こんにちは、漢方医KOUです。

 

新型肺炎(2019-nCoV)コロナウイルス感染症のニュースが毎日のように報道されています。

 

現在私は内科外来と漢方外来のみの診療ですが、ここ数日は毎日患者さんから、「新型肺炎ってどんなものなんですか?」「何に気を付けたらいいのですか?」などといった質問を多く受けます。

 

インターネットの活用によって情報過多な現代は、正しい情報もあれば全く根拠のない間違った情報まで出回ってしまい、便利になった一方で、より情報に混乱させられることもあります。

 

「怖いです(新型肺炎が)」という声をかなり聞きます。

 

確かに、新型のウイルス感染症は「怖い」に越したことはないのですが、私たち医療従事者が感じているそれよりも、もっと漠然とした、大きな恐怖感を患者さん方が感じているように思います。

 

今回は、新型肺炎(2019-nCoV)について、現時点で私が得た最新情報、それも信頼性のある情報を、最後に少しだけ私の意見・見解も含めてお話しようと思います。

 

さんざん、「現代は情報過多で、不確かな情報が多い・・・」と書きましたが、それを言っている私すら、この “ブログ”という何の根拠も資格確認も有しない場所に、このような情報を載せており、それはどうなのか?と思われる方もいるかと思いますし、その通りだとは思いますので・・・

 

今回は、感染症で有名な山本舜悟先生が2020年1月28日に医療従事者向けに発表した「15分でわかる、新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症」の内容を分かりやすく要約しようと思います。

 

 

https://www.slideshare.net/shungo1977/152019ncov

 → 1/31の朝より非公開になっています。(理由は分かりませんが、3日前の情報はもう古い、といったことかもしれません…)





 

「15分でわかる、新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症」

2020年1月28日現在の情報で作成された内容です(新たな見解がなされる可能性もあります)

 

・そもそもコロナウイルスとは?

コロナウイルスには何種類かあり(人に感染を起こすものは6種類)、私たちがよく風邪をひく、その原因ウイルスでもあります(普通の風邪の原因の10~15%がコロナウイルス)。

→普通の風邪で死んでしまう人は少ないですよね?ですので、私たちがよくかかる風邪の原因ウイルスであるコロナウイルスの重症度はそんなに高いものではありません。

→コロナウイルスの中には、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)のように、重症化リスクが高いものも過去に流行しました。マーズやサーズ、聞き覚えありますね。

今回は、これらとは違う、別のコロナウイルスが発見されたのです。

 

・流行初期の肺炎患者41人の特徴

→平均年齢49歳(41~61歳)

→男女比は2.7:1

→32%の人が基礎疾患(糖尿病、高血圧、心臓病、肺病、癌、慢性疾患)をもっている人だった

98%の人が発熱(37.3-39.0)、76%の人が咳、55%の人が呼吸困難、44%の人が筋肉痛や倦怠感、28%の人が痰、、、というような症状が目立った。逆に、下痢や咽の痛みを訴える人はほぼいなかった。

死亡率は2.9%だった。この数字は、普通の風邪や、季節性インフルエンザに比べて随分高い。死亡した人のほとんどが65歳以上または基礎疾患(上記)をもっている人だった。→高齢者や基礎疾患を持っている人が重症化しやすい。

→しかし、流行初期は重症例を中心に検査されるため、軽症患者を分母に足せば、本来の致死率(死亡率)はもっと低いはず。しかし、まだ重症化から回復してない人の中に死亡してしまう人もでてきてしまう可能性あり、現段階ではなかなか判定しずらい。

 

・新型肺炎(2019-nCoV)は・・・・

症状だけでは普通の風邪との鑑別は難しい。

→あえて言えば、鼻水・くしゃみ・咽の痛みが目立たない。

1人の感染者からうつってしまう人数の平均値は、現段階では1.3-2.5人、と言われており、季節性インフルエンザが1-2人であることを考えると、それよりもう少し感染しやすい。

 

・感染予防について

主な感染経路は接触感染と飛沫感染。ようするに、普通の風邪やインフルエンザと同じように、ウイルスがついている所を触って、口や鼻にウイルスが付いてしまうことを防ぐこと、人のくしゃみや咳などを浴びないようにすること、である。ので、手洗いやうがい、マスク、人込みや外出を避けることが予防となる。(一部空気感染という声も・・・→よく分かっていない)

→咳エチケットは大事!マスクをすること、マスクがない場合はティッシュやハンカチで口と鼻を覆うこと、とっさの時は腕の袖で口と鼻を覆うこと。

→マスクはきちんと鼻と口を覆うこと。

 

