東幸久。
俺、加藤浩一の同級生であり、一番の親友。
「東君って、どうして、そんなにかっこいいの?」
「かっこよくなんかないよ」
「かっこいいよ。浩一にも少しは見習ってほしいくらいよ」
悪かったな。
どうせ、俺は地味だし、勉強も、スポーツも普通だよ。
幸久と居ると、必ず、女子に比較される俺。
そりゃ、女子からすれば、何もかも完璧な幸久の親友が、俺だなんて、信じたくないのは当然のことだって、分かってるけどさ。
(誰か、幸久と比較しないで、純粋に俺を見てくれてる女の子、いねえのかよ)
「いるわけないのは分かってるけどさ」
「そんなことないよ」
「え」
突然、聞こえてきた声に振り返ってみると、そこには同じクラスの夏川由奈ちゃんがニコニコ笑顔で微笑んでいた。
「少なくとも、わたしは浩一君のことが好きだよ」
「由奈ちゃん」
神様。ありがとうございます(心の叫び声)
「だからさ。あたしと付き合ってみない」
「付き合うって、幸久とじゃなくて、俺なんかと」
冗談ではないのかと、思わず、自分のことを指差しながら、聞き返してみると、そうだよと、笑顔で、頷かれた。
「わたしなんかとじゃ、嫌かな」
そんな滅相もございませんというようにブンブンと首を振る。
「こんな俺でよければ、付き合ってやってください」
嬉しさのあまり、かしこまって、お辞儀までしてしまったので、絶対に笑われるに違いないと思っていた。
しかし、彼女は俺の手を取り、こちらこそ、よろしくお願いしますとまたまた、笑顔で答えてくれた。
加藤浩一。
17歳。
彼女居ない歴16年の俺にもついについに、念願の彼女が出来ました。
(この喜びを伝えるべきはやはり、親友である幸久だよな)
彼女と別れた俺はさっそく、教室に戻り、幸久に告白されたことを報告した。
「そっか、良かったな。おめでとう」
すごく、喜んでくれると思っていたのに幸久の態度はどこか、素っ気なく、感じた。
「幸久。今日、一緒に帰ろう「悪いな。今日は用事があるんだ」
放課後、いつもなら、一緒に帰るのに、珍しく、用事があると断られてしまった。
用事があるんじゃ仕方ないかとその時はたいして、気にしていなかった。
翌日から、幸久の態度の俺に対する態度が変わった。
「幸久、今日、一緒に「悪い。生徒会の仕事があるんだ」
「明日、遊ばない「明日は用事あるから」
「お昼、一緒に食べない「伊藤達と食べる約束してるから」
「あきらかに避けられてるよな。俺」
放課後、由奈ちゃんと帰る約束をしていたが、とてもじゃないが、そんな気分になれず、ごめん。今日、帰るの遅くなるから、友達と帰るようにメールして、居残りして、幸久のことで、友達に相談に乗ってもらっていた。
「気のせいじゃねえの」
「気のせいじゃねえよ。なんだかんだ、理由付けるなんて、あきらかに避けてるだろ。おかしいだろ。もう、避けられて、一週間だぞ」
「そんなに、気になるんなら、本人から、直接、聞けばいいだろ」
「本人にって、避けてるんだから、無理だろ」
「アホだな。家に直接、乗り込んでいけば、いくらの東でも、逃げられねえだろうが」
「そっか。そうだよな。ありがとう」
思い立ったら、吉日だと俺はさっそく、幸久の家に向かうことにしたのだった。
続く