ウチの嫁はすっとこどっこい。


とある職場で嫁と出会う。
転勤先に出社の初日。
リーダー席(ボクの席)に座り、伸びをしていた嫁。
「なんだ?この人?」
第一印象だった。

一通りの挨拶を終え、上司から職場の雰囲気などを聞いていた時、嫁の話になった。たった一言、
『あの人(嫁)は、死ぬ程仕事が出来る』・・・とてもそうは見えないのだが、とりあえず相槌をうつ。

その時、電話が鳴り事務の人が
『大変です!〇〇サンがやらかしてお客様が激怒してます!』

転勤早々、なんてこった😥
とりあえず、現場に向かおうとすると、嫁が
「私も行きます。そのお客様、ちょっとクセ強なんで」
と、表情一つ変えずに車のキーを掴んで走り出した。その後を追って車に乗り込む。
運転が恐ろしく上手い。少し感動した。
現場に到着し、やらかした職員がこちらに気づいて走ってくる。その職員に一瞬、鬼の形相で
「気をつけろって、今朝言ったよな?」
と小さい声で囁き、すぐに表情を笑顔に変えてお客様に駆け寄った。
怒りまくっていたお客様は、嫁の顔を見るなり、笑顔で片手を上げ、
「わざわざ、アンタが来てくれたのかぁ」
嫁は
「この度は本当に申し訳ありません。」
と頭を下げた。
お客様は、嫁と会えたのが本当に嬉しいというような顔をしていた。
「いや、私が怒りすぎたのかもな。ごめんな。」
と、表情を和らげた。

何故だ・・・。
別に特段、美人でもないし、スタイルが良い訳でもない。(嫁に読まれたら○される)
やらかした職員と僕はポカンとしていた。
「〇〇様、ご紹介が遅くなりましたが、こちら、上司の僕です。」
とふいに紹介された。慌てて名刺を出し、今回の件を謝罪した。
お客様は、笑顔でウンウンとうなづき、自家栽培しているというイチゴを大量にくれた。
車に戻り、やらかした職員に「〇〇君、ちょっとの気の緩みで取り返しがつかないコトになるんだからね。同じ失敗は二度としない事。・・・罰として〇〇君はイチゴ3粒な笑笑」
その笑顔を見た僕は、この時から嫁がとても気になる人になっていった。これが嫁との出会いだった。