睡眠薬をやめた。眠れないなら、それでもいい。いつかは疲れて眠れるだろう。
 確かに、この薬を処方された頃の私は、眠ることができなかった。それが徐々に、寝る必要のない時間帯にまで浸食し、気持ちが落ちこむと、夕方5時だろうが6時だろうが、寝た方がまし、という理由で飲むようになった。
 むろん今だって、服用すれば難なく眠れる。でももうやめた。徐々に当たり前の生活をとりもどすために。
 寝る前の抗鬱剤もやめた。とても体が重くなるのだ。真性の鬱ではないから、「明日」のことはわからないのに、手回しよく気分を落ち着かせようとしたところで、結果的にからだのほうが辛い目にあうことも。
 日がな寝ているほうが楽なときがあるのも確かではあるが。

 先月の地震直後から、随分気持ちが揺さぶられてきた。恐ろしい惨状と、家族を失った人の慟哭が、私をとらえて離さなかった。私は医者の前でおいおい泣いて、新しい薬を処方されたのだったけど。

 軽い抗不安剤だけを頓服として使用。それから、栄養補給のサプリメント。これでしのげないなら、また医者と相談だ。
 泣いたっていいと自分に言い聞かす。泣くだけの事由があるから泣くのだし。涙はどうやら枯れないらしい。
 
 そして、いつか、かつての自分を思い出せるようになるだろう。