私にはやる事がある。
 
7月に開催されるワンダーフェスティバルで出展するためのフィギュアの制作である。
 
新作2体で出展予定のため忙しいのだ。
 
しかしだ。
 
最近どうも気が乗らない。
 
気乗りしない工程にとりかかっているのだが、息抜きで始めたつもりのネットサーフィンで数時間飛ばす事をここ一週間何度も繰り返している
 
やらなくてはならないのはわかっている。
 
 
ただ気が乗らないのだ。
 
 
 
 
 
しかも冬が過ぎ暖かくなってきて、絶好のツーリング日和である。
 
バイクに乗りたい。
 
やるべき事を放擲し、愛車のクロスカブ110に跨り何処かへ逐電したい。
 
 
 
 
そう思い続け、約一週間。
 
脳内討論を重ねた結果、ツーリング旅に出かけることにした。
 
 
我慢して作業に打ち込むべきとは思うのだが、結局ツーリングに行きたい欲に苛まれ、ろくに作業が進まないのは先週痛いほど思い知ったので思い切って行くことにしたのである。
 
 
 
 
 
 
 
朝5時、長野県の自宅を経つ。
 
ツーリング目的のバイクは心地よい。
 
思い切って出かけてみて良かった。
 
 
 
 
 
休憩地点の白馬村に到着。
 
 
 
 
 
豪雪地帯と名高いだけあって雪も残っていた。
 
 
 
 
 
 
トイレを済ませひた走る。
 
 
 
国道148号線を走るうちに小谷村を越え、新潟突入。
 
温泉地特有の硫黄臭から潮の匂いに代わってきた。
 
そしてついに日本海。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
やはり海は良い。
 
生まれてこの方海なし県に住み続けているものとしては胸に来る物がある。
 
 
 
 
 
 
海を見ながら少し走り、第一目的地、ヒスイ海岸に来た。
 
 
 
 
翡翠が拾える事で有名な海岸である。
 
もうすでに何人か拾っている人がいるので早速加わる。
 
 
 
怖いのは波である。
 
足元ばかり見ているとたまに来る大きな波で足を濡らす羽目になりかねない。
 
緊急時に駆け上るためのテトラポットに検討をつけ、波の隙間を縫って翡翠を探す。
 
 
 
大きな波音がした。
 
慌ててテトラポットに飛びかかる。
 
 
 
ゲームのムービーなら華麗に波を避け、テトラポットに乗れるのだろう。
 
しかしそこはどんくさい私である。
 
間に合わずに膝から下を波で濡らした上、テトラポットでスネを強打した。
 
 
 散々である。
 
 
 
 
 
 
ただ濡れただけならマシだが、波と一緒に入った砂が不快だ。
 
結局翡翠と思わしき石を数個拾って退散する羽目になった。
 
 
 
 
 
 
道中で体が冷えたら行くつもりだった入浴施設に向かう。
 
 
 
 
 
 
足を洗うついでに湯に浸かる。
 
長旅で疲れた体に沁みる。
 
 
 
 
予備の靴に履き替えて出発。
 
一応用意してきて良かった。
 
危うく旅先でABCマートの厄介になるところだった。
 
 
 
昼食を済ませ、フォッサマグナミュージアムへ。
 
先程拾った翡翠と思わしき石の鑑定をしてもらうのだ。
 
 
 
 
鑑定の結果は。
 
 
 
 
 
翡翠なし。
 
濡れ損である。
 
これはこれで旅の思い出なので引き出しに閉まっておく事にする。
 
 
 
 
 
 
翡翠の見分け方を教わったのでリベンジでまたヒスイ海岸に行った。
 
 
 
 
 
もう靴の換えは無いため、波にはこれ以上ないくらい注意する。
 
 
 
 
 
 
 
 
知識を得てから探すと、全くそれらしき石がない。
 
やはり素人が一朝一夕で手に入れられる代物ではないのだ。
 
 
翡翠かどうかはともかく、綺麗だった、という理由で数個拾って後にした。
 
 
 
 
鑑定はしてもらはないつもりである。
 
翡翠だと思いこんで後生大事にしよう。
 
これがロマンなのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宿にチェックインするため国道8号線をひた走る。
 
