1人で休日出勤した帰りに馴染みの店で飲んだ夫。
そろそろお会計をと鞄からお財布を・・・。


「!?」
か、鞄がない!?


確かカウンター脇の空いた席に置いたはずなのに
見当たらなかった。


「本当に持ってきていた?会社に忘れたんじゃない?」
と、店のママ。


そう言われると、なんだかそうだったような気がしてきた夫。
何しろ徹夜明けの飲みで酔っていて記憶も少々曖昧だった。


手ぶらで来たのかな~
いやいや、会社を出た時に鍵をかけて鞄に入れたところまでは確かに覚えていた。


深夜の新宿3丁目。
ママと女の子が2人だけの小さな店。


夫の入店後、出て行った客は殆どいなかった。
出て行ったのは先ほどまでボックス席で盛り上がっていた男性3人組のみ。
3人組の誰かが間違って持っていってしまったのだろうか。


「さっき帰った3人のうちの1人はAさんで
今日はAさんが同窓会の帰りだと言って他の2人を連れてきたのよ。
Aさんの電話番号だったら分かるから。ちょっと待ってね。」


携帯を取り出してAさんに電話をかけたママ。
「・・・困ったわ~ 何度かけても出ないわ。」


もうこの段階で終電は諦めなくてはならない時間だった。
(ここで夫から訂正が入りました^^)
そもそも夫が店に行ったのが1時過ぎ。
この時は既に午前2時は回っていたそうだ。


「あら!このコート忘れ物じゃないかしら!?」
店の女の子が手にしたのは男性物の黒いコート。
残っている男性客の誰のものでもないことがわかった。

先程の3人組の誰かがコートを忘れ
そのかわりに人の鞄を持って行ってしまった?
Aさんにはまだ連絡がつかなかった。


ママがコートを持って店の外に出た。
もちろん、3人組の姿はなかった。


そこへ男性が1人フラフラと近づいてきた。
「あ~ママさんだ!よかった~♪」
3人組の1人Bさんだった。


Bさんは、Aさんと別れた後、
コートを店に忘れたことに気が付いたのだが
なにしろ初めての店だったので場所を覚えていなくて
フラフラ歩いて通りを行ったり来たりしていたところに
ママが外に出てきたのだ。(ママの顔は覚えていたのね^^)


なんてラッキーなBさん(笑)


ところで、Bさんに消えた鞄の話をしたら
「う~~~ん、だれも鞄なんか持っていなかったよ。
Aは物凄く酔っぱらって、さんざん転んだりして大変だったから
タクシーに乗せて帰らせた。
そしてCと次の店に行こうとしたところで
コートを忘れたことに気が付いて・・・。」
とのこと。




果たして夫の鞄の行方は・・・!? (つづく)




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