片想いのその先に。「君の声」②ニノ | ニノのこと♡少し韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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君はひとしきり泣いたあと顔を上げて俺を見た。


「カズ…?」


「なに?」


「何も聞かないの?」


「……なにって?」


「ん、ごめん。帰る。」

君は立ち上がると涙を拭きながら玄関へと向かった。

狭いアパートだ。

玄関まですぐに着く。

靴を履いている君を見て「どうしたの?」


そう聞いた。


きっと、聞いて欲しくてここに来たんだろう。


大野さんと俺が友達だって、ただそれだけでここに来たんだ。


「うん…」

君は玄関で靴を履いたまま俺の方に振り返った。


「…私と智…結婚するの。」


俺はドキッとした。

やっぱりあの電話はそうだったんだ。

君が言おうとしてたことは俺が思ってた通りだった。


でも、そのあと君の口から聞いた言葉に少し嬉しくなったのは…本当だ。


「でも…別れる。」


「はっ?何言ってんの?」


「浮気…したから。」


「大野さんが?あの人はそんな事するような人じゃないでしょ?」


「違うの。私…私が…」
そこまで言うと君はまた泣き出した。


「はっ?」

俺は少し混乱した。

君が浮気?
嘘だろ?

だって、大野さんの事 誰よりも好きでそれで俺を悩ませてきた。

ずっと片想いだったんだ。


「本当なの。でも…」


「でも?」


「浮気って言っても智の勘違い。」



「えっ?だったら…」


「たまたまね、男の人と一緒にいる所 見られて。」


「違うんだったら違うって言えばいいじゃん。」


「でも…」


「大野さんは?別れるって言ってんの?」


「言ってない。」


「だったら…」


君の声が遠い。


「誤解を解くのは難しくて…智…嘘は嫌いでしょ?」


「でも、嘘は言ってないんだろ?」


「…うん。向こうがね、相手がしつこいの。しつこくて…断ろうと思って二人で会ったのがいけなかった。」

君は泣いていた。

これ以上君の口から聞きたくなかった。

何となく状況が分かった。


「誤解されたまま結婚しても…ダメでしょ?」


「でも、ちゃんと話せばいいだろ?ちゃんと誤解を解いてさ。」


「無理だよ。カズごめん。もう帰るね。」


なんなんだよ。
俺に爪痕を残して君は玄関から出て行った。


追いかけて捕まえて抱き寄せたら…

俺の所にくるかな。

そんなふうに思う自分も嫌だった。


ベッドから立ち上がり玄関へ行き、ドアを開けた。

君はもういなかった。


君の声だけが耳に残る。


別れる…そう言った、君の声。


俺は追いかけることもせずそこに立ち尽くした。


君が泣いたぬくもりもまだ残ってる。


君は爪痕だけを残して俺の前からまたしばらく姿を消した。




片想いのその先に、君との未来はあるのかな。




俺はまたベッドに横になった。