本日はHobokenにおける住宅開発に関してです。当社はHobokenにおいて3つのブロックに跨って土地を私有しておりますが、3つのブロックを同じタイミングで開発を行うことは規模が大きく難しいと考えられている一方で、Hoboken市の市長は1デベロッパーが複数の土地に跨って土地を所有する場合、ブロック毎にどんな開発をするのかではなく、全体計画がどのようになるのかを先ずはじめに説明しなさいという傾向もあるため、デベロッパーはどのように開発許可を取得するかに頭を悩ましております。当社も例にもれず、現在地元有力者からのご意見等を集約しつつ、どのようなプロセスで開発許可を取得するかについて慎重に検討している状況です。
基本的には2つのオプションがあります。1つは本日説明するVariance(ブロック毎)ともう1つはRedevelopment(3ブロック全体)です。それでは早速Varianceについて説明していきます。
そもそもVarianceって日本語だとどういう意味なのでしょうか?と思い調べたところ…、
法律的な言い回しだと、「規制適用除外」、「特例許可」となるようです。
では実際の不動産開発の場ではどのような意味をなすのか調べてみましょう。
英語だと、Permission for property owner to depart from the literal requirements of a zoning ordinace that, because of special circumstances, causes a unique hardship.となるようです。つまり、下記のZoningに縛られず、特別な措置の適用が必要と認められる場合においては、若干の規制緩和も行っていきましょうという意味です。規制緩和の代わりに、地元行政に対する何らかの貢献が必要になるのは言うまでもありませんが…。
さて、次はZoningです。当社が所有するブロックは全部で3つなのですが、2つの異なるZoningに跨っております。そもそもZoningって何?って感じですが、英語の説明は以下の通りとなります。
The division of a city or town into zones and the application of regulations having to do with the architectural design and structural and intended uses of buildings within such zones.
ということで、平たく言えば各行政区域における用途規制のようなものです。市などの行政区域を特定の区域に分類し、各地区における建物のデザインや土地の利用方法を規制したものです。
当社は昔から工業の町として栄えていたHobokenのI-1(Industrial)とI-1W(Waterfront Subdistrict)に跨って土地を所有しておりますが、今回、Varianceを適用することでI-1Wエリアにおいて住宅を建設しようと考えております。I-1Wのエリアは工場、オフィス、研究施設、PUDが本来は認められております。PUDとはPlanned unit developmentの略で、Zoning同様、土地の利用方法を規制するものですが、ある一定規模以上(Hobokenの場合は10エーカー)の土地を集約して開発を行う場合、同エリアのZoningの規制の枠を超えて土地利用が可能になるというものです。英語だとこんな感じです。"promotes large scale, unified land development by means of mid-range, realistic programs in chase of physically curable, social and economic deficiencies in land and cityscapes"。実際に当社が所有するサイトの東側に10エーカー以上の土地を持って住宅を開発したデベがいます。
当社は10エーカーに及ぶ土地は所有していませんが、隣接地にて開発を行った上記デベが仮に当社所有サイトを当社から購入して開発を行った場合、市は無条件で住宅開発を認めざるを得なくなります。それであれば、我々がこのサイトを所有したまま、市が当社に開発許可を与える代わりに、当社が市へ何らかの形でReward(公共機能の充実等)を与える方が市にとってメリットがあるのではという理屈です。実際、我々よりも1ブロック東側で開発を行っているデベが同じ理屈で用途と建物高さの規制緩和を受けております。同デベは規制緩和を受ける代わりに、①施設内に小学校を併設すること、②敷地南端部に敷地を南北に通行可能な歩道を敷設したこと、で地元エリアへの貢献を認めてもらった格好です。また、彼らの建物が高い環境性能評価(LEED GOLD)を得る点も評価の対象になっています。ちなみに彼らが認めてもらった規制緩和は全部で下記の5つです。
①用途:住宅、リテール、教育
②駐車場の運営形態:機械駐車
③ケンペイ率(英語ではLot Coverage):65%が81%に緩和
④建物高さ:8階建(80ft)→12階建(138ft)に緩和
⑤セットバック:敷地南側の歩道敷設のためのセットバック47ft以外は全て0ftに緩和
上記緩和を受けたあとの建物計画は以下の通り。
敷地面積60,730sf(5,623㎡、1,705坪)、住戸数212戸、リテール面積19,650sf(1,819㎡、552坪)、小学校30,000sf(2,777㎡、843坪)、駐車場台数378台
当社の住宅開発の計画は12階(130ft、40m)の建物に地下1階から地上2階までを駐車場、地上1・2階にリテール、地上3階以上を住宅とする計画です。計画面積は39,022sf(3,613㎡、1,096坪)で、住戸数は237戸、リテール面積は15,224sf(約1,410㎡、428坪)、駐車場台数286台。実はこの計画、同じブロック内で隣接するガソリンスタンドの敷地から当社計画建物までの離隔を50ft確保する前提で計画しているのですが、隣接するガソリンスタンドは敷地境界線一杯まで建物が建てられておらず、また今後も建物は建築されない予定です。そこで当社は隣接するガソリンスタンドオーナーに対して、当社計画から50ft以内は今後建物を建てない約束(air and light easement)をしてもらう代わりに金銭的補償をすることを提案しております。先方が当社の提案を受け入れてくれれば、当社計画は当社所有の敷地境界一杯まで建物を建築することができますので、建物容積が追加で獲得でき、計画収支が良くなる見通しなのです。上記緩和が実現された場合の建物計画は以下の通りです。計画面積47,272sf(4,377㎡、1,327坪)、住戸数283戸、リテール面積19,592sf(1,814㎡、550坪)、駐車場台数は333台です。但し、肝心な公共機能を何にするかはまだ決まっておりません。また、当社が認めてもらうべきVarianceも当社サイトの東側土地を開発するデベと概ね同様になると思いますが、詳細は今後詰めていくことになります。
それでは、このトピックはこの辺で。