前立腺炎になると、前立腺のある会陰部から強い痛みが生じる事が多いですが、前立腺の周辺からも関連痛が生じる場合があり、腰、陰茎、陰嚢、肛門、足の付け根など、関係の無い部位が痛み出す事もあります。

前立腺炎は、前立腺(会陰部)の圧迫やうっ血による血流障害によって起こる場合があり、車の運転やデスクワークなどによる長時間の座位は、痛みや違和感が強くなる原因になります。

そのため、こまめに休憩を取るように注意して、軽く歩いたり、足腰の屈伸やストレッチを繰り返すなど、下半身の血行不良を改善する事で、前立腺の痛みや違和感を緩和できる場合があります。

また、お風呂でじっくりと下半身を温める事も、前立腺への血行促進や、周辺筋肉の弛緩作用によって、症状が改善できる事があります。

熱すぎるお湯に素早く入るよりは、少しぬるめのお湯にじっくりと浸かる方が、体の芯まで温まりやすいと言われています。

入浴剤やエッセンシャルオイル(精油)を使用すると、湯触りや香りを楽しみながら、自然にゆったりと長く入浴時間を楽しむ事ができます。

そして、お風呂上りは湯冷めしないように、しっかり体の水分を拭き取ったり、白湯や温かい飲み物を飲む事も有効です。

また、下半身のうっ血を防ぐには、あまり窮屈な下着やズボンは身に着けないように注意して、ゆったり余裕のある衣服を身に付ける事も大切です。
前立腺炎になると、前立腺内の組織に充血や腫れが生じる事で、痛みや違和感が生じるようになります。

お酒は、このような前立腺の充血や腫れ(むくみ)をひどくするために、お酒を大量に飲みすぎると、痛みや違和感などの症状が悪化する事があります。

また、前立腺内の尿道粘膜にも充血が起こると、出血を起こして血尿が出る場合もあります。

前立腺の腫れによって尿道が圧迫されると、尿が出にくくなるため、残尿感が生じるようになったり、頻尿になりトイレの回数が多くなる事もあります。

他にも、香辛料の多い辛い食べ物や、カフェインの多いコーヒーや紅茶なども、交感神経を刺激する作用によって前立腺の充血や腫れがひどくなるため、強い痛みが生じるようになる事があります。

そのため、治療中は刺激物の摂取は控えるように注意する必要があります。

また、便秘症も直腸内に残った便が前立腺を圧迫するため、排便しようとして腹圧が高くなった際に、前立腺が充血して痛みが生じやすくなります。

そのような下腹部痛(排便痛)を防ぐには、ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などの発酵食品をたくさん摂るように心がけたり、食物繊維が豊富な野菜、果物、豆類、海藻類なども積極的に摂る事で、腸内環境を整える事も大切です。

腸内環境が整うと、自然なお通じが得られるようになるため、前立腺の圧迫痛(圧痛)やうっ血による関連痛も軽くなる場合があります。
前立腺炎は、骨盤底筋や前立腺平滑筋の過緊張、交感神経の過緊張などから起こる場合があり、心身が緊張した状態でリラックスしていない時には、前立腺の痛みや違和感などの症状がひどくなる事があります。

また、ストレスによって生じた怒りや悲しみなどの強い感情は、筋肉や神経が緊張するため、体の冷えの原因になったり、自律神経やホルモンバランスが乱れる原因になる事が知られており、前立腺炎の痛みを引き起こす原因になります。

また、体の冷えによって筋肉や神経の緊張状態が続くと、血管が収縮して動かなくなった血液によって、前立腺に充血が起こりやすくなったり、老廃物が溜まりやすくなるために、発痛物質が生じて痛みが強くなる場合があります。

睡眠不足などから肉体疲労が溜まっている場合にも、筋肉や神経の過緊張が起こりやすくなります。

そのため、前立腺炎の症状を和らげるには、意識的に心身をリラックスさせて、筋肉や神経の緊張を解く事が大切になります。

呼吸は、筋肉や脳の働きと密接に関係していると言われており、ゆっくりと深い呼吸を意識して行う事で、気持ちを落ち着かせたり冷静な状態を保つ事ができ、心身をリラックスさせる効果があります。

また、ヒーリングミュージックなどのゆったりした音楽を聴いたり、アロマオイル(精油)で心地良い匂いを嗅ぐ事も、心身の安息、沈静作用に高い効果があると言われています。

山、川、海などの自然環境に触れたり、美しい景色を見る事も、心が癒され、高いリラックス効果が得られると言われています。

定期的に運動して汗をかく事や、自分の好きな趣味の時間に没頭する事など、自分なりの上手なストレス発散(解消)方法を見つける事も、前立腺炎の痛みを軽減できる効果が期待できます。
前立腺炎になると、前立腺の組織に腫れや充血などの炎症が起こるため、下腹部に痛みや不快感が生じるようになります。

このような症状は、腫れや充血を起こしている前立腺内に膿性分泌物が溜まる事によって起こるため、定期的に射精したり前立腺マッサージを行い、膿性分泌物を排出する事で、下腹部の痛みや不快感を緩和できる場合があります。

前立腺炎の治療中は、医師が週に1~2回の射精を勧める事もあり、前立腺痛の処置として前立腺マッサージが行われる事もあります。

しかし、細菌感染によって起きた前立腺炎(細菌性前立腺炎)の場合には、前立腺マッサージによって前立腺内の細菌が血中に入り込み、全身へと運ばれる恐れがあるため、禁忌とされています。

精液は、酸に弱い精子を守るためにphが弱アルカリ性になっており、また細胞内に栄養源を持たない精子の運動を助けるために、様々な栄養分が豊富に含まれています。

これは、細菌が繁殖する上でも好環境となるため、射精後にそのまま眠ってしまうと、細菌が尿道をさかのぼる上行性感染によって、前立腺まで到達してしまう恐れがあります。

射精後の排尿は、尿道内に残った余分な精液を洗い流す効果がありますので、射精後はトイレで排尿を済ませてから眠る事が大切です。