誰もが愛する人のことを強く想い、しかしその想いが簡単に踏みにじられてしまった、忘れてはいけない時代を、「シュリ 」のカン・ジェギュ監督が、壮大にかつ決して中心を動かす事なく描いた秀作です。


 「映画だから・・・」と言ってしまえば、それでおしまいですが、単純に今私たちが幸せならば、それは過去の積み重ねによっているのだなーと再確認したくなります。事実、この時間にもどこかで人と人が争っているのでしょうから。


 話がそれましたが、ホントいい映画ですよ(笑)。内容的にはそんなに変わった展開はないですが、見せ方もよく練られていますし、脚本もしっかりしていますね。もちろん戦争映画なので、気持ちいいシーンばかりではないですが、それが主ではない描き方がされています。


 申し上げるまでも無く(笑)、役者は豪華で素晴らしいですよ。チャン・ドンゴンが愛するもののために、必死に現実と戦い抜く迫真の演技を終始見せてくれますし、ウォンビンは兄を理解しつつも、自分の良心との狭間で苦悩する幼い面と、そこから成長する過程を豊かに演じています。そして優しく愛する人を想いながら、時代を強く生き抜こうとする女性を、イ・ウンジュが表現しています(ただ、このブログでも、後どれだけ「イ・ウンジュ」の名が書けるかな・・・と思ったりしますね。)


 僅かですが、チェ・ミンシクも出演してますし、現代時の老人役のチャン・ミノ(すいません、よく知りません)という役者が、過去の描写を壊さない、いい芝居をしています。


 膨大なエキストラをつかった大迫力の爆撃・銃撃の場面ですら、どこかかすんで見えるのは、その時代の中でしか生き抜くことを許されなかった人々の、いつの時代も変わらない「人を愛する」という気持ちを、豪華な俳優陣と丁寧な脚本で描いた作品だからでしょうか。ハイ、正直泣きましたね(照)。見てない方は是非どうぞ。

タイトル: ブラザーフッド プレミアム・エディション   評価:★★★★☆

  「サマリア」等で今、大注目の鬼才キム・ギドク監督が見せる、「究極の愛のかたち」。・・・という感じで、宣伝用ならコメントできるかもしれませんが、いやーどうですかねー、「愛」なのかな?正直なコメントは「ホント悪いヤツだなー」という感じです(笑)。


 一般に映画の評価は、もちろん観た人によって異なるのが当たり前ですが、その個々の評価の分かれ具合がなんとなくわかるような気がしませんか?例えば、「この映画は大衆向けの恋愛映画だから、まあまあ好きな人も嫌いな人もいるだろうけど、"絶対ダメ!"という人は映画好きの中には少ないのではないかな?」という具合に。


 この「悪い男」の評価はおそらく、「なんじゃこりゃ・・・」という人と、「素晴らしい!!」という人に極端に分かれるのではないかと思いますね。それも非常に激しく(笑)。まあ映画ですから、基本的には何でもあり!ですけど。


 ただ役者の演技は見事でしたね。チェ・ジェヒョンはまさに「抑えた演技」ながら、感情を爆発してうまく表現していましたし(このチェ・ジェヒョンの役の設定は見事です。)、相手役のソ・ウォンも普通の女性から、堕落させられていく過程、そしてその中でも愛する女性を演じて、非常に多彩な才能を見せてくれます。


 従来の映画製作手法をあえて逸脱したキム・ギドク監督の感性を、衝撃と共に(笑)味わいながら、この話題作について考えてみるのも面白いと思いますよ。評価は分かれると思いますが、でも見ないことには語れませんしね(苦笑)。見てない方は是非!とは、胸を張っては言えませんが(笑)、どうぞ。


「あなたはこの愛を受け入れられますか?」


タイトル: 悪い男      評価:★★★☆☆

【追記】

「鬼才キム・ギドク監督の新作『弓』が好発進」 2005/5/13

  キム・ギドク監督はその映像・内容だけでなく、自分の映画の見せ方(上映方法)にも、もの凄くこだわっ 

  ています。


 不思議な感覚の残る作品でした。どこまでが真実で、どこまでが虚構なのか?それをこの映画は明らかにする事すら、必要としていない様に感じられました。「ラスト・プレゼント 」「黒水仙 」のイ・ジョンジェと、引退してしまった「八月のクリスマス 」のシム・ウナが見せる、大人のラブストーリーです。


