眠りによせて【まとめ】 | ☆C'est La Vie☆

眠りによせて【まとめ】

L’Arc~en~Ciel, hyde
Tierra

【Story】


 Dune及びTierra収録曲例えば【as if in a dream,all dead,blame】etcが前提にあるとすれば

愛惜、絶望、失望、そして、逃れられない自責の念にとらわれている主人公の存在が見出せるだ

ろう。


【眠りによせて】


誰にも侵されることのない眠りというどこまでも安らげる安住の場所

を見出した主人公の存在が見受けられる。眠りは誰にも邪魔されることのない…


【the land of the purest】つまり【最も純粋な場所、母なる大地】

この曲を聴いていると生まれる前の母親の胎内で優しく抱かれているような情景が浮かぶ。


【眠り】とは、胎児の眠り。侵されることのない神聖な母体の中、ゆりかごのように羊水のなか

やさしく揺られる。


【Words】


 主人公は【日差しのいたづらによって起こされる 】、つまり彼の意思には無関係に

無理やりに起こされてしまう。

今までの曲を聴けば彼はもう目覚めたくないほどに心を病んでいる。 

 現在の言葉でいえば 鬱といった感じだろうか?



 太陽の光とは、 朝になれば誰にでも惜しみなく降り注ぐ天からの贈り物

この光によって夢という安らぎの精神世界から現実世界にもどされそうになる主人公

現実への回帰を拒絶する主人公だからこそ 天からの贈り物である

【日差し】を【いたづら】と表現するわけである。



 太陽の光によって記憶が【窓】からすりよってくる。

窓際に置かれたベッド、風に揺られるカーテンの隙間から差し込む光。


【窓】=現実世界と安らぎの精神世界のちょうど境目にある境界線のようなモノ。

窓は一般に透明なモノ,従って記憶(現実世界)がすりよってくるのが見える?!感じるのである。

またここで言う【光】とは人の比喩とも考えられる。



【また 目を閉じた】という言葉から、 極端に言えば【対人恐怖?!】とか【現実逃避!?】

過去のトラウマによって誰とであれ接触することによって 昔の記憶が蘇って 

人と接するのが怖い、もう誰も信じられないといった、自己の殻の中に閉じこもってしまったのかもしれない。『また』という表現があることによって、現実の世界への回帰を今まで何度もチャレンジしたけれ

ど・・・。

生きることも死ぬことも選べない事へのの葛藤が見え隠れする…。




【眠り】

ここで最もわかりやすい例をあげれば、【Siesta~film of dreams】における情景であろう。

【水面に浮かぶボートでにゆられている情景】、優しく揺れる水面、波紋が刻むリズムによる

心地よい感じ、これを鼓動になぞらえ、安らぎの場所=最も純粋な場所、母の胎内言った

連想が生まれてくるわけである。



 主人公の心理的な葛藤もみうけられる。

前にも述べた様に主人公は目覚めたくはない!!、しかし【光をなぜか(自分でもわからないけれど)

待っている】のである。目覚めを拒絶する自分、けれど潜在的な人間としての本能は目覚めを促す。

【現実の自分】と【精神の自分】といった2人の自己の葛藤であろうか?!

ここで葛藤を断ち切る第三者的な物が【光】に象徴されるモノ、つまり【人】であろう。


『pulling back the hands of time to the land of the purest』

ついにサビの部分にたどり着くわけだが、この英語詞ここは日本語を介しているが

実際には繋がったひとつの文章であろう。また、Pullingの前に I amが省略。


直訳すれば【最も安らげる大地への 時間の針を戻す 】となる。

楽曲中のバックトラックをよくきけばきこえてくる、まるで、時計の針を回すかのような音が聞こえてくるような気がした。きっとこの情景を浮かばさせるためのものであるかと。


つまり、時をもどすこと、現実では不可能なことであるけれど、

夢の中で安らぎに出会うのである、そのために時間を戻したい。



それゆえ夢に眠る…


 

 【遠くで私を呼ぶ声】声とは【自分の精神の声】でありまた、【光、つまり誰か人が起こしに来て呼

びかける声】

 主人公にとってはこの2つの声が【どちら1つが欠けてはならない、両方が共鳴して初めて現実

へ戻る】ことが可能なのかもしれない。つまり、自らの意思によって現実を生きる、また 誰かに必要される自分の存在意義によって現実を生きる。


自己は相手に必要とされる、認識されて初めて存在するモノでもあるのである。

 その遠くから届く2つの【声】によって、その共鳴によって静寂だった水面がゆれはじめるわけ

である、その水面のざわめきによって目がさめ始めようとしている…

 


 前節の【きっかけ】によって心に抱えた人間不信?!が直りかける兆しが見受けられたが、やっぱ

りだめだった・・・?真相は次のブロックに隠されている…。


 この部分で一気に穏やかだった曲調から、転調し、憤りというか どうしようもない感じがその歌

声からも感じられる。再び心に傷を負った主人公、やっぱり「目覚めず このまま眠っていたほうがいい?」と余計頑なに心を閉ざし始めているように感じられる。


 1回目と2回目のサビの【壊れてしまった私】

1回目は 昔の話 2回目は新たな原因が存在する現在系の【壊れてしまった私】なのでは

ないだろうか? 同じ歌詞ではあるが、壊れてた心がさらに粉々に打ち砕かれてしまったのかもしれない。


さらに必要に繰り返されるサビによって、自分の気持ちを念を押して伝えている、といったように

見受けられる。



 現実から遠くはなれた場所 、最も遠い場所の比喩が夢の中なのではないだろうか?

自分にとっての安住の地は、この先どんな人と出会っても 現実では僕に与えられることはないだ

ろう、僕には夢の中しかないんだ(水面のボート) という。



主人公は光によって現実へ引き連れてゆかれる。しかし、これは彼にとっては、不本意なのであろう。

主人公の意思としては【また戻ってきたい、この最も安らげるthe land of the purestへ】である、

何度となく訪れる人との出会いの中で、主人公は幾度となく現実に連れて行かれる

けれどそのたびに深い傷を負うことになる、そして痛みはどんどん心に降り積もり、目覚めに要す

るリスクはさらに大きなものへとなってゆくのである。

だからこそ・・・。君のいない現実なんてくだらない。



この楽曲は、一回最後にいきつくと、再びはじめに戻るように考えれる。

つまり、極端にいえば【出会い】→【裏切り】→【精神世界への移行】→【光による目覚め】→の繰り

返し…ほんとうに信じられる【光】がまた現れるまで、永遠にループする【眠りと目覚めの物語】なのである。

最後に、現実を拒む主人公、しかし彼の本能はいつも【現実への回帰】を夢にみているのではな

いだろうか・・・ それこそが人としてのあるべき姿なのだから・・・