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特攻蝶の雑記蝶

PRT4P総帥:特攻蝶のぶろぐ。

owo) さてさて。おちょ氏が無駄にジャンルを熱く語る回。
前回は女性ボーカル所属のメタルバンドをあれこれ紹介しましたが、
今回は「ピコリーモってなんぞや」という質問を経て、
昨今の「バンドにおけるエレクトロブームとはなんぞや」という
ちょっと掘り下げた紹介をさせて頂こうと思いますです。


▼予備知識:昔からあった『インダストリアル・メタル』

owo) まず、メタルには元々「インダストリアル・メタル」という
金属的な音作り・もしくはサンプリング音を使用したジャンルが
1980年くらいから存在していた、という経緯があります。
とりあえず解説を簡略化する為に、『要するにこんな感じだ!』という
わかりやすい音イメージになる曲をいくつか置いておきます

◆Rammstein(ラムシュタイン) - Feuer Frei!

http://youtu.be/XHUsIU161w4

『タンツ・メタル』と呼ばれる事もありますが、
インダストリアル・メタルの分野では多分世界一売れたバンド。
ドイツでは、日本でいうB'zぐらいの人気があるらしいですね。
タンツ(Tanz)とは、ドイツ語で「ダンス(dance)」を表すそうです。


◆Fear Factory(フィア・ファクトリー) - Act of god

http://youtu.be/qoujK-Xfres

続いてアメリカ。実際にDTMアーティストがリミックスした
ガチのインダストリアル・ダンスミュージックなんかも
アルバム単位でいくつか出してる、お手本のようなバンド。
バンドサウンドそのものは比較的普通に近いんですが、
エフェクティヴなアプローチが随所にみられます。
SkipknotとFear Factoryの楽曲を聴き比べて
「こっちがこうだからインダストリアルだ!」と
ギリギリ言い分けられるかどうか、という絶妙なラインですね。

ちなみに最も目を引く見た目の彼はディーノ・カザレス
外見で人を判断してはいけません。彼は7弦ギターの名手なのですから。
彼が同時並行で活動しているDivine Heresy(ディヴァイン・ヘレシー)は
インダストリアルではないのですが、十分オススメなバンドです。


▼中略という部分

いわゆる『中略』というすさまじく適当な繋ぎをもって、
1980年から現在までどのような経緯があったのか
詳しい内容は省きます。

とりあえずスラッシュブームとかメロスピブームとか
メタルのブームは色々あったんですよ。
2000年に入ってフィンランド3強が出て来たり、
なんかもうほんと色々ありました。っていう30年間。

その中で特筆すべきは『メタルコア』の参入。
グロウルはデスメタルのもの、クリーンはパワーメタルのもの、
ラップはミクスチャーメタルのものっていう棲み分けだったのが
サビだけクリーン、あとデスボ!みたいな「メタル界の歌モノ」、
メタルコアというジャンルの登場がだいたい2000年くらい。
北欧ではちょうど第2次メロスピブームの頃ですが、
アメリカでは売れ線を意識した歌モノメタルが始まったわけです。

ここで語らずにはいられないのが、Spliknot(スリップノット)
DJやサンプラーをメンバーに携え、奇抜なファッションに身を包み、
映画の主題歌タイアップなんかもしながらアメリカ特有の
「ラップ」といいますかなんといいますか、がなり立てるボーカルに
サビで「メロディを歌うぜ!」っていうアレですね。
日本のヒップホップにも通じる『あの』『売れ線の』『音楽』が、
彼らによって、メタル界にも出現したのです。

