おじさんの談話室

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経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座!

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さて、今日も国民国家と増税経済からの建て直しについて語って行きたいと思う。
その為にはまず、消費税がどういうメカニズムで悪影響を及ぼすかを考えてみる。
消費税は全ての消費に付き纏う為、全ての消費に圧力が掛かるのに等しい。

例えば、サラリーマンが普段500円のワンコインランチを食べていたとする。
それが、様々な消費税が上がった影響で節約志向に走り、300円の激安ランチに切り替えたとする。
そうすると、サラリーマン一人に付き、200円の節約になる。
確かに、一人一人は200円と、節約の金額自体は少ないが、これを100万人で一斉に行うと

200円X100万人=2億円

となり、1日当たり2億円分買い物市場が消えてなくなるのだ
これだけでも、非正規社員200人の年収に匹敵し、1日で200人の雇用が消える可能性が高まる。
しかも、それだけでは終わらない。
買い物市場で2億円も売り上げが落ちるので、企業は工場の新設や機械の入れ替えを見送ってしまう。
そうなると、数億円単位の設備投資が中止され、経済は合計で10億円単位で縮小するのだ。
市場が縮むと、市場に売り込みをかける企業支出も連鎖的に縮小してしまう。
この様に、全ての買い物に圧力をかける消費税は、一斉節約の引き金を引いてしまう恐ろしい税制なのだ。
要は、個人的には小さな節約でも、皆でいっぺんに節約すると、強大な買い物市場の縮小を招くのだ。

個人的には得をする行為でも、全体からみると自滅行為になる事を「合成の誤謬」と言う。

確かに、節約すれば、自分の手元には財産を残せるが、その結果、社会全体で不景気が起こり、巡り巡って自分にも不況が帰ってくるのだ。

そして、この合成の誤謬が続く限り、いつまでたってもデフレは終わらず、

市場縮小→売り上げ減少→給料減少→市場縮小

のループから抜け出せずに、サラリーマンは貧しくなっていくのである。

自分の事ばかりでなく自分達の社会全体の事を考え、改善するよう努力しないと、経済は延々と消耗し続け、ついには自分に失業と言うツケが回ってくるのだ。

国民自身が国家運営、経済運営の事を考え、参加し、自分達の社会基盤を守って行く体制を「国民国家」体制と言う。

誰か任せで「国民国家」の精神を15年近くも忘れていたが故に、15年も不況が続くのである。

商売と言う自己利益の拡大だけでなく、全体の買い物市場を増やす社会政策を考えないと、合成の誤謬に日本人は食い荒らされてしまうのだ。


次回は、この合成の誤謬が具体的に社会でどう起こっているかを説明する。

次回、買い物市場を縮める脅威「マーケットシュリンク」。

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