日差しが強い午後。
暑くて汗が出る。
それでも時折吹く風が心地よかった。
「ねぇ、カズもそろそろ海に入ったら?」
櫻井がそう言いながらTシャツを脱いだ。
「まだ、入んない。」
「じゃあ、俺は行くよ。暑くて無理だ。」
汗だくになった櫻井はズボンも脱いで水着になった。
二宮は日差しを避けるように日陰を探した。
ちょうど後ろに大きなヤシの木があってその下が日陰になっていた。
二宮はその木の下に腰を下ろす。
座って4人を見ていると楽しそうで自分も自然と笑顔になっていた。
ここに来れて本当に良かった。
二宮は心からそう思った。
まーくんの事も、おーのさんがケガをしてしまった事も。
美紀ちゃんの事も。
すべて夢だったんじゃないかと思えた。
おーのさんのケガはすっかり治った。
抜糸の時に痛くてちょっとだけ騒いだ事は内緒にしてあげる(笑)
あの日、病院に行くのを嫌がった大野を二宮がなだめて連れて行った。
「おーのさん、ダメですよ。行かないと。」
「えー、でも。次は抜糸するって言ってたし。抜糸痛いって聞くしさ。今日はやめておく!」
大野は自分の腕を擦りながら言った。
「もう、何言ってるんですか?子供じゃないんだから。」
二宮は大野の腕を引っ張って楽屋を出た。
収録後に病院に行くと大野が二宮に話していた。
けれど収録が終わると急に今日は帰ると言い出したので二宮が理由を聞いた。
「だって抜糸って痛いんでしょ?」
「はぁ?」
「だから抜糸、今日するって言ってたし。だからさ...」
「あのね...。」
二宮は小さくため息をついた。
仕方なく二宮は楽屋から大野を引っ張り出してマネージャーの車に無理やり乗せた。
「えー、やだよー。やっぱり明日にしよう?」
「ダメ!」
「えぇー、やだなー。」
「だって、抜糸しなきゃどうするの?」
二宮は半分怒っていた。
「そうだけど...」
「斉藤さん、早く病院まで行って。」
「あ、はい。二宮くん怒ってますね...」
「そりゃ怒るよ、おーのさんは本当にさー・・・」
何やらぶつぶつと言っていた。
病院に着いたら着いたで「やだな。やだな。」とばかり言っている大野を診察室まで連れて行き「とにかく早くやって下さい。」と白石先生に押し付けた。
俺が診察室の外で待っているとおーのさんの声が聞こえて来た。
「痛っ!!!」
しばらくして診察室から出てきた、おーのさんは「大したことなかったよ。」と、笑って俺に言った。
それが可笑しくて俺は笑ってしまった。
今思い出しても可笑しい(笑)
でも本当に良かった。
少し傷跡は残るけど。
良かった...
二宮は本当は自分が怪我をしていたかもしれないと言う事がずっと引っ掛かっていた。
おーのさんが身代わりになってくれた。
ずっとその事が頭から離れない。
二宮はそんな想いで4人を見つめていた。
続く