Real Estate Development in New York and New Jersey

Real Estate Development in New York and New Jersey

日系不動産デべ入社7年目(2011年4月)でNYに転勤。NYNJエリアにおける不動産開発のプロジェクトマネージャーとしての日々の業務内容とその他諸々を記録の意味も含めてアップしていきます。

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昨日お伝えしたHobokenにおける住宅開発に関する追加情報です。


実は自分もしっかり終えてなかった部分で重要なものなので記録しておきます。


当社所有サイトのワンブロック東側でVarianceによる規制緩和を受けたプロジェクトとの比較の中で、

当社プロジェクトは地元行政に対して見劣りする点が追加で3点あります。


1点目は、1エーカー当たりに対する住宅の集積度が当社物件のほうが高いことです。当社がVarianceを通じて開発許可を取得する場合、隣接プロジェクトが比較対象になることは言うまでもありませんので、中々厳しい材料ですね。詳細は以下参照願います。

当社プロジェクト

オプション①

0.9エーカーの敷地面積に対して237戸=263戸/エーカー

オプション②

1.09エーカーの敷地面積に対して283戸=259戸/エーカー


1ブロック東側のプロジェクト

1.4エーカーの敷地面積に対して212戸=151戸/エーカー


2点目は、仮に隣接ガソリンスタンドから当社サイト南端部以南50ft以内は今後一切の建築を行わない確約をもらって、当社所有敷地面積一杯に建物を建てた場合における行政側の解釈に関する問題です。当社所有サイトにおけるZoningはあくまでIndustrialであることから、隣接ガソリンスタンドからいくら建築しない確約をもらったとしても、その分追加で住宅を建築するというのはちょっと行き過ぎなんじゃないのというものです。


さて、最後の3点目ですが、Hoboken市におけるマスタープランの一部Zoningの変更が議論されている点です。確かに現状は当社サイトはI-1WのZoning内にありますが、当社サイトは2004年ならびに2010年に見直されたマスタープランの中でUnder Bridge Economic Development districtと位置付けられている一方で、Varianceを通じて開発許可を取得した通りを挟んで一つ東側のサイトはNorthern Waterfront Districtとして位置付けられています。UBEDは原則としてオフィス機能の集積を目指している一方で、NWは住宅ならびにリテールの集積を目指していると考えられています。また、上記Districtの違いを受けて、I-1WのZoningラインを当社サイト以東に移すべきとの議論もされていることから、当社にとってはネガティブな材料であることは間違いないようです。


以上、追加情報でした。

本日はHobokenにおける住宅開発に関してです。当社はHobokenにおいて3つのブロックに跨って土地を私有しておりますが、3つのブロックを同じタイミングで開発を行うことは規模が大きく難しいと考えられている一方で、Hoboken市の市長は1デベロッパーが複数の土地に跨って土地を所有する場合、ブロック毎にどんな開発をするのかではなく、全体計画がどのようになるのかを先ずはじめに説明しなさいという傾向もあるため、デベロッパーはどのように開発許可を取得するかに頭を悩ましております。当社も例にもれず、現在地元有力者からのご意見等を集約しつつ、どのようなプロセスで開発許可を取得するかについて慎重に検討している状況です。


基本的には2つのオプションがあります。1つは本日説明するVariance(ブロック毎)ともう1つはRedevelopment(3ブロック全体)です。それでは早速Varianceについて説明していきます。


そもそもVarianceって日本語だとどういう意味なのでしょうか?と思い調べたところ…、

法律的な言い回しだと、「規制適用除外」、「特例許可」となるようです。

では実際の不動産開発の場ではどのような意味をなすのか調べてみましょう。

英語だと、Permission for property owner to depart from the literal requirements of a zoning ordinace that, because of special circumstances, causes a unique hardship.となるようです。つまり、下記のZoningに縛られず、特別な措置の適用が必要と認められる場合においては、若干の規制緩和も行っていきましょうという意味です。規制緩和の代わりに、地元行政に対する何らかの貢献が必要になるのは言うまでもありませんが…。


さて、次はZoningです。当社が所有するブロックは全部で3つなのですが、2つの異なるZoningに跨っております。そもそもZoningって何?って感じですが、英語の説明は以下の通りとなります。

The division of a city or town into zones and the application of regulations having to do with the architectural design and structural and intended uses of buildings within such zones.