左手には日本海が広がる。
 
潮の香りに水平線。
 
これのためにここまで来たところがあるので感無量である。
 
 
 
 
 
 
 
宿にチェックインを済ませ、電車に乗って直江津へ向かう。
 
 
富寿し直江津店。
 
 
 
 
 
 
 
せっかく海の近くまで来たのだから海鮮、とくに寿司は外せない。
 
 
 
 
 
 
 
カワハギが特に美味だった。
 
寿司の上に乗ったキモ醤油で飲む日本酒がたまらない。
 
ついお代わりしてしまう。
 
 
 
 
 
 
たらふく食べて後にする。
 
 
 
電車まで少々時間があるのでバーへ。
 
 
 
響のロックとバターレーズン、シメに焼きおにぎりを頂く。
 
 
気さくな店主や常連の方との話を楽しんだ。
 
バーに一人で入ったのは初めてだったが楽しかった。
 
次はもう少し時間にゆとりをもって入ろうと思いながら駅に向かい、宿に帰る。
 
 
 
 
 
入浴等を済ませ床につく。
 
良い一日だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翌日。
 
 
 
生憎の小雨である。
 
さすが雨男の異名は伊達ではない。
 
当然準備はしてあるためカッパを着込み宿を発つ。
 
 
 
 
 
 
 
早い時間からやっているカフェに来た。
 
 
 
 
 
キューバサンドを頂く。
 
 
 
 
 
数週間前に「ザ・シェフ」という映画を見て食べてみたいと思ったのだが、たまたま行こうと思ったカフェにメニューとしてあるのは僥倖である。
 
 
 
 
 
カリカリのパンとチーズ、肉、ピクルスが美味い。
 
 
キューバサンドとコーヒーを堪能し、お土産を買いに道の駅へ寄った後、ついに帰路に向かう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
妙高高原を走り抜け、長野市経由で帰る。
 
寒いのは想定内だが思わぬ障害にぶつかる。
 
霧だ。
 
 
 
 
30メートル先が見えない程の霧の中を恐る恐る進む。
 
本来なら景色を楽しみながら走るつもりがそれどころではない。
 
ナウマンゾウで有名な野尻湖の横を通ったが霧で何も見えなかった。
 
 
 
 
 
霧に慄きながらも長野市到着。
 
無事ついて良かった。
 
長野に入るとうって変わって晴天である。
 
新潟、特に妙高付近は寒い上に雨が降っていたため、上着2枚の上にカッパ、マフラーという出で立ちで来てしまった。
 
昼食をとるついでに着替え、再び帰路へ。
 
 
 
 
 
道中の温泉に寄り道する。
 
 
上田市地蔵温泉十福の湯。
 
 
 
 
 
以前も利用した事があるのだが、ここの湯は格別だ。
 
何と言っても広い露天風呂。
 
温泉王国長野県においても、他を圧倒するくらい露天風呂が広いのである。
 
 
入浴後の楽しみも多い。
 
ジェラートや手打ちそばは勿論のこと、窯焼きピザまで用意してある。
 
 
 
 
一つ難点は混雑する事である。
 
比較的最近出来た施設の上に充実したサービス。
 
近年流行りのサウナも設置してある。
 
土日になると地元民はもちろん観光客でごった返す。
 
混み過ぎて駐車場に止められない事もあるそうだ。
 
今日はそこまででは無かったが、休憩スペースは満席になってしまっていた。
 
 
ただし浴槽は前述した通り広いため、浴場内が混雑して窮屈、という事はまず無い。
 
 
 
 
 
 
温泉とジェラートを堪能し、帰路につく。
 
数時間運転し、ついに帰宅。
 
 
 
 
 
 
 
 
良い旅であった。
 
しばらくツーリングは行かなくても良さそうだ。
 
 
たっぷり充電したので、気合を入れ直してフィギュア制作に臨みたい。
 
 
 
 
 
今月中に塗装見本直前まで進めたいところである。
 
少し急ぎすぎかもしれないが、夏ワンフェス後も色々やりたい事があるので頑張ろうと思う