本年も第43回日本頭痛学会総会が・・・ | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 本年も第43回日本頭痛学会総会が11月中旬に東京で開催されます。今回は北里大学神経内科の濱田潤一教授が会長の予定が亡くなられたことによって慶応大学神経内科の鈴木則宏教授が代行されるようです。そして、先日、その抄録集が送られてきました。
 基本的には、世界共通の片頭痛の診断基準は、1988年の国際頭痛分類初版で確立され、これが2013年の国際頭痛分類第3β版に受け継がれているということです。
 これによって地図に相当する「国際頭痛分類第3β版」、旅行案内として「慢性頭痛診療ガイドライン」、旅行記録として「頭痛ダイアリー」があり、この3つが神器とされ、これによって、より科学的で的確な頭痛診療が可能となったとされます。

 そして欧米の頭痛診療および研究に追いつき・追い越せというもが当面の目標とされ、今後ともHMSJを定期的に開催するということのようです。
 さらに、「慢性頭痛診療ガイドライン」をいかにして普及させるかを考えているようです。しかし、このガイドラインを遵守することによって患者さんに与える弊害はこれまでも繰り返し指摘してきました。この点の反省がまったく存在しないようです。
 本年度も多くの製薬メーカーが協賛というかスポンサーになっています。
 発表内容も、例年通りに各テーマで、改訂された「国際頭痛分類第3β版」の定義に関する議論に終始し、本質的な・根源的な議論は一切ないようです。
 そして、月経関連片頭痛をどう治療するか、片頭痛の慢性化の機序、光と片頭痛といった、きわめて有り触れた常識について、未だに頭痛専門医としてまさに馬鹿げた論理で学会員に披露していることに呆れ果てています。


 このようなことを述べておりながら、患者さんの満足度・満足度と、専門医以外の頭痛診療では患者さんの満足度が満たされていないと、さも、専門医による頭痛診療が満足度が高いと自画自賛されます。
 このようなことを公然と述べる以前の問題として、果たして現在の専門医による「頭痛外来」が、どれだけ慢性頭痛の患者さんに対して満足度を与えているのかという疫学調査をまず行った上で述べるべきと思われます。現在では専門医も800人を超えたはずであり、このような疫学調査を学会員全員がこぞって行えば簡単にわかるはずです。このような疫学調査もすることなく、自分達の頭痛診療が患者さんに満足度を与えていると思っておられるようです。こうした疫学調査は患者に対してだけでなく、実際に「頭痛外来」を担当する専門医に対して「自分の頭痛診療で患者さんが満足していると思っているかどうか」についてアンケート調査を行うべきで、この結果を学会誌に公表すべきです。そうすれば、患者さんと担当医師の「意識」の持ち方の相違点が明確にされるはずです。
 日本全国の外科系の病院では、その施設の手術成績が公開されている時代です。このようなことを考えれば、こうした疫学調査は外科系の手術成績に相当するものです。
 このようにでもしなければ、自分の診療がどのように患者さんから評価されているのかがまったく明らかにされていないことになります。このため、専門医は理由なしで、患者さんに満足度を与え、専門医以外の一般開業医の診療ではダメといった判断を下しています。こうした疫学調査が一切ないため、自分の頭痛診療の正当性をいつまでも問われることなく、反省さえすることはありません。このことが、例年の学会のあり方であり、全く進歩がみられないように思われます。反省なきところに進歩はないはずです。

 そして、果たして、1990年代から現在まで、頭痛診療は進展したのでしょうか?


 私には、1990年代から2000年までは画期的な業績が極めて多く存在したように思っています。これが2000年以降、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されたことによって、片頭痛診療では頭痛という痛みを緩和させることは可能とはなりましたが、これが全てではないはずです。これに派生してもろもろの問題点が浮上しているはずです。こういったことを一切覆い隠し明確にされようとはされません。最大の問題点は、片頭痛という辛い痛みから解放されたこと、この1点だけで治療法が完結したと考えていることです。

 トリプタン製剤といえども、あくまで”鎮痛薬”にすぎないはずです。この点の認識が欠如しているようです。
 頭痛研究の面では、片頭痛の病態・発生機序を論ずる場面においてまったく進展はないようです。その証拠に、1990年代の神経治療学関係の研究会誌を紐解けば明らかになるはずです。何ら、進展はみられません。

 そして欧米の頭痛診療および研究に追いつき・追い越せと学会を主導される方々は申されます。果たして、日本の慢性頭痛の研究業績は欧米に比べ遅れているのでしょうか?
 これまで鳥取大学神経内科の下村登規夫先生、竹島多賀夫先生、古和久典先生、さらに東京大学脳神経外科(現在の東京脳神経センター)の松井孝嘉先生、名古屋の寺本純先生、さらに分子化学療法研究所の後藤日出夫先生らの素晴らしい研究業績が存在します。
 そして、頭痛領域以外ではさかいクリニックの酒井慎太郎先生およびカイロプラクター・整体師・鍼灸師の皆さんの業績が存在します。こうした先生方の業績の真の意味合いを考察しさえすれば、慢性頭痛の病態さらに片頭痛の発生機序は予測可能となるはずです。
 問題は、頭痛研究をすべて「国際頭痛分類第3β版」に基づいて論ずることにあります。こうした基準は、あくまでも診断の基準にすぎないはずです。それをこのような診断基準の枠内でしか論ずることがないため自ずと限界があるということです。
 それも、慢性頭痛を緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛・その他の一次性頭痛すべてをひっくるめた形で考察しなければならないということです。

 これら4つをバラバラに個別的に論ずることに問題があるはずです。

 このような4つのものを「国際頭痛分類第3β版」に基づいて厳格に診断し、個別に論ずるべきと今回の会長講演で述べられるようです。

 現在、片頭痛が進行性疾患とされながら、どうして進行性なのかという論理的な考察がまったくありません。これは、片頭痛を慢性頭痛全体の中でどのように位置づけされるのかといった謂わば”頭痛地図”がなくては、このような考え方に至らないはずです。
 このような海図・羅針盤にも匹敵するものを学会を主導される方々にはまったく持ち合わせておられないようです。
 このため、欧米の頭痛診療および研究に追いつき・追い越せといった感覚しかなく、今回も欧米の学者を招待されご講演を拝聴されるようです。


 このように現実に慢性頭痛でお悩みの方々は、現在の「頭痛外来」に受診しさえすれば、満足感100%の頭痛診療が受けられるということのようです。

 果たして、これが真実なのでしょうか? 皆さんの感想をお聞かせ頂ければと思っております。