　私はこれまでこのブログやＮＰＯ法人文福の月刊誌「障ちゃんニュース」で福祉ロボットのことなどを時々書いてきました。そして、日本の政権が民主党に変わって、特に菅さんが首相になってからの「新経済戦略」ではロボット産業を発展させて進めるとか、世界にロボット産業を輸出するとかと、言ってきました。

　けれど、それが今回の東日本を襲った地震、津波の災害やそれによる不手際の人的ミスによって起きた原発事故の処理の様子を見て思うのは、何だか日本のロボットに対する考え方と世界のロボットに対する考え方が大きく違うのではないか、と思ってしまったのです。

　まず、私は原発事故の処理には当然、日本のロボットが使われるものと思っていました。が、実際の原発事故の処理に使われたのは、アメリカの無人偵察機やフランスの瓦礫処理などのロボットで、日本のロボット技術はあるけれどもいざ原発に使うと放射能によって動かなくなったり、誤作動を起こして使い物にならないそうです。そのことは、下記の日経新聞の４月１１日付け朝刊によると、日本のロボットが原発で役立たないのは、表立った軍事産業がないからだと書いてありますが、私はそれも少し違って、基本的にロボットに対する日本と他の国との考え方の違いがあるのではないかと思ったのです。

　つまり、日本人は世界の人々に比べてロボットを受け入れたり、ロボットに対して昔から漫画の鉄腕アトムをはじめとして好意的に思っていますが、実際の日本のロボットは人手の代わりの機械化の産業の合理化や人が便利や楽をするために作られたり、開発されているもので、一方、世界の人々は自分の仕事を奪ったり、人間を堕落させるものとして拒絶感はあるけれど、人間にとって危険なことや人が出来ないことをロボットにさせようとしているように思うのです。それは今回の原発事故でも如実に現われていると思うのです。

　もう一度繰り返しになるかもしれませんが、日本のロボットは端的にいえば、つまり、人々の仕事を奪ったり、人々の生活を便利にしたり、楽をさせるもので、他の国のように人の出来ないことや人にとって危険なことや、危なかったりすることをさせるものと考えない傾向があるのではないかと思うのです。そんなことを考えると、私は今回の原発事故のロボットに対する違いで、わかったことを、これまで私が書いて来た福祉ロボットのことで言えば、福祉の仕事の人々の負担を軽くするというのも何だか疑いたくなったり、人と人とが付き合ってはじめてわかることや、人との信頼関係をある意味で奪ったり、疎外するために、結果的にロボットが使われていくのではないかと思えてきたのです。ロボットとの共存と日本では言ったり、好意的に思っていますが、他の国の多くのロボットに対する考え方や捉え方と、一体、どっちがロボットとの共存と言えるのか、全くわからなくなってきたのです。やはり、ロボットは単なる機械であり、それを使うのは人間であり、日本人のロボットの捉え方や考え方が少し改めなければならないように、今回の原発事故のロボットのことで思ったのです。

「福島原発事故によって表されたロボットに対する考え方の違い」