知らぬ土地で寿司屋を作る。
そう東北の某所へ異動が伝えられたのは、正月の激烈な仕事を終えて数日たった時のことだった。その頃はイメージも湧かず、ただただ五年間いた東京の店の常連客と最後のやりとりをするのを楽しんでいた。いや正直寂しい気持ちという感情が湧いていた。五年もいれば店というか、お客に愛着が湧く。そんな合間に何も知らされぬまま座銀で打ち合わせに参加させられる。いやっ正直立場も決まってないまま、そしてメニューもどんな店かも知らされないまま。
その日は座銀の店を手伝い、お偉いさんに挨拶して、気仙沼に出張が決まった。この時点で店はオープン2週間前。どんな素材を使い、どんな場所から魚が送られてくるか、またメニューの味見、検討という名目であった。しかしすでにオープンまでわずか。こんなきつきつの日程。
とにかく不安でしかなかった。
p2へ続く いざ気仙沼へ。