ウィーンコンサート三昧

ウィーンコンサート三昧

ウィーン在住だったMusikの、ウィーンにいるとき用オペラ、コンサート日記。

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指揮 フランツ・ウェルザー=メスト
演出 オットー・シェンク

アイゼンシュタイン Kurt Streit
ロザリンデ Ildikó Raimondi
オルロフスキー Stephanie Houtzeel
アルフレート Rainer Trost
ファルケ Markus Eiche
アデーレ Ileana Tonca
フロッシュ Peter Simonischek
フランク Alfred Šramek

ジルヴェスターに続いて、1日は国立歌劇場のこうもりへ。

前日に同じ演目を見ているのでどうしても比較の目で見てしまうのですが、
やはり全てにおいて国立歌劇場はクラスが上(あえてこの表現を使います)
という言葉がしっくりきます。

衣装も装置もより華やかで美しいし、歌も素晴らしいレベルです。
そしてなによりもオーケストラから奏でられる音楽が完璧!

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートからそのままやってきたような
(というか同じメンバーもちらほら)素晴らしいクオリティでした。
コンマスはシュトイデ氏。そしてセカンドヴァイオリンのコバチ、
コンツ両氏がほんとうに楽しそうにリズムを刻むのです(笑)。

メストの指揮だとひょっとしていつものすっきりした音楽になるのか…と
思っていましたが、まったくもってウィーンのこうもりでした。
序曲や雷鳴と電光を聴いていると、ニューイヤーを聴いているかの
ような気分…というか来年のニューイヤーはメスト指揮なので、
ある意味先取り?(笑)

アイゼンシュタインのシュトライト、終始ものすごいテンションの
高さをキープ(笑)。2幕の合唱団もノリがよく、舞台からはかなりの
エネルギーが放射されていたように思います。

国立歌劇場は空間が大きいので、それくらいやってくれて
ちょうどいいかもですね。ただ、客席はより観光客が多い感じで…
舞台上で冗談を言ってもそれほど反応がなく、フォルクスオーパーの
ように客席と舞台が一体となって盛り上がっていく感覚は
あまり味わえませんでした。

そういう意味ではフォルクスオーパーの方がオペレッタとしての
こうもりの楽しさがより感じられましたね。セリフ回しや演技など、
さすがいつもやっているというか、間や話し方が非常に練られていて、
その上で劇場としても少し小ぶりなので、アットホームというか、
舞台との距離感がいろんな意味で近く感じられました。

ロザリンデのライモンディは高音が少しキツそうでした。
アデーレのトンカは歌も雰囲気もバッチリではまり役と言えるのでは。
Šramekのとぼけた感じのフランクもまた味があってよかったですが、
フロッシュはやはり…まあこれはロベルト・マイヤーがすごすぎると
いうことで(笑)。

どちらもとてもウィーンらしいこうもり、見た目の華やかさや
音楽的には国立歌劇場に軍配が上がりますが、楽しかった、という
気持ちがよりあったのはフォルクスオーパーかなあ…。

ではまた!
演出 Heinz Zednik
指揮 Rudolf Bibl

アイゼンシュタイン Sebastian Reinthaller
ロザリンデ Melba Ramos
アデーレ Bernarda Bobro
ファルケ Dominik Köninger
オルロフスキー Heike Wessels
アルフレート Vincent Schirrmacher
フランク Martin Winkler
フロッシュ Robert Meyer

ジルヴェスターはフォルクスオーパーへこうもりを観に行きました。

フォルクスオーパーのこうもりというだけでも鉄板なのに、
やはりジルヴェスターということで気合いが入るのでしょうか、
フランス語を話せるフリをするコントのようなくだりや
3幕のフロッシュのくだりをたっぷり時間をかけていたり、
客席の雰囲気の華やかさや反応の良さもあってか、
よりノリのいい公演になっていたように思います。
(チケットの値段にも気合いが入っていますが、笑)

