オキシトシン11の効果‼

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オキシトシンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種で、愛情ホルモンとも呼ばれている。血液へと放出されたオキシトシンは、体中の臓器に存在するオキシトシン受容体を介して心理的にも、肉体的にも多大な影響を与えている。

 特に、ストレスを感じている時や人間関係を深めたい時、その分泌値が高くなる事がアメリカ心理学会の報告により確認されている。過去数十年の科学の進歩によりオキシトシンがもたらす効果は次々に解明されている。ここで述べるのはその驚くべき効果の片鱗だ。

 もしかしたら今のあなたのその気持ちは、オキシトシンの分泌によるものかもしれない。




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11.「他者と関わりたい」という好奇心を向上させる



 2007年の心理科学誌に掲載された研究よると、妊娠第一期(妊娠1ヵ月~3ヵ月)の母親は血中オキシトシンの濃度が高い程、赤ん坊が産まれたときに赤ん坊との良好の関係にあることが判明した。更に出産後も血中オキシトシンが高かった母親は赤ん坊に対して、より積極的に人間関係を深め、効果的な方法で赤ん坊への食事・歌・お風呂の世話等を行った事が分かった。


10.人間関係をより強固なものにする



 ロシアとルーマニアの孤児院で育てられている子供たちに行った尿検査によると、「血の繋がった」母親と再度めぐり合えた子供は体内オキシトシンが上昇する事が分かった。更に2005年の英国科学アカデミー紀要が出版する雑誌に掲載された論文によると、同じ状況下におかれた孤児院の子供が「血の繋がっていない」親に養子として迎えられ場合、オキシトシンの上昇は見られなかったそうだ。

 これらの研究から、養子として預けられた子供が新しい両親と良い関係を築き上げるのには時間がかかるということが示唆された。


9.ストレスを緩和させる



 2007年の北米神経科学学会で発表された研究によると、オキシトシンはストレスを緩和させる効果があるという。研究はまずハタネズミの兄弟を離れ離れにさせ、意図的に緊張・ストレス・憂鬱を誘発させた。その後ハタネズミにオキシトシンを注射した結果、彼等は緊張等のストレスレベルがぐんぐん下がったという。


8.母親との思い出をより素晴らしいものにする



 11月に英国科学アカデミー紀要から発行された学術誌によると、オキシトシンは男性の母親に対する思い出をより素晴らしいものにする効果があったという。

 研究は31人の男性を対象にオキシトシン投与が行われ、過去に母親と「良い関係」を持っていた被験者は母親に対する思い出がより素晴らしい物になり、過去に母親と「酷い関係」を持っていた被験者でも、母親に対する怒り等の負の感情の低下が認められたのだ。


7.出産を促し、母乳栄養に多大な影響を及ぼす



 オキシトシンの最も広く知られている役割は出産と母乳の生成だ。出産の際、母体の体内ではオキシトシンの増加が見られる。オキシトシンは母体の子宮を狭め、子宮口を広げる事で出産を促すという大事な役割を持っているのだ。

 1900年代には、オキシトシンによく似た化学構造を持つピトシンという合成物質を、出産が困難だと診断されていた母体に使用していた医師もいる。また、出産後も母体の体内オキシトシンは分泌され続け、子宮を狭める事で出血量を抑えたり、母乳を生成したり、と重要な役割を担うという。






6.発情を促す



 2001年の生理学誌によると、オキシトシンを脳に直接注射されたマウスのオスは、肉体的な発情反応を見せたそうだ。研究を行ったエリソン博士によると、オキシトシンは抱擁を行う男女の間でも確認できるという。ただし放出されるオキシトシンの量には個人差がある為、抱擁を嫌う人間は、オキシトシンを感じにくい体質ではないだろうかと推測している。


5.薬物の禁断症状を軽減する



 1999年の脳科学紀要が発行した学術誌によると、幾つかの研究で、オキシトシンはオピオイド・コカイン・アルコール等の薬物依存症状と禁断症状を抑える事が確認されているそうだ。


4.社交的になれる



 2010年1月の英国科学アカデミー紀要が発行した学術誌によると、オキシトシンを吸引した自閉症患者は症状の回復が見られ、より社交的に振る舞ったそうだ。

 これまでの研究で、自閉症患者はオキシトシンの血中レベルが低い為、他者との対話や人間関係を構築する事に恐怖を感じる事は確認されていたが、この研究によりオキシトシンを吸引しただけでも、自閉症患者は社交的になり、他人に対する恐怖心への低下が認められたという。


