二階は屋根裏を改造して部屋をつくったせいもあり、窓が実に小さい。
我が家の猫が外にとびださないために、100円ショップで、網をかってきて、
窓にはめてみたら、ぴったりサイズであった。
これで、一安心とおもいきや、たいへんなことがおきるのである。
野良猫の襲撃である。
100円格子なぞなんのその、屋根をかけのぼり、反対側の窓から、こちらの小窓からと、
マーキングをしかける。
だが、おとなしくのぞいているだけだったのは、我が家の♀にゃんこをおきに♀たせいだったのだろう。
だが、おとなしく覗いているだけの野良猫になぜ、気がついたか・・・である。
答えは単純である。
♀にゃんこがうなり声をあげて、野良猫を威嚇したので、気がついたのである。
え?
ほとんど、鳴くことのないノルのうなり声に今のなんだ?と、状況が理解できずにいると、
ふてぶてしく100円格子のむこうに鎮座する野良猫。
ああああああああ。
なんということであろう。
前猫をおっぱらってしまった例のぴかちゅう猫じゃないか。
前猫は逐電したまま、帰ってこないのに、いけ、しゃあしゃあとぴかちゅう猫はそこらを闊歩し
あまつさえ、前猫同様、横恋慕をしかけ、
おまけに、きらわれてしまっているというのに、ふてぶてしい。
♀にゃんこがいるときだけをねらって、そばによってくることがつどかさなると
そのうち、むかあああああああ!!
窓枠にマーキングをしてさっていく。
肝心のナイトは、階下でごろりん、ごろりん、ぴかちゅうにゃんこがあらわれたときには、いナイトいう、ナイトぶりだった。
敵は百戦錬磨の野良にゃんこ。
けんかなぞ、いっさいしたことがない雌雄そろいぶみでたたかってもかてるとはおもえない。
このままでは、前猫の二の舞になりかねない。
やむをえない。
虐待だといわれるかもしれないが、一発棒かなんかでぶったたいて、ちかよったら、痛い目にあうとおぼえさせるしかないと、覚悟をきめた。
ところがである、格子のむこうの猫をたたくなぞという器用なまねはできず、
つついてやろうとすれば、さっとにげてしまう。
おまけに安全な距離、50cmほど横にずれて、にゃははとせせらわらっている。
仕方がないので、殺虫剤をふきつけてやったが
これまた、「おお、臭いのお。この匂い」と、かんらかんら、笑って、やっとにげていく有様なのである。
撃退法がないまま、100円ショップの網格子を強化するかとショップによったときである。
猫撃退グッズがうられていたのである。
それを窓の下のひさしのうえにしきつめることにした。
だが、ほかの窓はひさしが長く、撃退イガイガじゅうたん?を、2列しいてもまだ、ひさしがのこっていた。
その安全地帯にぴかちゅうにゃんこがあらわれるのである。
窓との距離があったせいかもしれない。
部屋の中がはっきりみえなかったのだろう。
この日、初めて、ナイトはぴかちゅうドラゴンと遭遇するのである。
まじ、おこってるよという声でナイトがうなり声をあげ、
窓の外では、ぴかちゅうにゃんこが黙ってみすえるという、妙に迫力のある眼とばし。
この状態でいれば、この繰り返しになるとふんだ憂生は、もう一度棒をもつことにした。
ところが、敵もさるもの、いや、ねこもの
棒が届かない角度にすわりなおしている。
かくなるうえは、またも、あざ笑いの殺虫剤しかないのかと、殺虫剤をとりにいくことにした。
その間にナイトがきっちし、窓の格子にへばりついて、大きな唸り声をあげていた。
ま、どいてなさいと、ナイトを横に押しどかしたとたんだった。
逃げたとおもったのだろう。
ぴかちゅうにゃんこが安全地帯からイガイガ絨毯をよけるという一石二鳥にもなる
ジャンプタックルをかましてきたのである。
なんちゅう、図太さ。人間がいても、おかまいなしに・・・。
この瞬間、脳天の先のさきまで、切れまくったのは憂生のほうだった。
二度とくるな。
タックルしてきた猫めがけて、殺虫剤を噴射した。
おそらく顔にかかったとおもわれる。
以後、二階の窓にあらわれることはなくなった。
だが、階下の窓、網戸のむこうに平気ですわっていたりしていた。
こりんやっちゃ・・・・。
だが、撃退の甲斐があってか、この秋、ナイトは父ちゃんになり
♀にゃんこは母ちゃんになった。
そして、その子供たち。