象徴の務め 1
徳川家康は将来の戦乱が起きないようにしてしておこうと考え、豊臣家に因縁をつけて老体に鞭打ち滅ぼしました。
そして天皇家のアマテラスに倣い、”東照”大権現、つまり 「アズマテラス」 と名乗って長く平和を保とうともした。
さらにその皇室が台頭することも恐れ、そしてそれは明治維新と言う形で現実のものとなったのですが、弱体化しようと試みました。
大坂冬の陣の4年前、朝廷に関与して第1皇子の皇位継承を阻み、3子の後水尾を後継に据えました。
秀忠の娘、徳川和子を嫁がせ、和子以外の女性が身ごもった子供32人を次々に堕胎させます。
こうして徳川家による天皇家乗っ取りを図り、臣下の徳川が贈った領地は1万石、小大名以下の処遇と言う侮辱でした。
和子の産んだ親王にいよいよ代替わりすべく ”退位” が決まってから、その2歳の子が亡くなり、後水尾の強い反発によって1000年ぶり!!! に女性の明正天皇が即位。
辛うじて権威を保ちました。
このように皇室へ女性は一般から入りますが男性は一度もないと言います。
もし今後これを認めるなら建国以来初めてです。
それは国が変質する、違う国になる、他の国と同じになる、とは言えないでしょうか。
天皇は権力を幕府が担い、象徴的な存在であり続けてきたのですが、その役割ができなくなることを意味すると私は強く感じます。
「権力」 という右翼的な発想でなく、象徴と言う左翼的な概念においてそう言いたいと思います。
徳川による皇室乗っ取りはほぼ完成しそうでしたが、寸でのところで1000年ぶりの女性天皇と言う禁じ手で阻止されました。
緊急避難的に女性が天皇になることがあっても、女系へ移行することはなく、男系は維持されました。
一般の男性が皇族にはならない事で象徴であり続けている、これを開放すれば国民も、そして外国から見た国家像としても統合を揺らがせます。
人間の、そして生きとし生けるすべての生命の根源、特徴は何でしょうか。
それは誕生以来絶えることなくバトンをつないでいるという事です。
どこかで絶えた時、子孫は存在しようがありません。
このいのちのバトンという事を見れば、過去の125人のなかには人格や人柄の点で必ずしもふさわしいとは言えない人もあったかもしれません。
それでもつなぐ、それが大事です。