いつからだろうか、誰にも話しかけられず自分からも話しかけられず。
そんな毎日を送っていた俺はこれが当たり前になっていた、一人で孤独に毎日を過ごす事が。
そう、透明人間として
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____「おーい!学校行こうぜー!」
「うるせェな」
朝から面倒なやつにあったな、まぁいいか、と裕司は軽く手を振る
彼は裕司が小さい頃からよく絡んでいる、世間で言う幼なじみ、真田 優希(ゆうき)だ。
「んだよ、素っ気ねぇ返事だな裕司(ゆうじ)、笑顔くらいになってもいいんじゃないか!ッと!」
と言いながら裕司に抱きついてくる
同じ学年の奴らが汚いものでも見たように周りを避けて通って行く、そんなに汚いのか。
裕司は優希の機嫌を損なわないようにそっと離れスマホを取り出し今日の予定を確認する
スケジュールを開き青文字で
~優希誕生日~
と書いてある、丁度いいなと思い俺は
「あ、優希、今日の放課後ちょいと付き合ってくれ。」
「お?なになに?俺に告白ってか!裕司もそういう趣味になったかぁ!俺は嬉しい限りだ!」
違う。
周りの奴らに誤解されないように足早に学校へ向かって行く。
自分の誕生日を祝ってくれるとも知らずに優希は大声を出しながら裕司を追いかけてくる
「待てってー!お前早えよ!俺下半身ねぇんだよ!」
お前はテケテケか、とか思いつつも裕司は少し笑顔で優希と学校へ向かって行った
……「フフ…朝から元気そうでなりよりだな、でも明日には絶望してるんじゃないかな……」
布切れを数枚重ね、所々破れている危ない服装の女の子がささやくようにつぶやいた....
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___「んぁ…やっと終わったか」
裕司は怠かった6時間をだるそうに過ごし元気に優希の元へと向かった
「優希ー?行こうぜー」
待ってましたと言わんばかりに優希は裕司の所に走って駆けつけ抱きついた
「行こうぜぇ!」
いつもなら離すものの今日は
「よーし!行こうぜ!」
と抱きつかれたまま返事をした
「お?珍しいな!やっぱり告白ですかぁ?!」
残念だが俺にはそういう趣味はない。
裕司は優希を離し、予約してあったレストランに出発した、もちろん誕生日祝いだ
「ちょ!待てって!!」
焦りながら準備する優希に俺は明るく
「早く来いよ!」と大声で言った
俺も楽しみにしていたのだからな
教室を出て俺たちは目的地に向かった。
……「…もうそろそろ…かな…」
女の子はつぶやいた。
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______二人はレストランに向かって歩いていた
だが裕司が後ろを見ないでここまで来たせいで優希とはぐれてしまった、焦る。
レストランの予約の時間があるのだ、あと十分しかない、俺は急いで来た道を戻って行った
その途中の暗い路地から急に
「ねぇ君…透明人間になりたくない?」
布切れ数枚重ねただけの髪がピンクで長い俺と同じくらいの身長の女の子が話しかけてきた、なんだろう、変な感じがする。
「あ、いや、すいません、急いでるんで」
と一言言って立ち去ろうとした、が
「今日しかないよ…透明人間になれるのは」
何を言っているんだ。と思ったがこれを理由に優希に言い訳出来るんじゃないかと思い
「あ、じゃあ、透明人間にして下さい。」
と遊び半分で女の子に言った、これでなれたら面白いだろうなぁとか思いながらなったら何しようかなとか色々考えていたら
「はい、透明人間になりましたよ」
女の子はそう言った
ただ座っていただけなのに「なりましたよ」とかふざけてる、もうちょっとアトラクション的なのがあっても良かったのに、まぁ、透明人間になりたくて先行ってたー、とか言えばあいつなら許してくれるだろう。
「透明人間になったんですか、ありがとうございました~」
と素っ気ないお礼を女の子に言った
が
そこに女の子の姿はもういなかった、出口は裕司の入ってきた入口しかないはずだ
どうして。
女の子が座っていた所には無造作に破られた紙切れが一枚あった。
その内容は
「私の名前はイル、困った時に私の名前を呼んでくれたら何処でもゆーじにあいにいくよ。」
と
「なぜ俺の名前を知っている?」
前に会ったかどうか思い出そうとしたが思い出せない。
急に裕司は怖くなり、暗い路地を飛び出た
そして来た道を戻り優希を探そうとした、が、その必要はなかった
歩道を歩いている優希を見つけた
俺は
「おーい!優希!」
と声を掛けたが返事がない、流石に怒ってしまったのだろう、俺は急いで優希の元へ駆けつけ
「優希!悪かったな!」
と声を掛けた
が、返事はない、しかもそのまま優希は歩いていく
あいつは怒ってても無視するような人じゃない、でもなぜ返事がない。
「おい、おい!!!優希!!!聞こえてるだろ!!!返事してくれ!!!」
…やはり返事がない。
なんだよ、くそ、折角予約してやったのに
俺は怒りと悲しみが混じった感情をどこにぶつければいいのか分からず
ふてくされるように家へと戻った
日も暮れ、いつもより時間がかかったが家の玄関まで来てドアを開け、中へ入った。
いつも通り変わらない俺の家、母親と姉貴と三人で暮らしている。
父親はずっと前に研究の仕事をしていたが不慮の事故で亡くなった今は母親一人でこの家を支えている。
俺はいつものように
「ただいま~」
とあいさつした。
だが返事がない。
は?母親も無視かよ、とさらに機嫌が悪くなった。なんなんだよ
俺は母親の元へ駆け寄り
「今帰ったよ!」
と声を荒げて言った
やはり返事がない。
どうなってんだよ、今日はよ!
ふと放課後の事が頭をよぎる、そうあの女の子、イルとの出来事が
まさか…………透明人間?………
いやいや、あり得ない、この世に透明人間などあるはずがない。いや、でもイルはあの時消えた。
………透明人間だとしたら……
俺は洗面所の鏡に走って行きいつものように覗いた、すると
そこに俺の姿はなかった。
いるはずのおれがいない。
「本当に透明人間になったのかよ……」
俺の頭の中はどう表していいかわからない感情がうずまいていた。
とんでもない現象、どうやら透明人間になりました