着地点が見えてきたと思うw
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その日、雅紀が帰ってきたのは夜になってから。
オレは帰ろかと思ったんだけど、さくらも気になって…いや、本当はそうじゃなくて。
雅紀の顔が見たい
そう思ったんだ。
こんな気持ちのまま部屋に戻ったら、たぶん、もうここには来ない気がする。
それは違うって思うから。
ニノが帰ってから、オレはさくらの散歩のついでにスーパーに寄り、めったにしない食材を買う。槍でも空から降ってきたら、それはオレのせいだ←
カゴの中身を確認して、雅紀の部屋に戻る。
いつも雅紀が使ってるエプロンをすれば、さくらがものすごく不思議そうにオレを見てくる。
「お前まで心配すんなw」
そう言って、ビニールの袋から食材を出し。
「よしっ!」
気合を入れて、玉ねぎを洗い始めた。
そろそろオレのお腹も限界にきた頃、雅紀が勢いよく部屋のドアを開けた。
「しょーちゃん!!!!」
すげー勢いでオレを見ると、まさに、どんっ!!!と文字が見えるかのように雅紀がオレに抱き着いてきた。
「いてぇーよっ!」
「良かったぁ。。」
雅紀は心の底からほっとした声で呟いた。
オレが雅紀の温もりを感じてほっとしたのは一瞬だった。
雅紀からは今日の相手の香り。
「風呂入れるから、それ、落としてこい」
オレの言葉に、雅紀は一瞬きょとんとしたけど、何を言われたのかすぐに理解して。
「俺が戻ってくるまで、絶対帰っちゃだめだからね!!しょーちゃん、ダメだからね!!!!」
雅紀は素早くオレから離れると、ダッシュでバスルームに向かう。
でも、一回戻ってきて。
「さくら、ただいま!お前、しょーちゃん見てろよ!!」
と、さくらにまで言った。
なんだよ、馬鹿なやつ
その行動が雅紀らしくて笑いながら、オレはキッチンに行き、エプロンをつけた。
「えっ?これ?え?しょーちゃん?!」
テーブルの上に置かれた、不細工な形が浮いてるシチューと切っただけのサラダとフランスパンとオレの顔を交互に見る。
「なんだよ」
「もしかして、しょーちゃんが?」
そうだよ。オレだって……って言い始めたとき、雅紀がオレの前に立ち、オレの両手を掴んだ。
「ホントだ…」
絆創膏だらけの指を見つめられた。
「10本のうち、6本しか切ってねぇ。勝率は上がっただろ?」
にやりと笑いながら雅紀を見れば。
「…ありっ…がとっ…」
涙を流してオレの手を見つめてる。
「なっなんで、泣く必要がある?!」
「だっ…て…しょ…ちゃんがぁああああ!」
本格的に泣き始めちゃったし。
なんだよ、オレなんかした?
オレの手を握ったまま泣く雅紀を宥める。
「ごっごめん!雅紀、泣くほどシチュー嫌いだった?気が付かなくて、ごめ…」
「違う!違うよ、しょーちゃん!!」
「じゃ、なんで泣くんだよ?」
しょーちゃんが俺のために作ってくれたから!
「へ?」
「しょーちゃんが頑張って俺のために作ってくれたことがすごく嬉しいの!これは嬉し涙!!」
「ああ、そうなんだ。オレ、てっきりシチューが嫌いなのかと思った」
「しょーちゃん、バカなの?」
「あああ?!なんで、そーなんだよっ!」
「俺、この前、作ってあげたでしょ?」
「そうだっけ?」
「ああ、もう」
雅紀は完全に涙を引っ込め、大きくため息をつくと。
「ホントにありがとね」
そう言って優しく笑い、オレの絆創膏だらけの指に唇を落とす。
「俺、今、ちょー幸せ!」
雅紀の笑顔が見れて、やっぱりここに残って良かったって思った。
「そうか」
「うん!」
「じゃ、食べよう!オレ、腹減って死にそうだよw」
「大変だw」
オレは笑って、椅子に腰かけて食べ始めた。
こんなんで良かったら、つづく←