前回の日記の続き。
納得行かなかったので、株式会社エル・ビー・エスから、今年2月に宮城県で行われた、
「小児難病・早期発見フォーラム 胆道閉鎖症の早期発見に向けて」
というフォーラムの開催記録を送っていただきました。
件のS市の赤ちゃんの事例が、USBA検査の有用性を証明するのに紹介されていたからです。
(会報誌153号に載っていました)
読み進めるとますますわからなくなりました。
USBA検査を進める先生方は、生後1ヶ月以内に葛西術を行うことを目標とされていました。
生後1ヶ月以内でも、脳出血で発見される赤ちゃんがいるからです。
予後を向上させる目的で運動を進めているそうです。
そして、件の赤ちゃんはフォーラムが2月に開催されたので、生後2ヶ月を過ぎていませんでした。
生後2ヶ月は過ぎていなかったけれど、
生後1ヶ月以内に葛西術を行うという崇高な理想をお持ちの先生が、
なぜ、結果に時間のかかる検査を勧めたのでしょう?
全県導入されている長崎県と、沖縄県の結果にも驚きました。
長崎県
2006年から佐世保地区でパイロット事業を始めて(D-ビリルビンのかがと採血とUSBA) 、
2007年からは佐世保地区の5施設で有償検査を開始。
2010年からは長崎全県下で
(2009年ごろD-ビリルビンのかがと採血だと偽陰性が発生し、中止すると、
家族が便の異常に気が付くも、医師が見逃す例が発生し、再度スクリーニングの必要性が議論される)
2011年2月現在で24施設が協力。
月400例を超える検査数。
出生数の約40%しか回収されず。
結果
約4年間の間に5人産まれた。
内訳:D-ビリルビンの検査で1人発見
D-ビリルビンの検査で偽陰性1人
3例は検査が行われていない地域あるいは産科医院での出産例
USBAで発見された赤ちゃん、1人もいません。
回収率40%…
沖縄県
2009年8月から2010年12月までによると、
検査件数4118件(出生数の30%)
陽性率4.1%(152件)
そのうち、
D-ビリルビン低値(1.5以下)137例→胆道閉鎖症を否定
D-ビリルビン高値(1.5以上)14例→正常胆嚢→13例黄疸改善、1例黄疸悪化
→1例入院精査、十二指腸液検査→胆道閉鎖症を否定
D-ビリルビン高値→萎縮胆嚢→淡黄色便→入院精査、十二指腸液検査→生後55日根治術
USBA検査時の日齢 19±5日(4~36日)
二次検査受診日齢 33±7日(20~69日)
沖縄も回収率がとても低いです。
二次検査への行くのがどうしてこんなにも遅くなるのでしょう?
都心部とは違い、沖縄には小児外科の施設が少ないことも関係しているのでしょうか?
この結果を皆さん、どう感じましたか?
生後1ヶ月を過ぎた赤ちゃんに主張を変えてまで(生後1ヶ月以内の葛西術の実施)、
USBA検査をした理由は何を意味するのでしょうか?
私は、早期発見で予後が改善され、娘の様に脳出血で発見されなければそれでよいのです。
早期発見の方法は正直、便色カラーカードでも、USBAでもどちらでもよいのです。
USBA検査が先天性代謝異常の検査のように全赤ちゃんに実施できるのが一番だとも思います。
が、数十円の便色カラーカードを母子手帳に挟むことすら、予算の都合で拒む自治体があるのに、
保険適応でも2,000円から3,000円もする検査を導入するのはとても難しいです。
肝ったママ’sは、便色カラーカードと肝ったママ式チェックシートが全国の母子手帳といっしょに配布される事を第一目標として、
今後も頑張っていこうと思います。
決して、便色カラーカードの方が安価だからという理由だけではありません。
現に台湾では便色カラーカードの早期発見が良い結果を出しています。
追記
守る会の会報誌には「1週間以内に検査の結果が出て」とありましたが、
フォラームの記事によると、2日後に「陰性」と結果が出たそうです。
胆道閉鎖症ではなくて、本当に良かったと思います。
もし、胆道閉鎖症だったら、待っている2日の間にも脳出血をおこす可能性が、
0ではないからです。
フォーラムを開催していた医師たちの共通認識の中には、
生後1ヶ月を過ぎたら時間的余裕は無いはずです。