ということで、平たく言えば各行政区域における用途規制のようなものです。市などの行政区域を特定の区域に分類し、各地区における建物のデザインや土地の利用方法を規制したものです。


当社は昔から工業の町として栄えていたHobokenのI-1(Industrial)とI-1W(Waterfront Subdistrict)に跨って土地を所有しておりますが、今回、Varianceを適用することでI-1Wエリアにおいて住宅を建設しようと考えております。I-1Wのエリアは工場、オフィス、研究施設、PUDが本来は認められております。PUDとはPlanned unit developmentの略で、Zoning同様、土地の利用方法を規制するものですが、ある一定規模以上(Hobokenの場合は10エーカー)の土地を集約して開発を行う場合、同エリアのZoningの規制の枠を超えて土地利用が可能になるというものです。英語だとこんな感じです。"promotes large scale, unified land development by means of mid-range, realistic programs in chase of physically curable, social and economic deficiencies in land and cityscapes"。実際に当社が所有するサイトの東側に10エーカー以上の土地を持って住宅を開発したデベがいます。


当社は10エーカーに及ぶ土地は所有していませんが、隣接地にて開発を行った上記デベが仮に当社所有サイトを当社から購入して開発を行った場合、市は無条件で住宅開発を認めざるを得なくなります。それであれば、我々がこのサイトを所有したまま、市が当社に開発許可を与える代わりに、当社が市へ何らかの形でReward(公共機能の充実等)を与える方が市にとってメリットがあるのではという理屈です。実際、我々よりも1ブロック東側で開発を行っているデベが同じ理屈で用途と建物高さの規制緩和を受けております。同デベは規制緩和を受ける代わりに、①施設内に小学校を併設すること、②敷地南端部に敷地を南北に通行可能な歩道を敷設したこと、で地元エリアへの貢献を認めてもらった格好です。また、彼らの建物が高い環境性能評価(LEED GOLD)を得る点も評価の対象になっています。ちなみに彼らが認めてもらった規制緩和は全部で下記の5つです。

①用途:住宅、リテール、教育

②駐車場の運営形態:機械駐車

③ケンペイ率(英語ではLot Coverage):65%が81%に緩和

④建物高さ:8階建(80ft)→12階建(138ft)に緩和

⑤セットバック:敷地南側の歩道敷設のためのセットバック47ft以外は全て0ftに緩和

上記緩和を受けたあとの建物計画は以下の通り。

敷地面積60,730sf(5,623㎡、1,705坪)、住戸数212戸、リテール面積19,650sf(1,819㎡、552坪)、小学校30,000sf(2,777㎡、843坪)、駐車場台数378台


当社の住宅開発の計画は12階(130ft、40m)の建物に地下1階から地上2階までを駐車場、地上1・2階にリテール、地上3階以上を住宅とする計画です。計画面積は39,022sf(3,613㎡、1,096坪)で、住戸数は237戸、リテール面積は15,224sf(約1,410㎡、428坪)、駐車場台数286台。実はこの計画、同じブロック内で隣接するガソリンスタンドの敷地から当社計画建物までの離隔を50ft確保する前提で計画しているのですが、隣接するガソリンスタンドは敷地境界線一杯まで建物が建てられておらず、また今後も建物は建築されない予定です。そこで当社は隣接するガソリンスタンドオーナーに対して、当社計画から50ft以内は今後建物を建てない約束(air and light easement)をしてもらう代わりに金銭的補償をすることを提案しております。先方が当社の提案を受け入れてくれれば、当社計画は当社所有の敷地境界一杯まで建物を建築することができますので、建物容積が追加で獲得でき、計画収支が良くなる見通しなのです。上記緩和が実現された場合の建物計画は以下の通りです。計画面積47,272sf(4,377㎡、1,327坪)、住戸数283戸、リテール面積19,592sf(1,814㎡、550坪)、駐車場台数は333台です。但し、肝心な公共機能を何にするかはまだ決まっておりません。また、当社が認めてもらうべきVarianceも当社サイトの東側土地を開発するデベと概ね同様になると思いますが、詳細は今後詰めていくことになります。


