さてさて大昔のお話でもしようかな。
あれはまだ私が華の24歳だった頃、
親友と週末呑みに出かけた夜の出来事だった。
普段は繁華街へ繰り出す私たちだったがこの日はなぜだか
地元のシャッター商店街を探索してみよう!みたいなノリで
高校生時代ぶりに地元の薄暗い商店街をウロツクことに。
時刻は零時。シャッター商店街は誰一人歩いておらず、
シーンとしている。
親友『ってか、やってる店自体ないじゃん』
私『うん(笑)』
二人でお揃いで買ったサンダルの高いヒールの音を響かせながらめげずに歩き続けると
路地裏に明かりがぼんやり漏れている二階建てのバーを見つけた。
親友『あれって・・・』
私『うん・・・』
親友『どうする?』
私『うん・・・・』
見つけたバーはまるで人の目を避けるかのように入り組んだ場所にあり、
どこが入り口なのかわからない割りにとても大きな建物だった。
入るのに勇気がいるのだ。
親友『覗いてみよう!』
私『えええ・・・待って~』
急に走り出した親友に私はしがみ付くように追いかけた。
しかし店の前に着くとどうしようと怯みだす親友。
そしてここまで来たなら中を見たくなる私(σ・∀・)σ
私『私見てくる!』
親友『え!?でも!なんだかんだ・・・』
親友の心配する声を無視し、私はそっとバーの扉を開けた。
すると店内も入り組んでおり、声はするものの中の人を確認できない。
遠くに下をむいたままグラスを磨いているバーテンを確認できたが、
タバコの煙のせいかはっきり見えない。
いったん扉を閉め、あうあうしている親友に状況を説明。
そして次は大きく扉を開けた。
カウンターに座っていた客が先に私たちに気付き、バーテンに指を指し私たちの入店を知らした。
バーテンはチラッとこちらを向き、
小さく『いらっしゃいませ』と言った。
扉付近で硬直状態だった私たちに客がカウンターへ座るよう声をかけてくれ、
ようやく私たちは歩き疲れた足を休めた。
しかし、初めて来て常連客に並びカウンターは少し緊張した。
カウンターには40代くらいの外国かぶれな日本人男性二人、30代くらいの白人男性が三人、
そしてまだギャルっぽさが抜けないミニスカートを履いた私たち二人。
簡単に挨拶し、相変わらず無愛想なバーテンにカクテルをオーダーした。
この夜がすごく長くなることを私たちはまだ知る由もなかった。