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それからしばらくは、いつも通りの日常だった。
タケルくんとも相変わらず仕事では一緒になる事が多かった。
教えてもらった連絡先へは連絡する事もなかった。
潤とも相変わらずだ。
「おはよ。あけみ今日は遅いの?」
「ん?なんで?」
「今日仕事早く終わるんだ。」
「そっか。私はいつも通りかなー。夕方には帰るよ。」
「良かった。じゃあ、今日は俺が夕飯作って待ってるね。」潤はニコッと笑った。
「うん。急いで帰って来るね。」
朝のキスは幸せを感じた。
今日も私の方が出勤が先だった。
潤くんに手を振ってマンションを出た。
職場に着くとタケルくんが事務所にいて先に仕事を始めていた。
「あけみさん、おはようございます。」
「おはよう。早いね。」
「はい。いつもより早く着いちゃって。」
「そっか。」
「あの、あけみさん、この前渡した連絡先って間違ってませんよね?」
「えっ?タケルくんの連絡先?」
「はい。あけみさんメール送ってくれました?」
「えっ?送ってないけど?」
「そうですか?連絡が来ないんで教えたアドレスが間違ってたかなーと思って。」
そう言えば連絡先を教えてもらったのにタケルくんにメールを送ったりはしていなかった。
「メール。送ってないね、そう言えば。」
「そうですよ。せっかく教えたのに(笑)」
「あは、ごめん。いつも職場で会ってるしわざわざメールすることもないかなーなんて。」
「んー。でもあけみさんから何か連絡が来るかな?って思ってずっと待ってたんです。」
「ふふ、ごめんね。」
「いいですけど。あけみさんの連絡先も教えて下さいよ。」
「うん。じゃあ休憩時間にね。」
「やった!じゃあ、お願いします。」
なんだ可愛いじゃない。年下らしい(笑)
あけみはタケルの事を弟みたいだと思った。
それから休憩時間になり、約束通りタケルに連絡先を書いた紙を渡した。
「ありがとうございます。」タケルはニコッと笑ってあけみを見た。
「メール、してもいいですよね?」
「どうぞ。メールくらいならね(笑)」
「良かった。」タケルは嬉しそうに連絡先の書いた紙を見て自分のスマホに登録していた。
なんか、可愛い。
あけみはタケルを見てそう思って小さく微笑んだ。