我が母トシエさんも気が付けば75歳。
そんなトシエさん。免許更新のために「後期高齢者認知症テスト」というものを受けなければならないらしい。
内容は簡単な記憶力テストのようなものらしいのですが、
「私は認知症じゃない!!運転したい!!テストに合格したい!!」
と、トシエさんは毎日鼻息荒くテスト勉強をしていました。

でも…そんなトシエさんを見て私は思うんです。
認知症のテストにテスト勉強……
これって意味ありますか??

だって「認知症の疑いがあるかどうかを判断するためのテスト」ですよ。
これがもし勉強でどうにかなるテストだとしたら、このテスト自体に意味はないですし。
勉強でどうにもならないとしたなら、今のトシエさんの努力って全く意味ないってことですよね。
そう考えると……
トシエさんって今なにしてるんですか??

そんな頑張るトシエさんを不憫に思った私は、そのことをトシエさんにも伝えたんですが、
私の伝え方が悪かったのか、トシエさんは「え?なに?哲学?」みたいな顔をするばかり…私の伝えたいことは伝わらなかった様子でした。

その後話を聞いたところ、どうやら後期高齢者のなかでは、
「認知症テストを事前に勉強してから臨む」
というのは当たり前になっていることらしく、本屋さんなどにはテスト対策のための本が沢山並んでいるんだとか。
トシエさんも最初は勉強なんてしなくても……と、思っていたらしいのですが、周囲の友達から、
「トシエちゃんも勉強してから挑んだほうがいいよ!いきなりやったら絶対に難しいから!」
などと言われ、勉強をやり始めたんだそう。

なるほど。。。
つまりトシエさん。
まわりの友達の言葉に感化されて勉強しやり始めた。
そういうことですよね?

トシエさん…アナタは私が小さい時…よく言ってましたよね……
「よその家はよその家!!ウチはウチ!!」
それなのに何ですかぁこの度のアタナの行動。
トシエさん…もしかしてアナタ……
本当はめちゃくちゃ周りに影響されるタイプなんじゃないですか?

ともあれ勉強を続けたトシエさん。最初の頃より手応えがあるらしく、
「最初よりできるようになった!今ならいけるわ!!」
と、喜んでいます。

内心「今ならいえる認知症テストってなんだろう?」とは思いましたが、勉強の甲斐があってか無事認知症テストは合格。
今は毎日テレビを見ながらテレビに一喜一憂。ときにテレビに話しかけるいつもの平和な日々に戻りましたとさ。めでたしめでたし。

久しぶりの登場になった我が母トシエさん。
また何かエピソードがありましたらまたここに書きたいと思います。
終わり