イーユン・リー「千年の祈り」(新潮社)で出合った言葉。

 「誰かと同じ舟で川をわたるためには、三百年祈らなくてはならない」。
 「・・・たがいが会って話すには―――長い年月の祈りが必ずあったんです。ここにわたしたちがたどり着くためにです」。


 「どんな関係にも理由がある。夫と妻、親と子、友達、敵、道で出会う知らない人、どんな関係だってそうです。愛する人と枕をともにするには、そうしたいと祈って三千年かかる。父と娘なら、おそらく千年でしょう」。



 それは、<互い>の祈りの成果なのだろうか・・・とふと。
 たとえ何百年、何千年かかっても、祈るものだけに与えられる結末なのだろうか。

 「出会いはかけがえのないものです」が、こんなふうな言い回しになって、人の悲しさを漂わせる。はかないものも光を帯びる。
 人間の一生の短さと、孤独であることに気づかされたものは、救いに似たものを見出すことになる。