最後のメッセージ | 決して彼等のようではなく

最後のメッセージ

以前にも書いたと思うのですが、
俺は、高橋留美子の作品が好きで、特に初期の作品、
「うる星やつら」や「めぞん一刻」に猛烈にはまった時期があります。

高橋留美子の作品は、ほとんどのものがアニメ化されているのですが、
俺的には、原作だけにとどまらず、アニメ版も好きなのです。
アニメ版は、「めぞん一刻」やそれ以降の作品では、わりと原作に忠実な作りになっているのですが、
こと「うる星やつら」に関しては、原作がベースになっているものの、
かなりの部分でオリジナルな作りになっています。

うる星やつらのテレビアニメ放映時、アニメーションはまだまだ子供向け、というイメージで、
実際に、当時の作品の多くは、大人が楽しめるものが少ないです。
しかし、「うる星やつら」のテレビアニメ版は、それらとは明らかに違います。
むしろ、子供の頃に見ていた時よりも、大人になってから見た今の方が、
ずっと楽しめる奥深さがある。
それは、原作にはないアニメ版の「オリジナル」な部分が、
もともとある「うる星やつら」の世界観に、ある種独特の世界観を加え、
原作とは別の魅力を放っていた、と感じるからなのです。

その、原作とは違った世界観を作り上げたのは、
ある1人の天才アニメクリエイターの存在を抜きにしては語れません。

そう、今ではアニメ界の「巨匠」と言ってもいい、押井守、その人であります。

「うる星やつら」テレビアニメ版の全218話のうち、
前半部分の129話をチーフディレクターとして携わっていました。


「うる星やつら」から現在までにつながる、押井守の作風は、Wikiが詳しいです。

以下一部引用。



映像センスと音楽表現、そして時には「ギャグ」、時には「衒学的」「哲学的」に語られる独特の長台詞回し
(「押井節」とも呼ばれる)は、一部から高い評価と支持を得ている。

一般的には映画を構成する要素(A『キャラクター』・B『物語』・C『世界観』)は
A→B→Cの順番で構築されるケースが多いが、押井作品では逆にC→B→Aとなることが多く、
まず『世界観』ありきでそこから無理の無い『物語』・『キャラクター』が逆算で割り出される。

押井の永遠のテーマとも言えるシナリオの方法論として、「虚構と現実・真実と嘘の曖昧さ」がある。

Wikipedia 押井守の項より



「うる星やつら」の押井作品について(特に劇場版2作目、ビューティフル・ドリーマー)、
上記がすべて当てはまるのです。
彼が描き出す、強烈とも言って良い世界観に、見る側が、これまた強烈に引き込まれる魅力を、
彼の作品からは感じるのです。



NHK-BSで、定期的に「BSアニメ夜話」という番組を放送しています。
「うる星やつら」は、テレビアニメ版、そして劇場版「ビューティフル・ドリーマー」と、
押井作品を中心に2度取り上げられていますが、そのうち、2005年放送のテレビアニメ版の回で、
コメンテーターとしてゲスト出演したのが、なんと愛殿でした。
(ちなみにこの時の衣装は、ラムにあやかってトラ柄のワンピースのドレス。)
「うる星やつら」のファンからすると、極めて意外なゲスト、と言えるのですが、
愛殿はその点について自ら説明し、
「押井守監督の作品、イノセンスを見て、凄ぇ、なんじゃこりゃあ、これがアニメなのか?
という、強烈なインパクトがあった。
これで押井守に興味を持ち、色々と調べるうちに必ずたどり着くのが『うる星やつら』。
そこで、このうる星やつらも気になってDVD-BOXを買って見始めた」旨の発言をしました。

愛殿が、押井守について語ったのは、おそらくこの番組が初めてではないかな?

余談ですが、愛殿はラムについて、会場にいた客(この回は公開収録)に問いかけるように、
「こんなに出来た女はいない。彼氏がこれほどまでに浮気を繰り返しても、
電撃だけで許してしまう。普通ならこんな男、とっくに捨てている。そう思わない?」

なるほど、妙な説得力。


愛殿は、もともとアニメ好きで「オタク気質」があると、
ポルノ・ホスピタルのどこかで書いていたと思いますが、
その中で、押井守に目を付け、ここまで尊敬し、共に何かを残したいと切望していたのを知ったのは、
この放送を見た時でした。







サキヨミ


愛殿の情熱と、そして愛殿が直に教えてくれた「諦めるな」ということを、
身をもって行動して証明していたことに、俺は強烈な感動を覚えました。


そして、ここで取り上げられた「Ball Boy Bad Girl」、
この作品の行方が気になっている人も多いかと思いますが、
愛殿の夢に一歩近づいたカタチで実現しました。




Ball Boy & Bad Girl/飯島 愛

¥1,260
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押井守のこれまでの自身の作風とは全く異なる、「Ball Boy & Bad Girl」。
彼が愛殿の情熱を受け入れ、作品化してくれたことに、最上級の敬意と賛辞を贈りたいと思います。

そして、ここに書かれていることは、愛殿が我々に問いかけた最後のメッセージなのです。
少々重いテーマではありますが、ぜひ、みなさんも買って読んでみてください。



そして、夢に一歩近づいたカタチは、来年、完全なカタチになってかなうことになるかも・・・。