 正直なところ、「ラブストーリー」といっていいものなのか、自信がないのですが(苦笑)、お互いの間で優しく行き来しあう、感情のやりとりの描写を、あたかも、それが真実と虚構の境であるかのように、描かれていています。


 この作品でも主題としてなってますが、「ホントの自分」というものは難しいものですねー。私も含めて、恐らく皆さんもそうじゃないかと思いますが、「ホントの自分」だと自分で思っている時の「自分」は、もしかしたら「本当の自分」ではないかもしれませんものね。だとすれば、何から何まで嘘で固めたとしても、案外その時の方が素直に「自分」が出ているのかもしれませんね。そんな事を考えてると、このブログをしている時の「自分」はどうなのだろうか?と思ってしまいました。この匿名性の中で、少しは普段より「自分」らしいのでしょうかねー・・・。


 話がそれましたが、この映画のイ・ジョンジェはまたクールでかっこいいですし(欲を言うと、もうちょっとイ・ジョンジェの描写が欲しかったですけど)、シム・ウナはホントにかわいいですよ。またスクリーンに戻って来て欲しいですね。そんなふたりが奏でる、「自分」の中の「自分」探しの共演、見てない方は、是非どうぞ。

タイトル: インタビュー     評価:★★★☆☆

 ご存知、2004年第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した、我が日本が世界に誇る(?)「マンガ」が原作となった作品です。チェ・ミンシクがいい、ユ・ジテがいい、カン・ヘギョンもいい。役者の演技がこれだけ良くて、脚本も構成もしっかりしているのだから、受賞も納得という作品です。ただ鑑賞後の爽快感は、今ひとつかもしれませんが(苦笑)。


 非現実的な要素が主体となって、描かれているので、溶け込むまでに多少時間がかかるかもしれませんが、謎解きへ描写は、細かく描かれていますので、全体的に無理は感じられませんでした。脚本もしっかりしていますので、後半に向けて緊張感が高まっていく、そんな作りになっていますね。


 とはいえ、何といっても役者がいいですねー。「シュリ 」のチェ・ミンシクが感情をコントロールした、激しい演技を最初から最後まで見せてくれますし、「春の日は過ぎゆく 」のユ・ジテが、憎むべき役柄ながら、哀愁を感じさせる演技を、うまく表現しています(一度「H [エイチ] 」の役のチョ・スンウとの対決を見たいです  笑)。これまたカン・ヘギョンもかわいらしいですよ。


 ひとりの人間が持ち得る、怒涛のように激しく感情が揺れる様を、その役者達の見事な演技力の共演で、描いた作品です。感動作ではありませんし、サスペンスにしては、もうひとつかもしれませんが、娯楽映画として見てはいかがでしょうか。見てない方は是非どうぞ。


タイトル: オールド・ボーイ プレミアム・エディション   評価:★★★★☆


【追記】

「『オールド・ボーイ』がルーマニア映画祭オープニング上映へ」 2005/5/13

  いまだこの作品の勢いは衰えませんね。


「映画『オールド・ボーイ』がニューヨーク・タイムズ読者評価1位に」 2005/6/6

  海外の映画ファンからも高い評価ですね。「もののけ姫」とならんだそうですよ。






 今レンタルで、超メジャーな作品は見きってしまった(笑)、という方へお勧めです。これもマイナー作品では、全然ないですが、あまり各レンタルランキングの上位には、上がっていないのが不思議でした。洋画の2作目は、多少イマドキな作品にしました(笑)。


 特に女性からの人気が高い、「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 」や「トゥームレイダー 」シリーズでお馴染みのアンジェリーナ・ジョリーが、恋をするかわいらしい女性と、犯人を追跡する厳しい眼差しの狭間で、苦悩するひとりの女性を演じた秀作です。


