寿湯(十三) | なにわ銭湯ランナー

寿湯(十三)

淫靡な香り漂う、芸術的天井。
脱衣場の木製椅子に座って、十三の夜に思いを馳せよ。


この日は、池田市にある池田文庫で資料繰り。
帰り、自転車の置いてある十三まで14キロほど、ランニングして帰ることにした。

その後、立ち寄ったのが、十三駅から10分ほど歩いたところにある「寿湯」。

タイルで描かれた「寿湯」の文字が、かっこいい。


中に入ると、期待にそぐわぬ、激渋の脱衣場。

天井は古い遊郭を思わせる紅色で、格子状に広がる。
角の部分が、Rになっているのも、淫蕩的だ。

さらに、傘を反対向けにしたような形の電灯には、長短の蛍光灯が10本ほど縦方向に付けられている。見たことのない形で、アートオブジェのようだ。

浴場は、思いのほか、広い。

真ん中に浅深の主湯。
入ってすぐ右手に、ぬる湯。
奥に、少し小さめの寝湯。

正面にタイル画で見事な瀧が描かれており、主湯につかりながら、滝の音色を想像するのも楽しい。

誤解を恐れずに書けば、風呂全体から感じるのは、ねっとりとした淫靡さだ。

ここ、十三は有名な大阪の歓楽街だが、主な遊び場は、駅西側に広がり、「寿湯」のある東側はほとんどない。
(十三ミュージックぐらい)
地方によくある、遊郭系の銭湯とも系譜は異なる。

それでも、やはり感じるのは、紅柄模様の天井のせいであろう。
大正時代の遊郭を思わせる作りだ。
(どうやら、この天井は近年に改装されたもののようだ)
その天井が、風呂全体の歴史にしっとりとなじみ、新しい歴史を刻もうとしている。

暖まった体を覚ましながら、脱衣場の中央で天井を見上げていると、十三駅へと戻る道のりが、少し楽しみになった。

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「寿湯」

photo:01


photo:02


住所:大阪市淀川区木川西2-16-17
定休日:水曜日
営業時間:15:00-23:30
オススメランニングコース:淀川右岸