ここに、同時期に登場したバンド達を紹介しましょう。

◆Killswitch Engage(キルスイッチ・エンゲージ)- My Last Serenade

http://youtu.be/OoQrwKJtv_c

アメリカ出身。Slipknotとほぼ同期のバンド。


◆Soilwork(ソイルワーク) - Figure Number Five

http://youtu.be/F4oZoyVO3V4

こちらはスウェーデン出身。
アメリカでのメタルコアブームに乗って2年程遅れて登場した
まさに「メタルコアブームに乗って生まれたバンド」ですかね。


なんでこういう話の流れをしたかっていうと、
初期のKSEやSoilworkのギターやドラムの音作りは
まさに「インダストリアルメタル時代の音作り」を
そのまま現代へ持ってきたようなサウンドだった為です。
また、ボーカルにエフェクターをかけるという方向性も
昨今のエレクトロブームの通じるものなんですね。

デスメタルはデスメタル、パワーメタルハパワーメタルで
サブジャンルは更なるサブジャンルを生み続けますが、
インダストリアルは時代を越えてメタルコアの中に
血肉として生きている、というお話だったのです。


▼そして訪れるエレクトロブーム

で、ようやくエレクトロブームの話ですね。
同時期にいきなり世界中でエレクトロブームが流れ出したのですが
日本では世紀末から21世紀初頭にかけて
トランス・ダンスブームがあったのはご存知でしょうか。
そう、ビートマニアやら、ダンスダンスレボリューションやら、
音ゲーブームというものが始まった頃ですね。
これ以前には安室奈美恵やTMレボリューション等、
J-POPシンガー達の売れなんかも影響していたようです。

そして個人的にはあんまり(というか全然)好きくないのですが
オレンジレンジ(笑)が、ピコピコ音をバンドサウンドに組み込んで
日本のお茶の間で(パクリ音楽を)流しまくったのも一因します。
ほんと、うちは、とても、嫌いなんですけどね。
でも残念ながら彼らが日本で爆売れしたという事実と、
それが日本でのピコリーモブームに一躍買っているという
その事実だけは、否定出来ません。出来ませんよ。
例えそれ以前に日本で既に、エレクトロメタルバンドが居たとしてもね。
(マッカプとブラステの悪口はヤメロ!!)←後述します

欧米でも同じくダンスミュージックのブームを経て、
メタルバンドにもそのようなサウンドを取り入れたバンドが
少しずつ増えて来たんだぜ!というのが、昨今の
『エレクトロブーム』というやつになります。

そして日本では、『ピコピコした音とスクリーモ』という意味で
『ピコリーモ』、という俗称が出来て、今日に至ると。
まぁ、個人的にはこのピコリーモっていう呼び方は
何となく蔑称ぽくてイヤなんですけどね。
ヘビメタとかポップリカとかと同じ立ち位置だと思います。

なので、会話の流れで分かりやすさを意識して
「ピコリーモ」という言葉を使う事はありますが、
「こいつらはピコリーモですね」みたいなジャンル分けは
ほぼ行っておりませんので、ご注意くださいませ。


まぁ、ピコリーモブームに乗っかってチンケな音楽作ってる
一部バンドについては『こいつらはピコリーモだね』って言います。
なんていうかそれはもうあれだよ。蔑称だから使ってるんだよ。


ちなみに、「一般的に『ピコリーモ』と呼ばれるバンド」には
メタル出身のものと、それ以外出身のものがあります。
それ以外出身とは、ハードコア出身だったり、スクリーモ出身だったり、
日本だとポップロック出身だったりもするかもしれません。
メロコア出身なんてやつも結構います。

個人的には「メタル出身の方々」までピコリーモとするのは
かなり乱暴で、ジャンルの神様に対する冒涜だと思います。
『ツンデレ』に対する見解がヲタと一般人とで違うのと同じで、
自分も『ピコリーモ』に対する見解が一般人と違うのかもしれません。

『ピコピコしたスクリーモ』だから『ピコリーモ』なのであって、
『ピコピコしてたら全部ピコリーモ』ではありません。
なので、先述の理由も含めて自分は『ピコリーモ』という言葉を使わず
『エレクトロニコア』『エレクトロメタル』等と称す事が多いです。
(youtubeなんかを見る限り、世界的にはその判断でいいっぽいし)