3.自己防衛能力を高める



 2010年6月の科学雑誌によるとオキシトシンには自己防衛能力を高める効果があり、特に仲間・グループが見知らぬ人間により脅かされる場合に重要な役割を果たすことが分かった。


2.睡眠を促す



 「ストレスの無い状態で分泌されたオキシトシンには睡眠を誘発する効果がある」という論文が2003年の調節ペプチド誌で発表された。

 これまでの研究から、オキシトシンはストレスホルモン「コルチゾール」と真逆の働きをすることがわかっている。オキシトシンには心を落ち着かせ、穏やかで愛に溢れた感情を促進させる。その為にそれが質の良い睡眠につながるのではと推測されている。


1.他者に対し寛容になり、思いやる気持ちが芽生える



 2007年、公共科学図書館が発行した学術誌に興味深い研究結果が掲載された。研究では、オキシトシンを鼻腔より吸引した被験者と、オキシトシンを吸引していない被験者(プラシーボ)に分け、その後見知らぬ人間との割前勘定を行わせた。

 その結果オキシトシンを吸引した80%の被験者はより寛大で、見知らぬ人間に対しても金銭的に譲歩していたそうだ。研究チームは今回の研究によって判明した結果について「オキシトシンには利他主義を誘発する作用もある。」と発表した。
オキシトシンは安らぎの“癒しホルモン”? 皮膚と心の幸せなつながり #1

スペシャリストのみなさんは、毎日のお仕事でお客様に触れることが多いと思います。

この「触れる」こと。じつは体の中に大きな変化をもたらします。そのキーワードは「オキシトシン」「温度」「触覚」。『人は皮膚から癒やされる』(草思社)の著者、山口創先生は、スキンシップで体と心に起きる変化を研究する大学教授。「オキシトシンは、優しく撫でられたり、施術を受けて安心することによって分泌されるんですよ」といいます。

山口先生によれば、相手の体温のぬくもりや、触れる感覚も大切だとか。オキシトシンの効果と生み出す方法、そして「触れる」ことの意味を、いろいろ教えていただきましょう。これを知れば、お客様を、サロンを、そしてまわりのみんなを安らかに変え、リピーターを増やすことができるかもしれませんよ。

オキシトシンって? 癒しホルモンの生まれるメカニズム

最近の研究で、オキシトシンというホルモンが明らかになりつつあります。「癒しホルモン」「安らぎホルモン」などと紹介されるこのオキシトシン、すごい効果があるんです。
その前に、そもそもこの「ホルモン」って何だと思いますか?山口先生のお話に入る前にちょっとだけ説明しましょう。ついてきてくださいね。

私たちの周りの環境は、気温が高くなったり、低くなったりします。また、仕事でストレスにさらされたり、大好きな人の前でカーッと赤くなるなど、心の変化によって血圧なども微妙に変化します。また病気になったり転んで怪我をすることでも変化しますね。どんな変化にさらされても、私たちの体には、体温を36度程度に保ち続けようという、「恒常性」が備わっています。

この恒常性を維持するための機能のひとつが、ホルモンです。ホルモンは数百種あるといわれ、体のいろいろな場所でできますが、オキシトシンは脳の中でできます。さまざまな刺激を受けると、オキシトシンは脳の視床下部というところから、血管を通って、体内のいろいろな場所へ運ばれるのです。


オキシトシンを生み出す刺激とはどんなもので、どうなるのでしょう。例えば、赤ちゃんがお母さんのお乳に吸い付くと母乳が出る、妊婦さんが出産をするときに子宮が収縮する、そして、美容室やサロンなどでゆっくり、優しくさすられることで気持ちが穏やかになり、優しい心に変わっていく。これらはすべてオキシトシンが関わっています。性交時でも分泌されるので、ときに媚薬のようにも語られますが、それだけオキシトシンは体に広く影響しているということです。

オキシトシンが分娩やお乳を出すために作用することは古くから知られていましたが、最近の研究では、オキシトシンが心(脳)にも作用して、痛みを抑えたり、愛情や信頼、安らぎを作り出すことが明らかになりつつあるのだそうです。

