偏差値73の幸は14歳の冬偏差値60の女子校に進学する事にした。
3歳違いの弟宏はトップ校に進学するのは困難だろうと考えたからだった。
二人姉弟家庭で女がトップ校男がそれ以下では親戚の手前もあるが一番は宏のプライドを守りたかった。


幸は女子高から地元の国立大学に進学し卒業して商社に就職した。

幸は東京の大学進学希望だったが宏は地元の国立大学は無理だろうから何処か地元以外の私立大学に進学すれば二人同時に掛かる入学金交通費アパート代を未亡人の母に負担は重すぎるからだった。

宏はトップ校の受験に失敗し二次志望校を卒業し二浪して関東の無名大学を無事卒業した。

宏は地元で就職活動するも困難を極め夏を過ぎても就職は決まらなかった。

同僚と結婚前提の交際が始まっていた幸は自分は退社するから弟を入社させて欲しいと会社に願い出ていた。
貴女の弟さんなら良いでしょうとすんなり就職は決まった。
幸は28歳で結婚し女子二人を授かり専業主婦になり幸わせに暮らしていた。

宏も社内結婚し男児二人をもうけた。

しかし長女が中学生に成った頃から夫と些細な事から
言い争うようになり帰宅しない日が続き長女の高校受験の間近に迫った暮れ出て行ってしまった。

女と同居始めたらしいと同僚の宏から情報が来た。

夫から生活費は振り込まれていて幸のアルバイトと
母からの援助もあり生活に困ることはなかった。

長女が医学部を卒業し医師免許を取得し医師として働き始めた頃幸の乳癌が見つかり入退院を繰り返すようになった。

長女と三歳違いの次女も医学部に進学していて卒業と
国家試験に向け猛勉強中3年の闘病の末幸は56歳で黄泉に旅立ってしまった。
喪主は長女が務め父親は客席にいた。
父親は既に退職していて間もなく病死した。

宏は60歳で定年を迎え商社の子会社の社長に就任した。

ある日宏は親族の法事に出席していた。
寺から戻り料亭で膳に付いていた宏に話しかける人がいた。

「姪ごさん元気にしていますか」
宏はちょっと驚いたように相手の顔を見て少し間をおいてから

「さぁ連絡取ってないから  まだ独身でいるんじゃないかな!」