さてと。御託はいいから紹介しろって長さですね。
ここまで語りを聴いて頂いてありがとうございました。
それでは、バンド単位であれこれと紹介します。


▼ハードコア出身勢(いわゆる真性ピコリーモ)

◆Enter Shikari(エンター・シカリ) - Sorry, You're Not a Winner

http://youtu.be/P4MiC67seUY

2006年9月20日。ピコリーモを聴く全てのリスナーが
記憶せざるを得ないもっとも重要な日付になるだろう。
当時、このMVが投稿されるなり、たちまちネットで話題になり、
一気に100万再生行ったとか行ってないとか。
ともあれこのMVが注目されたお陰で知名度が集まった彼らは、
個人的には『元祖ピコリーモ』と評価したいバンドである。

ちなみに正式には『ポスト・ハードコア』というジャンルなのだが
そのジャンル自体「次世代のハードコア」程度の意味しかなく、
サウンドを表すジャンル名としては『レイヴ・コア』とか自称してます。
ポスト・ハードコアのサブジャンルが『エレクトロニコア』なんだろうな。

日本版CDの帯にはレイヴメタルとか書かれてましたが、
残念ながらギターリフ含め、ほとんどハードコア。
ちなみにイギリス出身です。レイヴの産地だからかな?


◆Attack Attack!(アタック・アタック!) - Stick Stickly

http://youtu.be/KDzt6yI3Dw8

同じくMVで話題をかっさらったバンドで、こちらはアメリカ。
バンド結成はEnter Shikariより少し遅いくらいだが、
何しかこのMVの『謎のヘドバン』が無駄に流行って
youtubeで物まね動画がUPされたり祭り状態だった記憶がある。
(なおこの動画は当時UPされていたオリジナルではない模様)

こちらもポスト・ハードコアに分類されるが、
若干メタルらしいリフを含む為、たまにメタルコアにも位置づけられる。
リフがメタルなだけでサウンドは軽いです。まぁハードコア出身だしな。


◆Fear, and Loathing in Las Vegas
(フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス) - Stray in Chaos

http://youtu.be/ZdjVEV0oe3s

日本ではこんな感じっすね。やはりポスト・ハードコア分類です。
とあるアニメのOPだかEDだかにも使われたりと
日本のピコリーモさんたちを牽引する存在です。
あと神戸出身。対バンはした事ないけどビラ見た事はある。
当時はエレクトロニコアバンドが神戸に居るとは知らんかった。


※他にも腐るほどバンドがいますが、とりあえず真性ピコさんは
なんていうかだいたいこいつらのフォロアーなんで割愛します。
FACTとか、好きな曲はあるけど、悪口しか書けなさそうだし。
(FACTはデビュー後にピコリーモに媚びた寄生スクリーモ勢)


▼メタル出身勢

ここからは厳密に言えばピコリーモではありません。
インダストリアルメタルを21世紀型に変えたバンドとか、
とにかくメタル出身でエレクトロな方々。
要するに「エレクトロメタル」の位置の方々です。

エレクトロニコアがポスト・ハードコアに分類されるように
エレクトロメタルはメタルコアのサブジャンルみたいなものです。
ただ、インダストリアルメタルのサブジャンルでもあります。
どっちから遺伝してるかはバンドによりけりです。


◆Crossfaith(クロスフェイス) - Stars Faded in Slow Motion

http://youtu.be/lo8lA673A5Y

とりあえず日本出身から推していきます。
こうやってベガスと聴き比べると、Crossfaithの方が明らかに
サウンドもリフもちゃんとメタルしてますね。
『メタルコア』出身なのでそれほどザクザクしてませんが、
最近の日本のメタルバンドとしてはアタマ1つ飛び出たバンドです。


