昨年10月にもこのブログで取り上げた規約人権委員会一般的意見35、昨晩、児玉が代表を務める「全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い」勉強会で、みんなで読んでみました。

日本弁護士連合会による全訳は、こちらから読めます。

恣意的抑留

規約9条1項について、パラグラフ18の最初の文ではこんなことが書かれています。

入国管理の手続過程における抑留は,それ自体が恣意的とはいえないが,当該抑留は,諸事情に照らして合理性,必要性及び相当性があるとして正当性が認められなければならず,期間の延長の際には再評価されなければならない。

国は、オーバーステイなどの退去強制事由さえあれば、必要かとか相当かとか考えずに、収容をして退去強制手続を進める、という「全件収容主義」(収容前置主義ともいう)を唱えています。

国連の見解に反することは明らかですね。国連は「合理性、必要性及び相当性があるとして正当性」があるかどうかを判断せよと言っているんですから。

4文目の

決定に際しては,事案ごとに関連要素を考慮しなければならず,広範な類型の強制的なルールに基づくものであってはならない。

も同じですね。

また、難民申請者については、2文目、3文目こんなことを書いています。

違法に締約国の領域に入った庇護希望者は,彼らの入国について記録し,彼らの主張を記録し,疑いがある場合には身元を特定するために,初期の短期間,抑留され得る43。彼らの主張の審理中もさらに抑留することは,逃亡の個別的蓋然性,他者に対する犯罪の危険又は国家安全保障に反する行為の危険といった個人特有の特別な理由がない場合,恣意的になるだろう。

5文目では、

また,決定に際しては,逃亡を防止するための報告義務,身元引受人又はその他の条件など,同じ目的を達成する上でより権利侵害の小さい手段を考慮に入れなければならない。

として、収容は最後の手段であることを明記しています。

6文目では、

さらに,決定は,定期的な再評価及び司法審査を受けなければならない。

とありますが、日本では全くないですね。

違法又は恣意的な抑留から釈放されるための手続をとる権利

もう一つ。

規約9条4項は,逮捕又は抑留によって自由を奪われた者に対して,裁判所がその抑留の適法性を遅滞なく決定し,かつ,その抑留が適法でない場合にはその釈放を命ずることができるように,裁判所において手続をとる権利を与えています。


パラグラフ40では、この権利には入国管理局の抑留を含む、と明記されています。

入国管理局での収容から解放を求めるため、退去強制令書の執行停止申立、というものをすることがあります。かつては、この申立があると、1か月半程度では結論が出ていましたが、今東京地裁では半年以上かかっています(しかもダメ)。遅滞なく裁判を受ける権利が害されている状況です。

こういうの読むと、正義は我らにあり、間違っているのは国の方だと確信でき、勇気が出ますね。