それでは、このトピックはこの辺で。





Hobokenはマンハッタンのハドソン川の対岸に位置してまして、北にウィーホーケンやユニオンシティ、南にジャージーシティがあります。人口は約4万人で、人口比率は約8割が白人。単身世帯が4割に上ります。ちなみに地名の由来は、元々ここで石鹸石を集めてパイプを彫り出していたネイティブ・アメリカンが、この地域を「タバコのパイプの土地」と呼んでおり、その言葉「ホポガン・ハッキング」(Hopoghan Hackingh)が訛ったものと信じられているようです。

Hobokenはアメリカで初めて野球の試合が行われた場所、フランク・シナトラの生まれ故郷として知られる一方で、産業のために栄えたウォーターフロントも大きな特徴です。北側はリプトン、マクスウェル・ハウス(コーヒー)、ベスレヘム・スティールの工場があったことに加え、南側は東海岸の主要貨物船港としても活躍していたようです。しかし、州間高速道路網の発達とニューアークにおける港湾施設建設に伴い、1970年代までに多くが廃棄されたようです。1990年代、港湾公社とその他関係者ならびに開発業者が合意し、ウォーターフロントに商業ビルと住居ビルを建設し、オープンスペースを設けることが決まりました。
ウォーターフロントの北側部分は中層のアパートが造られ、その多くは投資用住居として販売されましたが、幾つかの建物(ホーボーケン歴史博物館の喫茶室と機械室)は改修されて再利用に回されました。新しい建物は格子状の道路を守るように造られ、町の建築物の性格と河面までの視界を保つように高さ制限設けられました。中間地区はスティーブンス工科大学があり、このエリアは唯一の未開発区域となっています。崖の下には長く封印されたままのシビルの洞窟があり、今は再開の計画があります。川堤の遊歩道はハドソン川ウォーターフロント歩道の一部であり、州が建てたマスタープランではベーヨン・ブリッジからジョージ・ワシントン・ブリッジまでを繋ぎ、どこでも水辺に降りていけるようにし、ニューヨークのスカイラインを背景にハドソン川の広々とした眺めを楽しめる帯状の都市公園になる予定です。

1970年代から1980年代にかけて、ホーボーケンでは投機熱が高まりました。これは、ニューヨークなどの住人が、20世紀の変わり目頃に造られたBrown Stoneを購入して移り住み、中産階級が昔のままに残っていた地域に入りこんだことと、19世紀遅くのアパートを購入して借家として使うことを考えた地元や市外の不動産投機者によって加速したとされています。不動産投資会社のApplied Housingが合衆国政府の支援を利用して準標準化住宅を回収し、援助された家賃を受け取る仕組み(セクション8)を作ったことにより、低所得者等の流入も増加したようです。ホーボーケンは芸術家、音楽家、ヤッピー(若い都会派プロフェッショナル)等を惹き付けており、彼らはエリアの雰囲気と比較的安い(ローワー・マンハッタンに比べて)賃貸料、公共機関でのマンハッタンへの移動のし易さに魅力を感じているようです。いわゆる「新参者」と呼ばれる人たちが市内東半分に多く住むようになりましたが、この現象はブルックリンの一部やジャージーシティの中心街およびマンハッタンのイースト・ヴィレッジに似てると言われています。また、芸術家や若い人が住むようになって町に対する認識が変わり、以前はそこに移り住もうと考えもしなかった人々が興味を持ったことにより、多くの郊外居住者、海外企業駐在員の家族、移民が流入してきました。再開発でウォーターフロントの元工場地帯への新しい建築が奨励された一方で、伝統的に貧困層の多い市の西側は、ハドソン=バーゲン・ライトレールとニュージャージー州土地活用政策と相俟って、トランジット・ビレッジの計画が進んでいます。ホーボーケンはアメリカの都心隣接生活再発見の焦点になり続けており、ニューヨーク都市圏に移住したいと願う者の最初の足場ともなっています。


