勝手に大好評、「海外に出よう！いやまぢで」シリーズ。

第十一話になります。（前回までの話はこちら）

今回は、

愛すべきへなちょこ野郎、キヨシの物語。

日本人のお母さんと、アメリカ人のお父さんをもつキヨシ。

国籍はアメリカ。ルックスもアメリカ。ハートは日本人？

基本的に英語のみの環境で育ったキヨシは日本語が話せない

ハーフとして育ちました。

彼との出会いは、かれこれ15年も前かな。

僕がアメリカに来たばかりの時に、ロサンゼルスのリトル東京の交番

でやってたLanguage exchange/ Meet Upで出会いました。

Language exchange/ Meet Upとは、言語交換の交流/集いのこと。

この時は、英語を学びたい日本人と、日本語を学びたいアメリカ人

が集まるものでした。

ドラゴンボール、マクロス、エバンゲリオンなどの日本のアニメに

興味を持ったアメリカ人のキヨシ。僕らは第二言語としての

カタコトの英語とカタコトの日本語ごちゃまぜでなんとか

コミュニケーションを取ろうとしてたのを覚えています。

今でこそアメリカ人のアニメ好きはたくさんいますが、あの時は

そんな文化もまだすごくマイナーだった気がします。

パソコンも持ってなかったしな～。

彼の、言語を学ぶモチベーションの一つは、日本語のアニメを

日本語で理解したいから。アニメが好きだから。

そして僕も、アメリカに来たかった理由の一つですが、

好きなバンドの歌を英語で理解したかった。好きだから。

今回の物語の結論になりますが、「好き」は人を動かす。

「好き」っていう感情は、理屈じゃなく心が欲しがるもの。

好きなものは好き、人に言われてすることじゃなく、自分の心が

勝手に欲しがるもの。

それを正直に貪欲に追いかける行為は、時にすげー力を発揮する。

キヨシは、バンド（特にPunk,Ska）も好きだったので、僕らのやってた

PunkBand:Friday Knightsのライブにも来てくれるようになりました。

一緒にサンフランシスコツアーも回ったよな～、ありゃ楽しかった。

僕はそのLanguage exchange/ Meet Upには数回行っただけで、

いつからか行かなくなっていました。

それでも、ライブやなんかでたまにキヨシと会うと、彼の

日本語の上達ぶりにいつもビックリしました。

最初の頃は、英語と日本語のぎこちない会話だったのが、

いつからか気づけば、日本語のみの会話で普通に会話が成立してました。

彼は日本に留学したわけでもないのに、

今ではネイティブ並みの日本語を話します。

海外留学をせずに第二言語を習得するのは本当にすごい事だと思います。

彼は、Language exchange/ Meet Upに15年間通い続けたんです。

「継続」って努力はもちろんだけど、やっぱり「好き」が彼を動かしたと思う。

そして、何より成長する自分や人との繋がりを楽しんでいる。

そんな彼は日本人の友達が山ほどいます。それだけですげー財産だよね。

アメリカに居ながらそれをやったキヨシ、お前はホントにすげーよ！

って思います。

「知・好・楽」という言葉があります。

孔子とその弟子達によって書かれた『論語』の中の言葉。

一般的な解釈は

「知っているだけの人は好んでやっている人にかなわない。

　好んでやっている人も楽しんでやっている人にはかなわない。」

キヨシは、この8月から3ヶ月間日本に滞在しています。

なにやら秘めた想いがあるそう。

あえて、愛すべきへなちょこ野郎と呼ばせてもらったけど、

キヨシ、本気でがんばれよ！ラーメンばっか食ってねぇで（笑）。

言葉というツールを使って楽しんで、欲しかったチャンスを、

しっぽだけでもいいから掴んで欲しい。

そのまま、「好き」を正直に貪欲に追いかけてください。

追伸、

日本の皆さま、キヨシを街で見かけたら声をかけてやってください！
（元気がなかったら、ラーメンを食べさせてあげてください。）

海外に出よう！いやまぢで (11) ～好きだから～

海外に出よう！いやまぢで (11) 　～好きだから～