きゃるほぉるにあガール
高校生の頃、
授業中に、とある女子生徒が
教科書の音読の指名を受けると、
クラス中に緊張が走ったのを覚えています。
その女の子は帰国子女。いわゆるキコクです。
キコクとはいっても高校入学前の1年間、
米国の日本人学校に通っていた経験の持ち主で、
なぜかキコクの方々に特有の、
アイラインが幅1cmを超えるような、
個性的なメイクをしているわけでもなく、
特に英語がペラペラというわけでもなかったわけです。
しかし、例えば、地理の時間に
彼女が教科書を音読するとこんな感じ。
「キャルフォーニアのオゥレンジの生産量は...」
と外来語の部分だけ、
ウマいのかヘタなのか微妙な英語式発音で
読み上げてしまうのです。
その微妙さ加減に、
笑うに笑えず、
いつも以上に、クラス全員、
ただただ教科書だけを凝視していたものです。
キコクであることが
彼女のアイデンティティーの
拠り所だったのでしょう。
そんな彼女が行き着いたアピールが、
横文字を読むときは、ちょっと発音を変えて。
そんなソウルフルな習慣だったのです。
僕が10年ほどいた金融の世界も、
横文字ばかりが飛び交う世界でした。
例えば、こんな感じ。
「ティッカー○×○×の
アーニング・フォアキャストを
アップしたのでチェックしてください。
レーティングはアウトパフォーム維持です。
ピーイー、ピ-シーエフアールでみて
ほぼフェアバリューですが、
来期以降のサスティナブルな
プロフィット・グロースから
ダウンサイドリスクは
限定的だと思われます」。
・・・。
外部の人に秘密が分からないように
仲間うちで暗号を使っているのでしょうか?
それとも結婚して5年たった妻に、
「そんなバカな男だとは思ってなかった、
でもそんな男と結婚した私が
もっとバカだった」
と昨晩責められてしまったので、
せめて家庭の外では
賢くふるまって、
おばかさんでないことを
証明したいのでしょうか?
上のセリフを簡単に翻訳すれば、
「業績予想して、
どっちかといったら
株価は上がると思うし、
そんな下がんないじゃない?」
それを気取った話し方で、
また、内容に少々、
自信がないのを悟られないように、
横文字を多用すると、
あんなチンプンなことになってしまいます。
外資で公用語が英語だったら、
全部を横文字で話せばよいですし、
かな横文字混じり文は、
気取りからくる「ジコマン」か、
なにかの「ゴマカシ」としか思えません。
ある金融機関に在籍していたときの同僚は、
「セキュリティー」(=証券)と、
「セクレタリー」(=秘書)を混同していました。
普通に、
「○×証券ってさぁ」
って話せばよいのに、
「○×セクレタリーってさぁ」
なんて言っちゃうんです。
最高学府T大学ご出身の彼の
プライドを傷つけるような
間違いの指摘を誰もできるはずもなく、
彼は「セクレタリー」を連発し続け、
その度にいつも以上に
オフィス全員がPCモニターを凝視して
聞こえないふり。
高校生の頃の
「キャルフォーニア少女」がリフレインします。
お金にまつわる話のときに、
横文字使いの多い人に気をつけましょう。
賢くみせることに気をとられているか、
何かをごまかしてあなたを煙に巻こうとしているか、
いずれにしろ、あなたの利益を第一に考えていることは、
まず「ない」と考えてよいでしょう。
このブログで、
すぐにでも一攫千金が可能な
投資の技術や知識を
お伝えすることはできません。
お金や投資にまつわる、
「実際、本当のとこ、どうなのよ?」
といった話を
ポツポツ発信できたらと思っています。