・日本での検査体制

→2020年1月28日現在、疑わしい状況の人(このウイルスへの曝露歴があり、肺炎を起こしている人)のみ、保健所を通じて地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査をする。

→検査は即日には出ない。

「心配だから念のため」などの軽症の人や、無症状の人を検査することはできない。

→よって、軽症で検査できない人=もしかしたら新型肺炎かもしれない人も、普通の風邪のような対応となる(普通の風邪と同じように、ウイルスに対する治療薬があるわけではないため)ため、そのように診察された人は、なるべく自宅安静し、他の人にうつしてしまう可能性を下げること(もちろん自分の体調のためにも)が重要。

→普通の風邪は発症から3日を過ぎれば症状のピークが過ぎて良くなっていくことが多いが、(2019-nCoV)は発症から1週間前後で悪化することが多いので、3~5日してもよくならず、悪化している場合は再受診することがよい。

(2019-nCoV)に限らず、風邪やインフルエンザの予防方法として大事なのは、よく寝ること(睡眠不足は風邪のリスクになる)、よく栄養をとり、咳エチケット、水うがい、手指の衛生、人込みをさける、具合が悪かったら休む、といったこと。

 

 

 

 

 

 

以上が、山本先生のスライド内容を要約したものです(若干の私の解釈を加えましたが)。

 

ようするに、現段階ではまだ、感染力がどのくらい高いのか、重症率・死亡率がどのくらい高いのか、まだ分かりかねていて、今後の新しい情報を追っていく必要があるのですが、、、それでも、現段階で分かっている情報から判定する限り、

・感染力は普通の風邪やインフルエンザよりは少し高いが、普通の風邪やインフルエンザを予防するような方法でよい

高齢者やもともと病気(糖尿病や心臓病やその他慢性の病気)をもっている人が重症化や死亡のリスクが高いので、より気を付けること。

・無駄な外出をさけたり、具合が悪い時は無理をしないこと。

カラダとココロを養生して(睡眠、食事、ストレスなどなど)、自分の免疫力を下げないように心がけること。

 

これらを抑えておくことがよいでしょう。

 

ちなみに、このウイルスに対する治療薬はない、と書きましたが、それは西洋治療での言い方です。

ウイルス感染症の治療薬=抗ウイルス薬、といった認識だと思いますが、漢方の場合では違います。

 

これは決して、新型肺炎に対して漢方薬がいい、と言ってるわけではありませんし、新型肺炎を診断する医師の大多数は漢方専門ではないですので、むしろそんなことはしない方がいいと思いますが、

どんな新型ウイルスや菌が発見されたとしても、それに対する治療薬を開発したり作ったりすることなく、患者の症状や全身状態に応じて治療ができる漢方治療はやはり(ちゃんと使いこなせれば)大きな利点があるなぁと個人的にまた感じてしまったのです。

 

 

以上です。現時点での最新情報です。体調を案じて警戒することは重要ではありますが、どうか漠然とした恐怖感を抱えすぎず、、怖がりすぎず、お過ごしいただきたいと思います。






【2/2 追記】

最新版が書かれました。→こちらのリンクは見られます。


大きな変更点?って程でもないですが、パッとみたところ、

・日本の症例では、(前回は少ないと伝えた)喉の痛みや鼻水、下痢などの消化器症状を起こす人もいる。→でも稀だけど

・感染力はほぼインフルエンザと同等くらい

・感染(ウイルスに暴露してから)から発症(症状が出るまで)はだいたい〜5(〜12)日間くらいまでなので、観察期間を(暴露から発症しないか注意して見る期間)14日とするのは妥当か。

・小児は恐らく症状がでにくい(小児例が皆無ではないが少ない)


と言ったところでしょうか。


今回は、著者の先生が、医療従事者以外の方にもよい説明を最初にしてくれていますので、よかったら見てみてください。


世間は新型肺炎パニック?になってますが、、

特に冬時期は、新型肺炎に限らず、注意して予防に努めるべき感染症がたくさんあります(普通の風邪や胃腸炎も含めて)。これは今年に限ったことではありません。

「新型肺炎」にばっかりとらわれず、感染予防として大事な体力保持や手指衛生など、出来ることをして、怖がりすぎず、また自分だけじゃなくて周りを思いやって、元気に過ごしていきましょう😊❗️


最新版はこちら↓


https://www.slideshare.net/mobile/shungo1977/2019ncov20200130