『他に好きな人ができたから』
冷たく告げた、彼の声が、今も耳に残ってる。
愛してるって言ってくれなくなったのは、感じてた。
電話が面倒になられてるのも、知ってた。
メールが少ないのも・・
ハートマークが減ったのも・・
「東京にいる」って言ってた日に、
電話で思わず「今、稲毛」と言ったのも・・
いつもは疑っても笑って流すのに、
「だったら疑ってればいいよ」とため息ついたのも・・
本当は、全部、この日の前兆だったんだね。
わかってて、あたしは目を向けずにいた。
彼は、あたしと会う約束をドタキャンして。
他の女の子と会っていた。
会っただけじゃなくて、家に泊めて。
「浮気」をした。。。
電話で、別れ話をされて。
『泊められない。帰って』って言葉・・
あたしは、子供みたいに受け入れなかった。
「無理。帰りの交通費ないもん」
彼が帰って来ざるをえない理由を言って。
無理やり、会った。
会っても、何も変わらないことはわかってたし・・
別れが避けられないのも、電話の感じで分かった。
帰ってきて、煙草を吸いながら彼は・・
電話と同じように、別れ話をした。
『俺が言うのも変だけど、浮気は人としてありえないと思うし』
『そこまでしちゃったってことは、その子を好きなんだと思う』
『それなりの覚悟があって、俺もしたし』
『こんなことをしても、ミサと付き合ってくのは違うと思うし』
『俺は、その子と付き合いたいと思ってるよ』
そんな言葉の一つ一つが、とても悲しくて・・
胸に突き刺さって。
あたしは、何も言えなかった。
ただ・・
「最後の1日を恋人として過ごしたい」って
そんなワガママを彼に言いました。
*
本当に、あたしは、いつも通りの彼女を演じ切った。
作った夕飯を食べてもらって。
一緒に、テレビを見て。
いつもみたいに、くっついて。
キスをして、抱き合って・・・・・して。
『どうして、すっぱり別れないの?』
『なんで、別れるのにふつうにできるの?』
『なんで、こんな俺なのに・・・』
涙を流しながら言う彼に、あたしは笑顔で答えた。
「あたしは、まだ好きだからだよ」
どうして、そんなことができたのか分からない。
あたしに嘘をついて、他の子と遊んで、浮気をして・・
そんな彼に、どうして優しく接することができたのか。。。
「好き」って言えたのか。。。
笑顔を向けられたのか。。。
自分でも、わからない。
でも、悲しい終わり方はしたくなかった。
彼の記憶に少しでも残りたかった。
最後まで、笑って愛し続けたあたしの姿を・・
覚えててほしいって思った。
だから、笑った。
笑って、笑って、精一杯の愛を伝えた。
いつも通りに、彼の腕の中で眠って・・
最後だって思ったら、全然眠れなかったんだけど。
でも、彼に抱きしめられながら、朝を迎えた。
8時23分。
あたしが乗らなければいけない電車。
本当は、7時くらいに起きる予定だった。
でも、6時過ぎに、
彼が一度起きて、トイレに行って。
ベッドに戻ってきて・・
そこで、あたしは初めて泣いた。
「あと2時間しか一緒にいられない」
限られた時間が、すごく悲しかった。
彼は、その言葉を聞いて、何を思ったのかな?
ベッドの中で、ギュッって強く抱きしめてくれた。
きつく、息が苦しくなるくらい、抱きしめてくれた。
「あたしのこと、すぐに忘れちゃうのかな?」
『俺は、今まで彼女と別れたら、全部リセットして
自分の中から、その人のことを消して、次に進んでたけど
もらったネクタイは、これからも大切な日には必ずするし
ミサのことは、絶対に忘れないよ』
『こんなにストレートに気持ちを伝えてくれる人は初めてで、
だから、すごく辛いんだけど・・でも、俺は前に進んでいくよ』
抱きしめられながら、そんな会話をした。
泣いた。
彼も、泣いてた。
お互いに泣きながら・・最後に、愛し合った。
『俺にとって、ミサと過ごした時間は
今までの人生の中で一番大切で
なくしたくない時間だったよ』
「なら、なんで別れるの?」
「同じ気持ちでいるのに、どうして別れるの?」
『それでも、俺の決心は固いから』
何がいけなかったんだろう。
どうして、歯車が狂ったんだろう。
今は、ただ・・切ない。
*
起きて、支度をしてる間も「恋人」だった。
あたしが化粧する隣で、彼は髭を剃って。
彼が一服する時も、ぴったりくっついて。
家を出る前に・・キスをして、抱きしめ合った。
駅までの道・・
手をつないで、歩いた。
「あたしがいなくなること、少しは寂しいって思ってる?」
『うん・・誰かのことで、こんなに泣いたのは、初めてだよ』
「昨日、一緒にいて・・最後にあたしの愛は伝わった?」
『うん・・・・』
「なら、良かった」
最後の切符を買って。
改札の前で、最後のキスをして。
あたし達はサヨナラしました。
改札を抜けて、
後ろを振り返って・・
もう歩き出してる彼の後ろ姿を見て。
あたしは、名前を呼んだ。
改札にいた人たちが、振り返るくらいの大声で・・
彼を、呼びとめた。
振り返ってくれた彼。
あたしは、大きく手を振って。
伝えました。
「愛してたよ!!!!」
彼は、ゆっくり頷いて・・・
そして、手を振ってくれた。
それが、あたしと彼の「最後」。
電車に乗って、すぐにメール着信・・・
『おれも、愛してた。
ありがとう。頑張ろうね。ばいばい。』
人の目を気にせずに、
泣き崩れてしまった。
*
結婚したいって、思ってた人だった。
横浜と千葉の遠距離恋愛・・
距離を感じないくらい、何度も会いに行った。
いつの間にか、
彼のいる時間があたしのすべてになってた。
それが終わってしまったこと。
この上なく、悲しい。
悲しくて、悲しくて・・
どうしたら、立ち上がれるのか分からない。
でも、あたしも、前を向かなくちゃ。
いつまでも、泣いてばかりはいられない。
2010.07.02
大切な恋を、失いました。
また、いつか
心から愛せる人が現れたらいいな。














ホワイトデー




