- どーも/小田和正
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『小田和正』はずーーーっと『小田和正』なのだ。
約6年ぶりのオリジナル・アルバム『どーも』。
前作『そうかな』は“相対性の彼方”を略したものらしいが、
今回はそのまま『どーも』。(笑)
ご存知の方も多いだろうが、これは小田氏の口癖(?)でもあり、
ライブでも多々発せられる。
ま、それは置いといて。(え)
入手後すぐ聴きたくて(笑)カーステで初聴き。
危うく泣きそうになった。人と会う予定になっていたのにヤバいヤバい。
アコギのシンプルな音色から始まるオープニング曲『君のこと』。
まるで“アノ頃=OFF COURSEの初期の頃”に戻ったかのような
アコースティックで素朴な響き。ただしヤスさんのコーラスはないけど。(涙)
そもそもここで歌われている“君”とは誰のことなんだろう。
長年のファンなら必ず思い起こすであろうアノ人(前述の)のことなん
だろうか?
おそらく小田氏に尋ねても『違う』と言うだろうが。(笑)
2曲目以降は数曲を除き、ほぼタイアップ曲がズラリと並ぶ。
小田氏自身も以前インタビューで、最近は依頼がないとなかなか曲を
書こうという気にならない、みたいなことを言っていたが(苦笑)、
60歳を過ぎてなお、これほどまでにタイアップ依頼が尽きないアーティストも
珍しいように思う。
つまり、それだけ楽曲的にも商業的にも優れた作品を生み出す力が今なお
強力に備わっているということなんだろう。
さすがに若い頃(失礼)のようなストレートなラブソングは少なくなってきたが、
その代わりに心に深くある想いや人生を歌った作品が増えた。
小田氏の場合、目に見える幸せや喜びだけを表現することはまずない。
むしろ見えないところの、“影”のような部分をサラッと織り込むことで
切なさややるせなさ、そして希望みたいなものまでも聴き手に感じさせるから
スゴイ。
『hello hello』を聴いていると、東日本大震災で被災された方々を
思い起こし、心が痛くなる。
そういう意図があったわけではないだろうが、そんな気さえしてしまう
静かで優しくて、でも強い作品だ。
そして『誰れも どんなことも』は、小田氏がソロになった初期の頃の
洒落た曲調を彷彿させる、オトナの心を歌った作品。
こういう世界観はやはりある程度年を重ねた人にしか表現出来ないかもしれない。
ネガティブでもポジティブでもない、流れに身を任せるだけ。オトナだ。(笑)
『やさしい雨』はタイトルとは違って勢いのある応援歌っぽい作品。
これは間違いなくポジティブ。(笑) きっとライブでも盛り上がるだろうな。
ちなみにバックコーラスで“チーム小田”(笑)の面々の声が聴こえるのも
ちょっと楽しい。
特筆すべきはやはり『東京の空』だろう。
『クリスマスの約束』とライブでしか歌われないこの作品がついに
CD化された。
この作品も静かではあるが、応援歌だと思う。
どうしようもなく弱気になっている心を優しく包んでくれて、背中をそっと
押してくれている感じ、とでも言おうか。
『どこかで いつも誰かが見てくれている。無駄じゃないんだよ。』と。
いつも小田氏はそう語りかけている。
すでにリリースされているシングルも歌い直しがされている。
これも小田氏らしい。(笑)
『小田和正』という人は、シンプルなことばに多くの想いを込められる
天才だ。
あの透明感のある声だけが『小田和正』を特化させているのではない。
OFF COURSEの時も、ソロになってからも、小田氏の世界観は、
そして音楽に対する姿勢は変わらない。マンネリじゃない。
それが『小田和正』なのだ。誰もマネ出来ない。
最近は丸くなった、と言う人もいるが、インタビューなどでは相変わらず
とんがった発言も多い。(笑)
小田和正、サイコーにカッコイイ。(笑)