 冒頭から、見る側を計算した場面が用意されていて、そのままスピディーな展開で衝撃のラストまで、一気に見れます。内容的には、よくある心理サスペンス映画ですが、他の作品と比べて、比較的おとなしい女性を演じるアンジェリーナ・ジョリーがいいですよ。演技力の幅が凄く感じられて、ちょうど「4人の食卓 」の時のチョン・ジヒョンを思い出しました。(「テイキング・ライブス 」の方がはるかに激しいですが。  笑)


 共演にはイーサン・ホーク、キーファー・サザーランドら豪華な役者が、その演技力でいい芝居を見せてくれています。見ていてホント安心できますよ。


 超大作ではありませんし、各評価は賛否両論って感じですが、アンジェリーナ・ジョリーが素晴らしい演技力を見せてくれて、内容もR15指定ですので、多少きつい場面もありますが、見てるものをハラハラさせてくれる作品です。多分、各レンタル店でもう「新作」ではなくなっていると思いますので、見てない方は是非どうぞ。       そして衝撃のラストへ、どうぞ(笑)。



タイトル: テイキング・ライブス ディレクターズカット 特別版   評価:★★★★☆

 洋画の最初はこの作品にしました(笑)。もう作品としては10数年前の物になるのですが、いつ見ても、何回見ても新鮮ですねー、ホント大好きな映画です。ご存知ケビン・コスナーと問題児(?)オリヴァー・ストーン監督による、極めて政治的に傾いた(笑)娯楽作品です。


 公開された当時、今の米大統領の父親のパパ・ブッシュが再選をかけて、民主党の若きホープ、前クリントン大統領と激しく大統領の選挙戦を争っていました。この映画が、この選挙戦に影響を与えたかどうかは、わかりませんが、この選挙の時期に「JFK」物の映画を出すとは!という見え透いた意図の割には、結構受け入れられたのではないでしょうかねー。


 米国だけでなく世界中も忘れられない、1963年11月22日、テキサス州ダラスでのジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件。この事件を描いた作品は、ホント山ほどありますが、中でもこの作品が好きなのは、その大きな暗殺事件の謎解きが主題で描かれた作品ではなくて、その事件に巻き込まれて、そして人生を翻弄されてしまう、ひとりの男の苦悩、葛藤などをケビン・コスナーが見事に演じているからですね。その点では韓国映画「殺人の追憶 」と似てるかもしれません。(タイプは違うかもしれませんが、ソン・ガンホもいいです)


 ケビン・コスナーが演じるニューオリンズの地方検事ジム・ギャリソンは実在の人物で、この映画にも出演しています。内容的には、たまたま自分の管轄内で起きた事件(暗殺事件)を捜査していくだけなのですが、その過程で世間から弾圧され、家庭や仕事をも失っても、自分に嘘をつかないという人間の、苦悩や葛藤を含めた現実感を、ケビン・コスナーがうまく・かっこよく演じていますね。


 また共演が凄い(笑)。トミー・リー・ジョーンズ・ドナルド・サザーランド・ゲイリー・オールドマン等、有名な俳優がいっぱい出ている、というだけでなくて、ホント適役です。登場人物は一応実在した人物がたくさん出てくるのですが、「この映画はドキュメンタリーか?」と思えるほど、顔・容姿などが似ているのです。ホントにそっくりに見えるのですよ(笑)。メイクではなく、演技力のなせる業ですね。キャステングの勝利でもあります。(ジム・ギャリソンとケビン・コスナーは似ていません。 笑)


 ジャンルとしては歴史的事実をあつかった作品なので、その事実関係・人物像など知っておくと、より一層楽しめると思います。原作「JFK―ケネディ暗殺犯を追え 」には有名な登場人物、オズワルド、クレイ・ショーなどの写真も出ていますから、ご覧になってから映画を見るとホント面白いと思いますよ。


 大きな歴史的ミステリーの枠の中で、膨大な実写フィルムを使い、見事な適役陣をキャスティングし、ひとりの人間の苦悩の人生を描いた力作です。ドキュメンタリー作ではないので、このまま受け入れる必要は全くないですが、188分という時間を感じさせないほどの見事な展開と、超一流の演技力の共演は必見です。見てない方は是非どうぞ。


