今日は、いよいよあの日。
準備はよし!
でも、どうやって渡そう。
しょうちゃんは忙しそうだしな…
オレは冷蔵庫に隠すように入っている小さな箱を取り出した。
実はこっそり作ってみたんだ。
作り方は潤くんに聞いた。
誰に渡すのかって事は潤くんだって分かってるはずなのにオレに「誰にあげるの?」なんて言ってニヤニヤしていた。
「別に…潤くんだって分かってるでしょ?」
「いや…分からないなぁ」
そう言って嬉しそうにする。
「言っとくけど潤くんじゃないからね!」
「分かってるよ。それより、次の作業ね。」
「あ、うん。これで固めればいいの?」
「そう。」
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出来上がったチョコが入っている箱を眺めて少しドキドキしていた。
手作りなんてやっぱり恥ずかしいかも…
オレは冷蔵庫にまた箱を戻した。
夕べ帰りが遅かった翔ちゃんはまだ寝ている。
寝室をこっそり覗くとよく眠っていた。
今日は、もう出掛けなきゃいけないし。
しょうちゃんは起きて来ない。
夜でもいいかな。
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今日は仕事をしてても何だか落ち着かない。
潤くんからもしつこくLINEが入る。
《もう、あげた?》
《まだ…》
仕事が終わり、急いで翔ちゃんとの家に帰った。
部屋は真っ暗だった。
あれ?今日は翔ちゃんいるはずなのにな。
まだ寝てる?…わけないか…
一応寝室を覗く。
いないよな。
ソファーに深く座るとそのまま眠っていたみたいだ。
何か温かいものを感じた。
「…カズ」
うっすらと目を開けるとしょうちゃんがオレの目の前にいた。
「あれ?帰って来たの?今日仕事だったっけ?」
「いや…」
何か温かいものはしょうちゃんの唇だったみたいだ。
オレを包むように抱きしめるとしょうちゃんの唇がオレの唇に触れた。
「ふふ、翔ちゃん急にどうしたの?」
「…うん。」
何だか照れくさそうにしていたしょうちゃんが、上着のポッケトから何か取り出した。
「これ。」
「へっ?」
オレは思わず変な声が出た。
「カズ、なんて声出してんだよ(笑)」
「えっ、だって。」
オレはしょうちゃんの腕の中からスルリと抜けると冷蔵庫まで行ってあのチョコの箱を取り出した。
「これ。」
「えっ?カズも用意してたの?」
「うん。恥ずかしいけどさ、手作り…」
そう言ってる自分が恥ずかしくなって耳が真っ赤になっているのが自分で分かった。
「ははは、マジで?!」
「もう、笑わないでよ」
「ごめん、でもさ。俺も実は手作り(笑)」
「へっ?」
「また、変な声出して(笑)」
「だって…」
「たまにはいいかなって思って潤に聞いたんだ。カズは?」
オレは潤くんが妙にニヤニヤしていたのを思い出していた。
「あのさ…潤くんに作り方いつ聞いたの?」
「えっ?俺はもうだいぶ前に…」
そこまで言ってしょうちゃんはハッとしたみたいだ。
「カズも?」
「そう(笑)」
「だからか。今日やけに潤くんからLINEが来て渡したか?って。それにこの前会った時もチョコの話しになると妙にニヤニヤしてたんだよな。」
「お互い、潤くんに教えてもらってたんだ(笑)」
オレたちは、お互いのチョコを食べることにした。
「ほら、カズ。」
しょうちゃんは、オレにチョコを食べさせてくれた。
「今日は、カズをたくさん愛したい。」
そう言いながらしょうちゃんは恥ずかしそうにオレを抱きしめた。
すると、柔らかい唇がオレの唇に触れた。
甘い…
あまーいキス。
そのまま二人でひとつになって、甘い夜になった。
しょうちゃん、大好きだよ。