５人の空 ２５

25

高橋は病院を出ると、自分のアパートに向かった。


やっぱり、相葉を開放しよう。

すっかり暗くなった道を歩きながら考えていた。




部屋に戻ると相葉は眠っていた。



寝てるのか…



高橋は相葉の隣に座り眠っている相葉を見つめた。


「美紀に会ってきたよ。」


「雅紀…」


高橋は相葉の髪をそっと触った。


「ごめん…。ごめん…。」


高橋は泣いていた。


その時、相葉が目を覚ました。


「…高橋？」


「美紀に会って来たんだ。」


「美紀？」


「覚えてないのか？」


「美紀…覚えてるよ。高橋が好きだった子。」


「いや…」

「えっ…違ったのか？」


高橋は首を横に振った。

「…今頃、元気にしてるかな？」

相葉は何気なくつぶやいた。

それが、高橋の勘に触ったのか「おまえなっ！」と突然立ち上がった。

「えっ？何っ？！」と相葉はびっくりして起き上がった。


「美紀はな…。美紀は…」


「何かあったの？」

相葉は何も力が入らないながらも立ち上がって高橋と同じ目線になった。

高橋は泣いていた。


「何があったんだよ？」相葉は高橋の肩を掴んだ。


「相葉…？おまえのせいだよ。」


「俺の？なんで？」


「あの日、美紀は事故で…」


「事故？だって美紀は海外に留学したんじゃ…」


「違う。」


「違う…？」


「アイツはっっ！！」

高橋はさらに相葉の肩をグイッと押した。

相葉は押された拍子に床に倒れた。


高橋はそのまま出て行った。



続く