短下肢装具 Ankle Foot Orthosis | 世界の果てまで理学療法!

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「必要としている人に理学療法を。」
という理念のもと、発展途上国の人々や災害被災者に理学療法をどうやったら届けられるか考えます。

短下肢装具の話。

今までの自分の発想への戒めも踏まえて書きます。


短下肢装具とは主に脳卒中患者さんの足につける装具です。
Googleで検索するといろんな種類が出てきます。




こんな本もあります。

脳卒中の下肢装具―病態に対応した装具の選択法/医学書院
¥4,320
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装具はとても有用です。
装具なしでは立てない人も装具を使用することで立つことができるかもしれません。
つま先を引きずって歩くような人も装具のおかげで楽に歩けるかもしれません。


ただし、それは「歩行」の時。


今、担当している利用者さんの話です。
脳卒中後、屋外歩行時には「ゲイト・ソリューションデザイン」を使用しています。



とても素晴らしい装具。他の装具では比べものにならない。
今までにも何名かの患者さんに利用を勧めていました。

でも、この利用者さんは
「装具つけたら、装具用の靴を履かなきゃいけないし、仕事用の靴が履けない。家の中じゃ履けねぇし。」
と言いました。

どうしても「歩行をどうにかしたい」という気持ちに釣られ、考えられていない側面でした。
そうだよな・・・


正直、装具と一緒に買う(ことの多い)靴は、お世辞にも見た目が良いとは言えません。
装具が入るように左右別々のサイズの靴を買えば良いのかもしれません、でも、それはそんなに簡単なことじゃない。


ただ歩くだけならそんなこと気にせず、大きい金属支柱付きの装具とでっかい靴を履いて歩けば良いのかもしれません。
言い方が悪いですが、病院内でのリハビリテーションはそれでいい。
でも、地域でのリハビリテーションの目的は歩行ではなく、日常生活の自立であり、社会参加です。
他人の目もあるし、靴を買う時の選択肢が制限されるなんて哀しすぎる。
装具つけてると洋服だって制限されてしまう。




歩ければ良いってもんじゃない。




今までの自分はそういうことに気が向かなかったし、病院のリハビリテーションでは気付けなかったことかもしれません。

繰り返しますが、装具使用を全否定するつもりはありません。
でも、病院で考えられている程、価値があるものでもないし、その値段に値するものではない気がします。
基本的には装具なしでどうにかしましょう。どうにかしてください。


装具でなんとかなる、というのは欧米から入ってきた考え方だと思います。
家の中では靴を履かず、畳や床に座る文化のある日本だからこそ、新しい発想が生み出せるはず!



というわけで、今日も利用者さんから学ばせてもらいました。
ありがとうございました。


それでは、また。