彼女と出逢ったのは約16年前
ある夏の日
勤務先からの帰路にて
いつもの様にバスに乗り
いつもの様に最寄駅で降りた
彼女がいる事に気付かなくて
何処から来たのか
突然 目の前に現れた感じだった
「みゃー」
まだ幼いと直ぐにわかる声
あれあれ どうしたの?
そんな風に声をかけた事を覚えている
蒸し暑い 夏の夕暮れ
あの日から
彼女との生活は始まった
当時は「のらねこ」とか「のら」と呼ばれていた
「保護猫」とは呼んでいなかったと思う
白っぽいけど薄汚れた
目やにいっぱいで目もきちんと開けられていない
鼻水もすごくて お鼻の周りはカピカピになっていた
くしゃみもすごくて
足は脱毛している箇所がいくつかあった
まだ両手のひらにすっぽりとおさまるくらい
小さな小さなおんなの子だった