ガシャン!!
音がした方をみると、自転車が倒れていた。
どうやら女性がビルの中に自転車を入れようとして、階段を上り切れなかった様子。
僕は丁度そのビルの横で、仕事のメールを打っていた。
じろじろとは見ていないが、女性は年の頃なら40代だろうか。
まぁ、いつもやっている事だろうし、自分で起こせるだろうと放っておいた。
すると、起こさない。
手首をブラブラさせている。
…
視線を感じる。
“ん?”
“何か?”
声は掛けない。
そのうち、その外国人女性は、
“はーーーっ!”
深いため息を付いた。
“何?”
“手伝って欲しいの?”
しばらくすると、お国の言葉で何か呟いた。
その後、背後から唐突に、
『ニホンジンのオトコはツメタイネ!』と聞こえた。
“え?”
“それは僕に対して言ってるの?”
『ニホンジンのオトコはツメタイネ!』
もう一度聞こえた。
…
“なら、頼もうや…”
“コイツ察せよ!!”オーラを背後から強く感じた。
『すみません、自転車を上げて貰えないですか?』って言われたら快く手伝う。
でも、あからさまに、
“手伝って当たり前だろ!!”
みたいな態度で来られたら…
心の中で優しく
“お断りします”だ。
まぁ、そんな事は言っていても3度目の『ニホンジンのオトコはツメタイネ!』で、手伝いましたけどね。
そしたら、
『オニサン、カッコイイネ!』と。
外国人女性ってコワい…
いや、女性がコワいのか?
僕は紳士的に、全く感情を込めずに『ありがとうございます』とだけ言い、振り返る事もなく、その場を去った。
ふと看板を見ると、昔上司が行ったマッサージ屋さんだった。