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欠陥人間の不倫

今彼(不倫ですが…)との出会いから現在までを思い出しながら書くつもり

たまに職場やプライベートありで。

ババアのたわごと程度ですが

アキは優しかった


日毎、様子がおかしくなる私を側で見守ってくれていた



別れ話を撤回してもらっても不安は拭いきれなかった



何かがあったわけじゃなく



浮気が原因でもない



自分の中の何かが壊れてるのは確かだった



仕事をしていても人と話すのが億劫で、だんだん話をすることで恐怖すら感じた



そんな日が2~3日続き


仕事を休んだ




アキは怒らなかった




怒るどころか仕事終わりにうちまで来た




顔を見に来たよ♪ って…




それすら苦痛だった



無理に笑顔を作り「大丈夫だから」って
送り返した





一緒にいたくなかった




アキが悪いんじゃない



誰とも関わりたくなかった私が悪い




そんな自分にイライラしていた




アキの電話もシカトした




もう限界だった



家にいて一人の時間になると訳も分からず涙があふれ出た



理由もなく不安になり夜も眠れなかった



日々、子供の前でだけ自分を保つ努力はした






努力しても子供は感じ取ってた






「ママ、どうしたの?
頭痛い?具合悪いんだったら病院行かなきゃダメだよ」




5歳の息子に心配された








情けなかった




このままじゃいけないって初めて思った



次の日も仕事を休んだ



子供を送り出し、携帯をとりアキにメールをした





「病院行きたいから連れてって」





アキからすぐ返信があった





「もちろん!
うちまで来れる?無理なら迎え行くし♪」






何科に行きたいかなんて分かってることは聞いてこなかった






私の前向きな発言にむしろ喜んでた














「大丈夫。運転できる。
家で待ってるから早めに帰って来て」












化粧する気もなかったからスッピンに帽子だけ被ったラフな格好





いつもなら文句言われる姿







私は心の中で「どーでもいい…」って思ってた







外に出て階段を降りる





体が重くて目眩がした





引きずるように車に乗り込んだ時には息切れしてた








かなりの低速でアキの家に向かった








アキが帰ってくるまで3時間近くあった






部屋に行くのもダルくて車の中でぼーっとしてた









息苦しさを感じ、ハンドルにしがみつき深呼吸した









自分の不安感に押しつぶされそうになってたから








ハンドルを握った手が震えだし涙が出てきた









息がつまって吐き気がする











しばらく続き呼吸が落ち着くのを待った







涙でグチャグチャになった顔をタオルで拭きタバコを吸った





何も考えないように無心で





数本のタバコを無音の車内で吸った







シートを倒し





タバコに火をつけたとき








窓をのぞき込むアキがいた






「びっくりしたよ!

部屋にいないし、携帯は出ないし!


なんでこんなとこにいるんだよ?



部屋行こ?」







アキの言葉に無言のまま渋々車を降りた






仕事を切り上げてきたアキは急いでシャワーを浴び出掛ける準備をしてた





私は部屋の隅に座りぼんやりしてた





バスルームから戻ったアキは私でもわかる位の作り笑顔だった






「無理しなくていいよ
病院なんていつでも行けるから…





今日はこのまま家でのんびりしよう?」




笑顔の裏で複雑な心境だったんだと思う




早く良くなって欲しい反面、扱いに困っている



そんな風に見えた





思考回路が止まりかけていても勘ぐることは出来た





「大丈夫、病院に連れてって…」







この日、初めて発した言葉




アキは辛そうな表情で何度も私に無理をしてないか確認をした







でも、私が私に戻るために




これ以上、大切な人達を傷付けないために






心療内科に行くことを決めた










病院までの車中も私は無言だった



駐車場からは抱えられるように病院まで歩いた







「心療内科って言っても眠剤もらいに来るような普通の人ばっかだから気にすることないから」







私が心に抱いていたこと








精神異常







変なとこに偏見を持つ私




見透かされた発言





全部に嫌気がさしてた






(治療すれば元の自分に戻れるから…)



自分に言い聞かせながら病院に入った






クラシックが流れる院内は、アキの話した通りサラリーマンやどこにでもいそうな人達が数人





だけど、中には泣き叫びながら母親らしき老婆に抱えられている人




バッグを抱きかかえソファーの隅に横になっている中年男性






どちらかと言うと私はこっち側の人間だと実感した





アキに支えられぐったりしてた





問診票を書くのにも一苦労




記入が終わりしばらくソファーで待たされた






訳もなく泣き出す私の背中をアキがずっとさすってた






カウンセリングルームに呼ばれ二人で入って行った






話した内容がほとんど耳に入ってこなくて、アキが私に確認しながら代弁してた





カウンセリングが終わり医師の待つ診察室へと入った







部屋に入り医師が私ではなくアキに鋭い視線を送った






「まず、お二人の関係性を伺えますか?」





医師の問いに







「友人です」







アキが答えた







私はその返答にがっかりした







こんな場所まで来て私は嘘をついてアキをかばわなきゃいけない






医師はしばらく黙り、低い声でアキに告げた






「悪いんだけど、彼女と話がしたいから退出してもらえるかな?」







心配そうに私に視線を送りアキが退出した






「すまなかったね。

君の言葉で聞きたかったから。



友人の前で話せないこともあるかと思ってね」







さすがに、色んな人間を見て来ているだけあって私たちの関係なんて見透かされているんだと思った





幼少期からのトラウマや性に対し潔癖になった理由




自分自身が嫌いなこと




バツイチで子供がいること






アキが上司で不倫相手であること




色んなことを話せた





自分でも不思議なぐらい





治りたいと思ってたから




隠さず聞かれたままを話した





不倫を始めてから第三者に私たちの関係を話したのは初めてだった





「彼と過ごす時間の中でストレスに感じることはある?」



私が唯一、返答に困った問いだった






「ありません…」






そう返答するしかなかった






長時間の質問責めにうんざりしていた







しばらくの無言の後、メモを取っていたペンを置きホワイトボードに何かを書き出した






私の今置かれている状況や精神状態





病名「鬱病」




治療にあたり自分でしなきゃいけないこと






説明の大半は聞いてなかった






ただ病名を付けてもらえたことで楽になった






自分が今、普通じゃないのは病気のせいなんだって







薬さえ飲んでいれば重症化しないって






診察が終わりアキの元へ戻った






「大丈夫だった?

あの先生、俺らが不倫だって気が付いてたんじゃない?」



私は小さく首を縦に振った





「やっぱなw

目つき凄かったし、
隠してもいいことないよな。ごめんな」




正直、アキの言葉が上っ面に聞こえてた




自分の体裁を守るための言葉だったんじゃないかって






会計を済ませ近くの調剤薬局で薬をもらった




逆流性食道炎の薬と併用して飲んでもいいか聞くのを忘れた





この日から薬に依存することが増え、薬を飲んでいない日は情緒不安定になった




鬱病になった自分が本当はこんなにも弱かったことに気が付いた日







自分の甘さが人に迷惑をかけていることを実感した







自分の事しか考えていない欠陥人間