エネルギー供給構造高度化法について
本当に必要な法律なのかもう一度考えて頂きたい。



gasmanのブログ


はじめましてみなさん、私はある精油所に努める会社員です。
あまり長文だと読むのも大変なので簡単に説明したいと思います。


gasmanのブログ


経済産業省は2010年7月5日、エネルギー供給構造高度化法の基本方針の一つに重質油分解能力の向上を挙げ、重質油分解装置の装備率の目標を決めて業者に対して重質油分解装置の新設若しくは増設又は常圧蒸留装置の削減により適切に対応することを求めた。

↓↓↓↓↓(簡単に解説)↓↓↓↓↓

重油成分や重い成分を含んだ原油の処理をもっとしなさい。
重油分解装置=重油分解処理能力/いままでの常圧蒸留塔処理能力
この分解装置の比率を今の10%から13%へ上げなさいと言うお国からの命令。
期限は2013年までで罰則もあります。


↓↓↓↓↓(更に簡単に説明)↓↓↓↓↓

ちょっと強引で恐縮なのですが、
校長先生が野菜嫌いな子供の事を憂い、各家庭で食べさせる野菜の比率を義務付けたという事なのです。
野菜の食べる量を増やしなさい、野菜を食べないのであれば肉や魚など他のおかずを減らせ!
そして、従わない家庭の子供の成績をどうしてくれようか?学校に入学させても良いものか考える!

という状態なのです。

gasmanのブログ


勿論比喩としては強引極まりないので参考程度として欲しいのですが・・・


この13%という比率を守るために石油会社各社が取るべき道が2通りあるという事です。

①世界的にエネルギーを無駄なく処理するため頑張って設備投資をして装備率を上げる
②設備投資には装置新設などの多額の費用が掛かるので分母(常圧蒸留側)を廃止して装備率を上げる

どんな製品をどの機械で作るかは各企業の自由でそれに関わる製造装置の比率を国が決めるというのもおかしな話ですが私が問題にしたいのはもっと別の事なのです。


gasmanのブログ

平成23年3月11日14時46分太平洋三陸沖を震源として発生した東北地方太平洋沖地震は多くの犠牲者と被災者を出し、今もその数は増え続け戦後最悪の自然災害となりました。

gasmanのブログ


地震直後、同業者であるコスモさんの工場が爆発炎上するのを目の当たりにして恐怖に震えました。
自分の工場にも同じ設備、同じ製品が大量にある・・・
どれだけ大きな自然災害でも事故はあってはならない事で「想定外だった」という言い訳は通用しないと私自身思いますが、あまりにも圧倒的な自然の力と石油製品の爆発的なエネルギーの力に驚愕しました。
更に悲しむべきは事故は絶対に起きないと言われた原発で爆発事故が発生し、日本の将来に確実に暗い影を落としている事です。

gasmanのブログ

今も生命の危険を顧みず対応している消防・警察・自衛隊・東電の従業員の皆さんはまさに死闘とも言える恐ろしい闘いを続けています。

今回の大地震で私の会社の装置も停止してしまいました。
地震の際は安全に装置を停止して事故にならないよう確実な点検をすることが基本となっています。
幸いにも大きなトラブルは無く安全に操業開始が出来るかを確認した上で生産をスタートする事が出来ました。

gasmanのブログ

しかしながら、それに至るまでのガソリンや軽油等の製品の不足による大混乱は報道された通りです。
被災地まで届かないという事をはるかに超えて都内でも枯渇という大混乱になってしまいました。
石油会社社員という事で友人からなじられ、家族からまで冷たい言葉が投げかけられる情けない状態でした。
ここを読んでいる皆様の中にも大変な思いをされた方もおられると思います。
この場を借りてお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。


さて、本題です。
エネルギー供給構造高度化法の各社の対応について、設備投資をして装備率を上げるか分母(常圧蒸留側)を廃止して装備率を上げるの2通りがあると前述しました。
期限は2013年です。

答えは・・・


各社目標達成のために分母(常圧蒸留側)を廃止です。


残念ながら既に決定事項なのです。
なぜならば2010年10月末までに経済産業省に各社どうするか説明せよと言われて説明した内容が各社削減だったのです。
↓↓↓詳しくまとめたページはこちら↓↓↓
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-313f.html
私の工場がどうなるかはどうでもよいのです、確かに職を失う恐れもありますがそれは法律で決められて会社が決定した事ですから仕方ありません。
しかし、悪法に物申すことは国民の一人として意見する権利はあります。


今回のような有事の際、大混乱になるのは言うまでもありません。
大地震ではなくとも戦争やテロが起きないとも限りません。
製造装置は増えるのではなく確実に減るのです。
原油備蓄していても処理する装置が減るのです。


過去、2ちゃんねるで私と違う意見を持った人が居ました。
人口も減り車も減り消費量も減っている。
社員は高給でけしからん、いらない余分な物は削減するのが妥当。
大体ガソリン高杉ボッタ杉、黙って無職になってろや!


私は激しく反論しました。
関東大震災が起きたら精油所の操業が長期に停止する。関東だけでなく別の場所でもコンビナートで工場は繋がっている。
どこで地震が起こるとも限らない、そうなった場合は近隣工場を巻き込んで大変な事になる。
エネルギーの根幹を削減や廃止をして悪影響が無いとは言わせない。国がやるべき行動でもないし消費量が減ろうがそうでなかろうが
工場の設備に関しては民間企業が決めるべきだ。
それに有事の際は? 一番大きな工場が数か所潰れるだけで国全体が大混乱になる。



gasmanのブログ


gasmanのブログ



当然意見が合う事もなく普通にDAT落ちでしたが、何か月かして私の危惧が現実の物となってしまいました。
それ見た事か!というより私にとっては辛く悲しい結果で証明される事になりました。

泣いても笑っても

2013年以降は今よりも確実に処理量が減るのです


gasmanのブログ


数年後、東海地震が起きて精油所が何か所も倒れてしまった時・・・いったい何が起きるのでしょうか?

国は石油製品全般に高い税金をかけています。
有事の際にどうなるかの見通しが甘いです。
まるで国民生活と民間企業を苦しめるかのごとく税金をかけ、民間企業を苦しめるエネルギー供給構造高度化法を推し進める事は日本の未来にとって明るい材料と言えるでしょうか?


gasmanのブログ

この国に住む以上、地震や台風などの災害は避けては通る事が出来ません。今は大変厳しい状況ですが一国民として必ず復興しなければならないと考えています。
そして、国のエネルギー産業について今一度皆さん一人一人が考えて意見しなければならない時代にきているのではないでしょうか?


最後に・・・
この度の震災で犠牲になられた方、避難所で不自由な生活を余儀なくされている被災者の方々、肉親の安否を気遣うご家族の方々。
この災害に遭われた全ての方に心よりお見舞い申し上げます。
また、厳しい状況の中救援活動中の方全ての方々にお礼を申し上げます。どうかお体に気を付けて怪我の無いようお気をつけください。


官邸へのご意見は↓こちらからどんどん送れます

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html