかと考えていて、弟の土地の時価を考慮し、弟に現金1,000万円を支払う予定です。このような場合には所得税が課されないそうですが、そのことについて具体的に教えてください。


A.あなたについては、固定資産の交換の特例によって、適用要件を満たす場合には課税されません。一方、弟については、交換差金を受領しましたから、その部分に関してだけ所得税が課されることになります。

個人が、土地・建物等の固定資産を同じ種類の固定資産と交換した場合には、譲渡がなかったものとする特例が存在します。この特例は、固定資産の交換の特例と呼ばれています。この特例の適用を受けることができる場合であっても、交換に伴い、相手方より金銭等の交換差金を受領したときには、その交換差金について所得税が課されます。
この特例の適用を受けるには、次の要件の全てを満たさなければなりません。

1.適用要件
(1)交換譲渡資産と交換取得資産は、共に固定資産であること。
 不動産業者等が販売するために所有している土地といった資産は、棚卸資産に該当しますので、特例の適用を受けることはできません。
(2)交換譲渡資産と交換取得資産が、土地と土地、建物と建物のように同一種類の資産であること。
  この場合に、土地は借地権を含み、建物は建物に附属する設備及び構築物を含みます。
(3)交換譲渡資産と交換取得資産は、各々の所有者が1年以上所有していたものであること。
(4)交換取得資産は、交換の相手が交換のために取得したものではないこと。
(5)交換取得資産を、交換譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に用いること。
同じ用途に用いたか否かについては、その資産の種類に応じて、概して次の区分により判定することになっています。
 土地の場合:宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他
建物の場合:居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用
(6)交換譲渡資産の時価と交換取得資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。
20%を超えるのであれば、この特例の適用を受けることはできません。
ご質問のケースでは、次のように計算します。
5,000万円-4,000万円=1,000万円≦5,000万円×20%

2.交換差金
弟については、交換差金部分に対して課税がなされます。譲渡所得金額は、次の算式によって計算します。
交換差金の金額-(交換譲渡資産の取得費+譲渡経費)× 交換差益の金額/交換取得資産の時価+交換差金等の金額=譲渡所得金額
したがって、ご質問のケースにおける譲渡所得金額の計算は、次のようになります。
1,000万円-2,000万円× 1,000万円/5,000万円=600万円

3.申告要件
この特例の適用を受けるには、確定申告書に所定の事項の記載を行い、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】を添付した上で、提出しなければなりません。