さて本日2つ目の御題目はNYUです。私は現在、NYUの生涯学習プログラムで不動産開発に関するコースを取っていますので、そちらにも少し触れておきます。

毎週ケーススタディをもとにディスカッションが進められるのですが、今回はMichigan州KentwoodとNorth Carolina州Raleighにおける複合開発計画です。

ミシガンの物件は既存のスポーツ施設(ジム)を回収し、ジムとビジネスサービス、カフェを併設した複合施設を開発するものです。Kentwoodはミシガン州西部に位置しており、このエリアでは大手企業に勤務する人々の多くが本社への日常的な報告を必要としない住民が多いため、ビジネスサービス機能を備えた会員制の施設を提供することにより、近隣住民は毎日の遠方への通勤がなくなり、企業も従業員の交通費や本社内の事務所スペースの軽減に繋がるという双方にとってメリットのある関係性にデベロッパーが着目したプロジェクトです。またジムを併設することにより、この施設へ通勤する会員の健康レベルが向上し、企業による医療費の低減に繋がるというメリットもあるものです。

次にNCの物件ですが、こちらは100年以上前に建築された歴史建築物4棟を一つの商業施設へとコンバートするという計画です。本計画における最大のゴールは歴史的建築物の外装や内装を可能な限り残すことで、街並みの歴史的景観を保全する一方で、最近注目されている環境性能にも優れた建築物とすることでした。また、既存建物に入居していたテナントや地元コミュニティーへの貢献度が高いテナントに対して賃料を低く設定するなど、再開発によって、コミュニティーのアイデンティティが失われないことにも注力した物件です。本計画のデベロッパーは歴史的建造物の保全に努めることにより様々な税制優遇措置を享受しており、融資面での一助になったことも特筆すべきポイントかもしれません。

2011年6月にNYに転勤してきて早5ヶ月、ようやくこちらの生活にも慣れてきたので、日々の業務内容の記録という意味も含めてブログを開始したいと思います。


早速ですが、私が現在担当しているNJ州Hobokenでの複合施設開発における許認可取得のためのブランディングに関する打ち合わせを米国大手設計事務所であるGenslerにて行ってまいりました。


日本では建物の建築に関する許可をもらうには、建蔽率や容積率、用途に関する規制など、ある一定の数値や条件をクリアしてしまえば、基本は何でも建築できます。しかし、一方ではそれらの規制内に収まるものしか建築できないという柔軟性を欠いているとも言えます。もちろん、総合設計等の一部緩和策もあるにはありますが…。


一方の米国ですが、こちらでも建築物の開発には一定の規制があり、基本的にはその規制内に収まるよう建物の規模やデザインが決められていきます。しかし、その建物が建築されるエリアに貢献する機能や設備が備えられている場合、規制の一部緩和が認められることが多々あります。本日の打ち合わせは、まさに今私が担当している物件において、既存の規制の枠を超えた開発を行おうとする中、それを地元行政に認めてもらうために、我々のプロジェクトが地元コミュニティーにとってどれだけ有益であるかをアピールするためのブランディングをしようというミーティングでした。


本日の打ち合わせ参加者は我々デベロッパーのほかに、弊社の広報担当者、マスタープランナー、地元のロビーストでした。本日は第1回目の打ち合わせでしたので、ブレストの意味合いが強い内容でしたが、地域の特性を考慮したさまざまな意見が飛び交い実りある打ち合わせだったと思います。


明日はNJ州Hobokenの概要について、レポートさせていただきます。


それでは今日はこの辺で。