──廃都市の郊外。かつてのアリーナ跡地には、朽ちた大型ビジョンと砕けた観客席だけが残っていた。 KAZEたちは、次の拠点へ向かう道中、奇妙な音を聞きつける。 「助けて!無理!こんなの無理に決まってるじゃんバグだろこれぇぇぇっ!!」 銃声、爆発、そしてプレイヤーらしからぬ悲鳴。 現場に駆けつけると、そこには細身の少年が3体のドローンに囲まれて逃げ惑っていた。 「カバーに入る!セラ、右から!」 「了解!」 数秒後には、KAZEたちによってドローンは撃破された。 倒れていた少年が起き上がり、すごい勢いでまくし立てる。 「た、助かったぁぁ……!あのドローン、AI制御型のPvP仕様だよ!?こんなのソロじゃ絶対無理だって!……あ、もしかして君たちもプレイヤー?」---■クロノ登場 名前はクロノ=時任瞬(ときとう・しゅん)。 “バレット・キングダム”の世界に魅せられ、全マップ、武器、NPCの台詞まで暗記しているマニア。 「このゲームは僕の人生なんだよ!リリース初日からずっとログインしてるし、バグ技も公式設定も全部追ってる!だからこそ分かるんだ、このゲーム……もう“普通のゲーム”じゃないって!」 彼の装備は貧弱そのもの。レベルも低く、撃ち合いはド下手。 だがその頭脳――いや、“知識”の火力は全プレイヤー中トップクラスだった。--- KAZEたちが次に目指すのは、中央にそびえる“王の塔”。 セラが言う。「Ω=キングの中枢ね……内部には『選別者(セレクター)』が配置されているはず。」 それを聞いたクロノの目が輝いた。 「選別者!ついにそこまで来たんだね!?あれは開発当初から存在だけ噂されてたエンドコンテンツ……うん、やっぱり現実化してるんだ、バグなんかじゃなくて意図された進化だよ!」---■塔と選別者の真相(クロノの説明) クロノ曰く、「王の塔」はかつての“観戦者の神殿”だった。 観客AIがプレイヤーの戦いを記録し、それを再現・進化させる実験場。その名残が“選別者”だという。 「塔の各階層では、君たち自身の戦いが“試される”んだ。選別者は敵じゃない。君たちの“過去”や“選択”を模倣して出現する戦闘AIなんだよ!」 「つまり……自分の影と戦うってことか?」とKAZE。 「そう。塔を登るほど、自分の核心に近づいていく……王はそれを“観察”してる。君たちを選ぶために。」--- その夜、KAZEは静かに問う。 「お前みたいなやつが、なんでこの世界にいる?」 クロノは照れくさそうに言った。 「本当は、怖くてやめようと思ってた。けど……バレット・キングダムって、ずっと憧れだったんだ。」 「ここには、現実にはないものがある。戦い、信頼、裏切り、真実。それを全部、自分の目で見て、記録したいんだ。」 セラが微笑む。「あなた、ただのファンじゃないわね。」 レイヴンが鼻で笑う。「……物好きだな。だが、悪くない。」--- こうして、“知識の弾丸”を持つ仲間が加わり、KAZEたちは王の塔・第一階層へと挑む準備を整えた。