ガチャガチャは買い物が終わってからするのが決まり事。
母親
『早くしてちょーだいね。お肉とアイス溶けるよ。』少年
『うぅーーん、待って!』
(ガンダムのガチャガチャにするか、ドラゴンボールのそれにするか)
(ぎゅっと握りしめる少年の百円玉はほんのりあたたかくなる)
母親
『決まった?』
少年
『んーーん、ん! ガンダムのやつにする!』
(ガチャ、ガチャ、ガチャ、百円玉に思いを込めて3回右に回してと)
少年
『やった!お母さん!ガンダム出た!』
『やったー!やったー!』
少年は飛び上がって喜びながら車の方へ走っていく。
スーパーの隅っこ、少年と母親のやりとり。
30年後・・・
少年は父親になって、あのときの母親と同じ景色を見ている。
せいちゃん
『パピコ溶けるから早くしよーな!』
(百円玉をぎゅっと握りしめて、悩むせい子)
せい子
『んーーん、待って!』
『ん!こっちにする!』
せいちゃん
『せい子、今は百円玉もう1個いるんだよ、はい。』
(ガチャ、ガチャ、ガチャ、百円玉に思いを込めて、3回右に回してと)
せい子
『やったー!これ当たったー!』
せい子はジャンプして喜びながら屋上駐車場の方走っていく。
その嬉しそうな後ろ姿を見ながら
僕は
何か、幸せだなぁと素直に感じた。
その瞬間、仕事のストレスを忘れていた。
その瞬間、お金の心配を忘れていた。
その瞬間、未来の不安を忘れていた。
ふと思う。
30年前のあの瞬間
母親も、はしゃぐ僕を見て、幸せな気持ちに包まれていたのかもしれない。
母親は父親の借金にずっと苦しんでいた。
僕はずっと、母親は借金に苦しんで、かわいそうな人だと思ってきた。
けど
あの瞬間、母親は、喜んで走る僕の後ろ姿を見て、幸せだなぁと感じてたのかもしれない。
あの瞬間、借金返済のストレスを忘れて
あの瞬間、お金の心配を忘れて
あの瞬間、未来の不安を忘れていたかもしれない
あの時代、お母さんはかわいそう、苦しそう、だけじゃなくて幸せなときもあったのかもしれない。
いや、あったんだろうなぁ。
今なら、そう思う。
あのときの母親の思いが今の僕に届いた感じがした。
なぜか、ほっとして、スーパーの階段で、泣きそうになった。
ときどき、こんな事が起こる。
それにしても
ねこ娘、こんなかわいかったかぁー?。
誰を生きてる?自分を生きる✨
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