◆Blood Stain Child(ブラッド・ステイン・チャイルド) - Trial Spiral

http://youtu.be/0TiLSoLWgWw

日本出身。デビュー当時はメロディックデスメタルバンドでしたが
その後『トランス・メタル』と呼ばれる独自のジャンルを突っ走る。
今より10年以上前にデビューしたのに周りからあまり注目されず、
なんでこいつらがもっと注目されないのかとても気がかりなバンド。
あえて11年前の音源をご紹介。最近はもっとキラキラしてます。


※The Mad Capsule Marketsの紹介割愛について
マッカプはよくよく考えると、ハードコア・ラップコア出身の
インダストリアル・ロック勢だったので、ここでは割愛します。
割愛しますと何故ここで特別に書いたかというと、
彼らが1990年から活動していた日本のメタルバンドで、
ブラステと入れ替わるように解散してしまったバンドだからです。
彼らが21世紀も息長く活動していればきっと、
今のエレクトロメタルブームはまた違った形になっていたと思うのです。
あとメタルというには音が軽かったのも要因かな。
最も時代のせいで音圧が出てなかったというのも大きいと思いますが。


◆Blessed by a Broken Heart
(ブレスド・バイ・ア・ブロークン・ハート) - Move Your Body

http://youtu.be/2x_YG6BmikQ

日本ばっか紹介してられないので外国勢も紹介しましょう。
グラムメタル出身(は、見た目だけか?)、アメリカのBbaBH。
なんでこうバンド名の長いバンドが多いのか。
メタルコア出身ではないのでサウンドもまた違いますね。
横ノリと電子音を入れたメタルって感じでしょうか。
日本のピコリーモブーム以前から注目されていたバンドですが
当時から「ムビュバデは好きくないww」という人はいましたね。
彼らは今のブームをどう見ているのか。ちょっと気になるところです。


◆Make Me Famous(メイク・ミー・フェイマス) - We Know It's Real

http://youtu.be/lDRQkIiT3mw

ウクライナ出身のエレクトロメタル。
デスコア辺りから派生した人たちかもしれない。
ザクザク切り刻むリフがかっこいいのと、
ピコピコってるところも何かかっこいい。
チャラチャラ感をあんま感じないのが好きですにゃ


◆Illidiance(イリディアンス) - New Millenium Crushers

http://youtu.be/U3TpCc2zHrI

インダストリアルメタル。ロシア出身。
何ていうかあれだよね、Rammsteinのフォロアっぽい感じ。
こういう感じのバンドは多いからまぁ割愛にしますね。
さらばだ、Turmion Katilotよ!!


とりあえずここまでかな。
あ、もうこれあれだよ。一応、って感じになるけど。
ボーカロイドのエレクトロ・メタルも貼っておく事にします。
ボカロ毛嫌いしてる人って結構多いと思うんだけど、
ちゃんと選曲して聴いてみるとかっこいいのも多いよ。

◆鬱P - モンキーダンスの洗脳術

http://youtu.be/XMKAha_LGlg

ピコリーモブームに対する皮肉とアンチテーゼの塊みたいな曲。
『馬鹿はアノマリーに憧れる』は紹介しすぎたので今回は割愛。


◆Eve - 【L】una

http://youtu.be/XPrECASO7zc

唄モノのボカロメタルではかなり好きな範囲。


▼オマケ

◆Horse the Band(ホース・ザ・バンド) - Bunnies

http://youtu.be/xVWjdP1oL44

アメリカ出身『ニンテンドー・コア』バンド。
ピコリーモなんて2年前に生まれた俗称なんだよ。
それまではピコピコしたハードコアっていうと
Horse the Bandが「ニンテンドーコア」って自称してただけなんだよ。
いや、だからどうって話ではないんだけど、
個人的に何故こいつらがニンテンドーコアで、
昨今のピコピコは「ピコリーモ」なのかってところだよね。
まぁ日本で『ニンテンドーコア』なんて言ったら
それこそどうなるか良く分からん事になるからアレだけどさ。
要するにイロモノだったのだよ、というそれだけの話。