シャンパンの歌の後にProsit Neujahr!(あけましておめでとう)
が入るのもこの日と1日だけの演出でしょうね。

歌手はみんな素晴らしくて文句のつけようがありません!
それぞれのキャラクターが立っていて、ドイツ語もとても明瞭、
歌も安定していてみんな百戦錬磨なのだろうなと、安心して楽しめました。

3幕はロベルト・マイヤーの独壇場(笑)。
何度も客席を爆笑の渦に巻き込んでいました。もう少しドイツ語が
わかればもっと楽しめたと思いますが、言葉がすべてわからなくても
あの演技というか、芸はすごいなと思います。

歌手は昼公演とはほぼ別のメンバーでしたが、オーケストラは
同じメンバーだったのか、少し疲れや綻びが見られるところもありましたが
舞台の上がまとまっていたのでそんなに気にはなりませんでした。

いや~、とにかく最高の時間を過ごすことができました!
幕間には普段飲まないシャンパンもついつい飲んでしまいましたし(笑)。

ではまた!
指揮 フィリップ・ジョルダン

ソプラノ Ricarda Merbeth
メゾソプラノ Monika Bohinec
テノール Nikolai Schukoff
バス Günther Groissböck

合唱 Wiener Singakademie

ベートーヴェン 交響曲第9番

すっかり日本の年末の風物詩となった「第九」ですが、
Musikが知る限り、ここ数年のウィーンではウィーン交響楽団が
ジルヴェスター前から1月1日にかけて演奏するくらいです。

指揮はウィーン響次期首席指揮者のフィリップ・ジョルダン。

Musikは実演に接した曲で回数が一番多いのがこの第九ですし、
興味はいかにこの曲を再現するのか、という点に集中してしまいます。

弦は16型、チェロ・バスが下手の対向配置、合唱団は100人以上で
最初から座って待っていました。ソリストはオルガンの演奏台の前に。
オーボエ以外の木管とホルンにはアシスタントもついています。

このような大編成でコンツェルトハウスの大ホールとなると、
ベートーヴェンの残したメトロノームのテンポに合わせるのは
ほとんどの部分で無理が生じるというものです。

が、指揮者の今までの演奏の傾向からしていわゆる伝統的な慣習は
打ち破りにかかってくるだろうな、という予感はありました。

1楽章、速めではありますが、ベートーヴェンの指定には
少し届かないくらい。そのテンポで音響が溢れてしまう箇所は
音を抜いたり、長さを短めにすることで処理していました。

使用楽譜はベーレンライターかと思うのですが、ところどころ
修正を施しているようでした。もしくはブライトコップフの新版?

2楽章はほぼ指定のテンポ通りですが、大きな3拍子に聴こえる
ところは少しテンポが落ちます。これ、どういう意図なのだろう。

3楽章、流れをよくしようとするのと急いて聴こえないようにとの
バランスをうまく取ったテンポ。美しい音はキープしていました。

4楽章、冒頭が少し遅めで始まるのですが、チェロ・バスの
レチタティーヴォでさらに少しゆっくりになった落差があまり
感じられず、これはなるほど、と思いました。

最後のMaestosoは指揮者は速めのテンポにしたかったようですが、
1拍を倍に取るテンポのままというか…。

全体を通して思ったのはバランスがいいな、というコメントに尽きます。

テンポを速めに、全体をすっきりと構築しようとしますが、
無理に音響を壊すことはなく、急くこともなく、停滞もせず。
伝統的な演奏から脱しようとする、ひとつの形であると思いました。

なんだかとても分析的な文章になってしまいましたが…(いつもか?)
Musikは以前はこの曲に熱狂を求めていたなーとか、
いつの間にこんな冷静に眺めるような聴き方になったんだろう、とか、
でもこういう聴き方も楽しんでいるな、とか、いろんなことを
思いながら帰ってきました。

ジルヴェスター、ニューイヤーはこうもりで、ウィーンフィルの
ニューイヤーには行かないことは予告しておきます(笑)。

2011年の記事はひとまずこれまで。
みなさま、よいお年を!