お前が愛するものの死について
信じてゐることは
死者が白いレースに包まれて
たくさんの花と一緒に
墓地に運ばれてゆき
もうお前の見知らない遠いい所にしか
居ないと言ふことだけだらうか?

いつかお前が森の中で
一羽の死んだ小鳥を手にしたとき
その魂の遠いい空の中に
あることを信じたやうに
お前の愛するものの死を
そのやうに信じられるだらうか?

さうしてお前が
日暮れに窓辺に佇むのは
死者がそこに佇んでゐるのを
確かめようと言ふためではないだらうか?

(野村英夫)