タイトル: JFK コレクターズ・エディション 特別版     評価:★★★★★



韓国映画と並行して、洋画(韓国映画・邦画以外、という趣旨です)・邦画もコメントしていきます。こちらもコメントしたい作品がたくさんありますので(笑)。ある程度数がそろったら、テーマの欄で見やすく整理しますので、それまでは「洋画一般」・「邦画一般」としてジャンル分けしますので、宜しくお願いします。

アメブログを始めて、何とか1ヶ月が経とうとしてます。スローペースながら続けてこられたのは、見に来て下さったり、コメントを残して下さったり、読者登録をして下さった方々のお陰です。ありがとうございます。


これを機に映画のブログっぽくしたくて、CSSなどいじくっておりました。CSSは面白いですけど、難しいですねー(苦笑)。素人なので、パソコン環境によっては、見苦しくなっているかもしれませんが、お許し下さいね(笑)。


背景画像は、いつもお世話になっている eigahujin さんの画像からヒントを頂いて、ペイントで作りました。

CSSなどは、happy-magic さんやabcjp さんのブログを参考にさせて頂きました。

写真は hare's 写真素材  さんからお借りしています。

ありがとうございました。


まだまだ直すところがありますが、今後とも宜しくお願いします。

 このブログ全体を何か映画のブログっぽくしたいな、という単純な発想で、色々スキンなどCSSなどいじくっておりました。途中いいところまではいったつもりでしたが、各種ブラウザなどに対応してないかも?と思い直し、一応は前にスキンに戻しました。


 途中で遊びに来てくださった方は、お見苦しいブログ、すいませんでした。

もう少しCSSなど勉強して、再度作り直します。


 これからも宜しくお願いします(^^)

 「ラスト・プレゼント 」のイ・ジョンジェが、非常にクールな役でひとつの殺人事件を追いながら、歴史に翻弄された悲しい純愛を、浮かび上がらせるという作品です。いい作品です。しかし一番の活躍はイ・ジョンジェではありません(笑)。この構成がまたいいですねー。


 自ら俳優業もこなす、ペ・チャンホ監督が歴史的な大きな主題を、巨額の制作費をかけて作った映画。まずひとつひとつの場面がもの凄く丁寧に撮られていますね。見ていて気持ちよかったです。


 「この場面を見せて、はい、終わり!」という作りではなく、その場面にいくのに、いくつものカットを重ねて、印象的に見せる作り方はよかったですね。その分、時間的制約で、多少カットされてるであろうシーンが気になりましたが、つながりに無理は感じられませんでした。


 内容的にもいいですよ。銃撃あり、爆発あり、の迫力シーンの連続と現代、過去という時間軸の中で翻弄される人間模様、に加えて韓国・日本というロケ地の展開。ただ日本のシーンは若干頂けませんけど(苦笑)、いわゆるハリウッド映画の「映画の中の日本」よりは現実感がありましたけど。


 そしてなんといっても俳優陣が凄い!いい演技で主人公を演じたイ・ジョンジェをも、圧倒したふたりの役者。国民的映画俳優アン・ソンギとホントに瞳が綺麗なイ・ミヨン。素晴らしい!の一言です(笑)。


 アン・ソンギはいーいですね。この作品では、20代から70代まで演じていますが(勿論、見た目は多少頂けませんよ。 笑)、見た目よりも心情を露出するその演技力で、ホントに引き込まれます。


 どなたでも映画を見て、印象に残ったシーンが過去いくつもあると思うんですが、この映画のアン・ソンギのラスト・シーンにはやられました(笑)。当分忘れられない場面になりそうです。


 イ・ミヨンも幅広い年齢層を演じていますが、うまいですねー。恋をする優しい女性から、命を懸けた迫真の演技まで、見応えありました。


 歴史の流れに翻弄されて、それでも変わることのなかったひとつの純愛を、素晴らしい俳優陣が、迫力の映像と丁寧な展開の中で見せてくれる作品です。超感動映画ではないかもしれませんが、娯楽映画として見れば、十二分に楽しめますよ。その辺で満点ではないですが、限りなく満点に近い評価です。見てない方は是非どうぞ。


タイトル: 黒水仙 特別版    評価:★★★★☆(4・7~4・8という感じです。)