山口先生は、ご自身の著書『人は皮膚から癒やされる』(草思社)で、「触れること」とオキシトシンの関係について、「タクティール®ケア」というものを取り上げながらこう書いています。タクティール®ケアとは、介護施設で利用者に施しているケアのひとつです。


タクティール®ケアは心地よさや安心感、痛みの軽減効果が検証されている。その根拠と考えられているのが、オキシトシンの分泌である。(中略)オキシトシンはセロトニン神経を活発にするため、不安や抑うつを和らげる効果もある。『人は皮膚から癒やされる』(草思社)139pより
触れる、撫でる…優しくされると信頼感が強まる

セロトニン神経というのは、心の乱れを改善してくれる神経のこと。オキシトシンは、このセロトニン神経にも働きかけてくれます。オキシトシンが体の中で高まると、信頼感が強くなり、闘争心が抑えられ、愛情あふれる穏やかな心になるのです。
「優しく撫でられること以外にも、ハグしたり、目を合わせる、他人に優しくすることなどでオキシトシンは大量に分泌され、心に作用していきます。心と体を健康にする効果があるといってもいいでしょう」


山口先生は、そう教えてくれました。心に効果があるのはわかりますが、体も健康にする、とはどういうことでしょうか。ご著書の中には、アメリカや日本で行われている実験が紹介されていました。それは、自閉症スペクトラム障害の人に、オキシトシンを投与するという研究です。自閉症スペクトラム障害の人は、遺伝的に脳内のオキシトシン分泌量が少ないことがわかっています。

その人たちに、オキシトシンの点鼻薬を定期的に吸わせ続けました。そうしたら、コミュニケーション障害が改善した、という結果が出たのです。もちろん完全に治ったわけではありませんが、症状を軽くすることはできる、と山口先生は書いています。これは特別な実験ですが、もっと身近な例では、さきほどのタクティール®ケアを認知症の患者に施したところ、行動が落ち着き、こわばっていた手足の筋肉が和らぐ、という効果もみられたのだそうです。

私たちの体に備わっているオキシトシン、これほど効果の高いホルモンなのです。

施術者のオキシトシンレベルも上げる効果が?

「じつはオキシトシンは、施術された側だけでなく、施術した方にも効果があるのをご存じですか」

山口先生が驚くような質問を投げかけてきました。施術者にも効果があるとは?ご著書に紹介されていた例を挙げてみましょう。今度はセラピューティック・ケア®を施した実験を紹介します。セラピューティック・ケア®も同じように介護施設などで施されているケアです。

施術された側のオキシトシンレベルは上がったのですが、施術を施した側のオキシトシンレベルは、それ以上に上がっていたのだそうです。同時にストレスホルモンの「コルチゾール」も減り、免疫力が上昇するという結果になったということです。

さらにこのオキシトシン、オキシトシンレベルがもともと高い人に施術されると、より高くなるということもわかったそうです。

オキシトシンにはいい効果がたくさんありますが、副作用として、小さい子どもを持つお母さんは、このオキシトシンによって子どもを守ろうという気持ちが強くなり、攻撃的になる場合があるとの報告もあります。
「とはいえ、9割以上はいい効果があるので、オキシトシンを生み出す施術は必要なことだといえます」と山口先生は教えてくださいました。

#2では、次のキーワードとなる「温度」と「触覚」について、そして「触れ方」についても教えていただきましょう。

インタビュー写真・取材・文/鈴木理栄

Profile


山口創(やまぐち・はじめ)先生

臨床発達心理士、桜美林大学教授
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、健康心理学・身体心理学。
聖徳大学講師を経て、現在は桜美林大学教授。
著書に、「子供の脳は肌にある」(光文社新書)、「手の治癒力」(草思社)、最新刊は「人は皮膚から癒される」(草思社)など多数。

山口創先生Facebookページはこちら

Information


「人は皮膚から癒やされる」(1,404円/草思社)

人と人が直接触れ合うことで、心にどんな変化が起きているのかを、科学的に説明する。愛情を持って接すれば、脳から出るホルモン・オキシトシンが絆を作り、温かい心になることがよくわかる。また「触れる」こと、「寄りそう」ことが日本の文化の中でどのような意味を持つのかにも注目した画期的な本。専門的な内容を、誰にでも分かりやすく、やさしい言葉で書いているので、読みやすい。

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「温度」と「触覚」が癒しに関わる理由とは?皮膚と心の幸せなつながり #2>>