踏みつぶした足が痛い。
おれの足が
焼けるように痛い。
踏みつぶしたCDケースは、
かつて俺が啓太に薦めたものだ。
啓太は
大事に大事にそれを取っていて
うれしいと
笑った。
うれしかったのだろう。
馬鹿みたいに笑う啓太を見て
俺は
なぜあの時俺は
何も、言えなったのだろう。
苦しげに咳き込んで、
泥まみれの顔で俺を見上げる啓太の眼が
静かに
静かに
暗く沈んでいく。
そうやって啓太を覆っていくものが
絶望だと
俺は知っているのだ。
暗くつめたいものが
喉につまって
苦しい
そして俺が啓太の前で
CDケースを割った時
唐突に啓太と出会ったころのことを思い出した。
どうして俺が啓太の笑顔を前にすると何も言えなかったのか。
ずっと分からなかった答えが
分かったような気が
した。
それは
知らなければよかった事
かもしれない。